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ミッドレンジの信頼性を持ち込むSMB向けの戦略製品

「簡単です」は本当だった!「VNXe」のGUIを見た

2011年05月24日 08時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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5月23日、EMCジャパンは、同社初となるSMB向けのユニファイドストレージ「VNXe」についての記者発表会を行なった。先んじて市場に投入されたVNXの弟分にあたる低価格な製品だが、既存のSMB向けストレージをはるかに凌駕する実力が明らかにされた。

SMBでのニーズを満たすVNXeの本気モード

 冒頭、製品の位置づけについて説明したマーケティング本部長の糸賀誠氏は、VMAXのようなハイエンドストレージ、VNXのようなユニファイドストレージ、バックアップ製品、スケールアウトNAS、RSAのセキュリティ製品など包括的なポートフォリオの中で、VNXeをSMB向けという同社にとって新しい市場における戦略製品と位置づけた。「SMB向けだが、機能的にも品質としても非常に高い信頼性を持っている。これまでとEMC製品と違って、簡単に運用管理ができる」と説明した。

EMCジャパン マーケティング本部長の糸賀誠氏

 続いて製品概要の説明とデモを行なったテクニカルマーケティング本部の吉田尚壮氏は、VNXeが登場した背景として、年平均50%で増加するデータ量と中小企業でのIT部門の課題を挙げた。

EMCジャパン テクニカルマーケティング本部 プロダクト・ソリューションズ統括部 シニア・テクノロジー・コンサルタント 吉田尚壮氏

 「中小企業ではストレージを専門で管理する担当者はほとんどいない。しかし、ストレージの容量はどんどん枯渇し、コストもどんどん減らされている状況」といった課題だ。これに対してVNXeは、「シンプル」「効率化」「お買い得」という3つの特徴を持ち、これらSMBでの課題を解決するという。

 まずシンプルというポイントは、導入や操作が容易という点だ。「通常のアプライアンスと同じく、管理用のIPアドレスを一度設定すれば、GUIの管理ツール『EMC Unisphere』を呼び出せる。初期設定も10分で終わる」(吉田氏)とのことで、専門知識がなくても設定できるのが大きい。EMC Unisphereは必要なメニューのみにコンパクトにまとめられているほか、難解なストレージ用語も使われていない。また、VMwareやExchangeなどのストレージ作成といった目的に対してウィザードが用意されているほか、故障の際も故障箇所やパーツの交換手順がきちんと説明されており、交換手順のビデオまで用意されているという。

目的別メニューで操作が簡単

プロビジョニングがウィザードで容易

 次の効率的というポイントは、NASとSANを同居できるユニファイドストレージであること、ファイルの重複排除機能を用いて空き容量を増やせることなどが挙げられた。物理容量以上のボリュームを仮想的に割り当てるシンプロビジョニングの機能も標準提供されており、SMB向けとは思えないリッチな機能を持っているといえよう。なお、セキュリティやデータ保護機能の一部は、オプションのソフトウェアスイートで提供される。

シンプルなソフトウェアライセンス体系

 そしてお買い得という点は、NASやiSCSIなど管理ツールやファイル圧縮・重複排除、スナップショットなどがすべて標準装備されている。「(SMB向けなのに)ミッドレンジの機能が使えて、なおかつ低価格なのが特徴」(吉田氏)という。また、2Uの筐体にドライブとコントローラを盛り込んだ省スペース性もアピール。高密度で、省電力な2.5インチドライブを採用したエンクロージャも用意される予定とのことだ。

 製品は2U筐体の「VNXe 3100」と3U筐体の「VNXe 3300」の2モデルが用意されており、VNXe 3100にはシングルコントローラーの機種も用意されている。電源やファン、I/Oカード、ネットワークなどさまざまなコンポーネントが冗長化されているので、システム全体として高い信頼性を誇っている。

2UのVNXe 3100と3UのVNXe 3300

 発表会の後半では、GUIツールUnisphereによるデモが行なわれた。Unisphereのメニュー構成を紹介しつつ、ウィザードで共有フォルダーやVMwareのNFSデータストアをウィザードから作成した。パラメーターが最適化されているため細かい設定は不要で、容易に設定が行なえた。また、シンプロビジョニングや重複排除のメニューもチェックボックスをオンにするだけの簡単設定で、ミッドレンジの技術がSMB向けのストレージでも容易に使えることがアピールされた。

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