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最新エンタープライズストレージの実力を探る 第1回

SANも、NASも1台でOK!ハイエンドの機能をミッドレンジへ

新世代の汎用ストレージ「VNX」はこうして生まれた

2011年05月09日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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EMCが年始に繰り出した新製品「VNX」は、SANとNASを統合したユニファイドストレージである。「速い、安い、シンプル」という特徴を持ったこのVNXが、どのような経緯で生まれてきたのか? そしてなにを目指すのか? EMCのエンジニアお二方に聞いた。

VNX登場の背景にストレージ製品の多様化あり

 2011年1月に発表されたVNXは、EMCの代名詞ともいえるハイエンドストレージ「Symmetrix VMAX」に対し、ミッドレンジをカバーする汎用ストレージだ。最新のEMCのカタログにおいて「性能は(従来の)3倍、管理はシンプル、コストは最小」と表現されているとおり、今までハイエンドクラスのみで提供されてきた機能を低廉な価格で提供しつつ、性能面で妥協のない点が大きな特徴となっている。

「VNX5300」はNAS構成で212万円(税込)という価格を実現した

 VNXは従来ミッドレンジ製品として展開されてきたSANストレージ「CLARiX」、NASの「Celerra」を統合して生まれた製品である。

 なぜ両者を統合する必要があったのか? ここにはストレージ製品の多様化という背景があるという。EMCジャパンの竹内博史氏は「2000年代、SANとNAS、iSCSI、アーカイブ、バックアップ専用、ニアラインなど用途に応じたストレージ製品が次々と登場してきました。用途に合わせた製品を提供するというのはベンダーとしては正しい方向性なのですが、一方でデータの伸び方が半端ではないですし、用途ごとの製品を選ぶのが難しいのも事実です」と説明する。この結果、機能や容量の面でキャパシティのある製品として生まれたのが、VNXが提供するユニファイドストレージのコンセプトだという。

EMCジャパン グローバル・サービス統括本部 テクノロジー・ソリューションズ本部 技術部 マネジャー 竹内博史氏

 もう1つはサーバー仮想化の浸透だ。「大規模な仮想化インフラだとSANを使いますが、一方でファイル管理やデスクトップ仮想化などはNASが最適です。ですので、1つの箱でSANでも、NASでも使えるという製品が必要になったと考えました」(竹内氏)というニーズがあったという。

ミッドレンジを固めてきた「CLARiX」と「Celerra」

 では、VNXのベースとなるCLARiXとCelerraとは、いかなる製品なのだろうか? 両製品の道程をおさらいしていこう。

 CLARiXは、SANブームに沸いた1999年にEMCが買収したデータジェネラルの製品をベースにしており、ファイバチャネル(FC)対応の高速なストレージとして市場に投入された。「当時、EMCはSANストレージとしてハイエンドのSymmertixしかありませんでしたが、基幹系を前提に信頼性第一で考えられていたので、性能や機能という点でやや不足がありました。ドライブもインターフェイスもSCSIがメインでした」(竹内氏)。そこで、CLARiXにおいては、いち早くFCインターフェイス、FC HDDなどの技術を取りこんだわけだ。

 その後、CLARiXに搭載された「Flare」というOSには、Symmetrixの機能がどんどん移植され、高機能化が進められていく。「SymmetrixのTimeFinderやSRDFに相当するレプリケーション、災害対策の機能のほか、筐体間のSANコピーなどが移植。第4世代のCX4ではディスクのスピンダウンやFASTなどの自動階層化機能まで搭載されました」(EMCジャパン 内田潤氏)ということで、著しい進化を遂げ、現在に至る。ちなみに正式製品名は「CLARiiON」だが、日本では登録商標の問題で「CLARiX」となっている。

EMCジャパン テクニカル・コンサルティング本部 プロダクト・ソリューション統括部 シニア・テクノロジー・コンサルタント 内田潤氏

 一方のCelerraはCLARiXと同じ2000年頃に登場したハイエンドNASで、Symmetrixの技術をベースに自社開発された製品になる。当時はSANとともにエンタープライズ向けのNAS市場が勃興しつつある時期。つまり、Celerraは同時期に生まれたCLARiXとは異母兄弟のような関係といえるだろう。

 ライバルとしては当然ネットアップのFASシリーズが挙げられるが、「EMCとしては、(FASのような)ミッドレンジNASではなく、信頼性を担保したハイエンドNAS製品として開発しました。ですから、最初からバックエンドのストレージとは切り離して設計されているんです」(竹内氏)という。この結果として、当初のCelerraは、DataMoverというヘッドとなるゲートウェイを介し、バックエンドのSymmetrixをNFSサーバーとして利用する製品として提供されていた。つまり、DataMoverを増やすことで処理能力や可用性を上げるという点で、ハイエンドな要求にも応えられるというのが、Celerraのアーキテクチャのコアというわけだ。「当時、UNIXのNFSサーバーで高可用性を満たすためにクラスタリングさせて、ある程度のパフォーマンスを保とうとすると、かなり高価なサーバーが必要でした。その点、Celerraのような専用機で、かつヘッドを増やせるという拡張性がアピールポイントでした」(内田氏)という。

DataMoverとストレージを統合した「NS120」は120台のHDDを搭載できる

 その後、DataMoverに搭載された「DART」というOSに強化が加えられ、CIFSなどのファイル共有プロトコルも実装されたほか、スナップショットやレプリケーションなどファイルサーバーとしての機能も拡充した。また、DataMoverとストレージを統合した「NSシリーズ」というモデルも登場し、FCやiSCSIなどをサポートしたユニファイドストレージとして成長した。現在はDataMoverの処理能力が向上したことで、小規模な環境におけるWindowsファイルサーバーとしての利用も増えているという。さらに、NASとしてエンドユーザーが利用しやすいよう、設定・管理ツールが拡充されたのも大きなポイントといえる。

(次ページ、CLARiXとCelerraのいいとこ取りを実現)


 

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