VAIOの中でも本連載で扱う機種といえば、「Zシリーズ」や「Xシリーズ」といったモバイルに特化した製品か、「Yシリーズ」のような比較的安価な製品が多かった。今回採り上げる「Sシリーズ」は、そのどちらでもない。多くの人が利用するメインストリームの製品シリーズだ。
「そんなの普通でつまらない」んじゃないかって? そんなことはない。今回のVAIO S「VPCSBシリーズ」(以下SBシリーズ)は、開発陣曰く「三段跳び」を目指した、意欲的なモデルとなっている。SBシリーズ開発陣にその狙いを聞いた。なおSBシリーズの詳しいスペックは、発表記事を参照していただきたい。
今回お話しいただいたのは、ソニー VAIO&Mobile事業本部 第1事業部の宮入 専氏(設計リーダー)、石山智之氏(ソフトウェア担当)、北野勝巳氏(機構設計担当)、橘 健司氏(拡張用バッテリー&ドッキングステーション設計担当)と、企画1部の太田真人氏(商品企画担当)の5人の方である。
「バスの消費電力」にこだわって「スイッチ」を採用
SBシリーズをサイズだけで見ると、意外と地味に見えるかもしれない。13.3型・2スピンドルのモデルとしては、極端に薄いわけでも小さいわけでもない。重さは最軽量モデルで約1.64kgなので軽めだが、これも超軽量というほどではない。
しかし、バッテリー駆動時間は標準で最大9.5時間(SSDモデルの場合、JEITA測定法1.0の値)、オプションの拡張バッテリーを使うと倍の最大19時間にまで伸びる。これはかなりの値だ。しかも、Sandy Bridge世代の通常電圧版CPUとAMDの独立GPUを搭載しているのだから、スペック面でも申し分ない。
性能と重量、バッテリー駆動時間を高レベルで満たしているのが、SBシリーズの特徴といえる。
宮入「われわれとしては、旧モデルに比べ『三段跳び』の飛躍くらいのつもりで作りました。従来のVAIO Sは約2kgで最大5時間のバッテリーライフでしたが、今回は約1.76kgで8.5時間(編注:HDD搭載の店頭販売モデル上位機種の場合)。技術的には非常に大きな飛躍です」
「実はわれわれのチームには、VAIO ZやVAIO Tなどのモバイル向け製品を担当していたメンバーが多いのです。私も二世代前のVAIO Zを担当していました。そのメンバーが気合いを入れて作ったのが、この新しいVAIO Sです」

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