「拡張バッテリー」で夜まで戦える!?
もうひとつ、SBシリーズがバッテリーの面でこだわったのは「機構」だ。すでに述べたように、標準バッテリーに加えて「リチャージャブルバッテリーパック」(拡張バッテリー)を追加することで、長時間の動作が可能となっている。ここも実は、単に「2つ使って長くなる」わけではない。
宮入「大容量バッテリーではなく『拡張バッテリー』という扱いなんです。使用中は本体内蔵バッテリーでなく、拡張バッテリーの方から電力を利用していきます。拡張バッテリーを使い切ったら、外してもOKです」
「拡張バッテリーを付けた状態での重さは、2.1kg台になります。これで実仕様でも12時間のバッテリー駆動時間を実現します。拡張バッテリーを外した場合は、最も軽いモデルでの重さは1.64kg程度になります」
橘「拡張バッテリーに付属するチャージャー(小型充電器)を使うと、本体用のACアダプターを使って拡張バッテリーだけを充電できるのです」
太田「忙しいサラリーマンの方は、会議室から会議室へ移動しっぱなし、という方も多いと思われます。そういう時に、例えば午前中はフルチャージした拡張バッテリーで使うと、これだけで実質5時間以上動作します。そして、昼休みにちょっと席に戻って、拡張バッテリーを外して充電しておく。午後はそのまま本体だけで使う。さらに、夜には充電が終わっている拡張バッテリーを付けて再び使うという形にすれば、真夜中までバッテリーだけで使えます(笑)」
「日本のユーザーの方はわかりませんが、欧米の方々ならば拡張バッテリーをつけたまま使われるでしょうね」
橘「拡張バッテリーを付けてもフルフラットなデザインなので、つけたままでもバックに入れやすいという利点もあります」
「内蔵」+「拡張」という設計思想は、バッテリーの選択や充電方法にも生かされているわけだ。従来のノートパソコンとは、ちょっと違った考え方なのである。
宮入「スペック的には、本体内蔵バッテリーが6セルで、拡張側も同じ6セルです。VOM(VAIO OWNDER MADE)モデルでは、内蔵だけで最長9.5時間、増設すると単純に倍の19時間となります。店頭モデルだと8.5時間ですね」
「従来の大容量バッテリーに比べると、今回の拡張バッテリーはちょっと安めの価格(1万9800円)に設定しています。これまでの大容量バッテリーは『差し替え用で9セル』だったため、どうしても高価でした。今回は6セルですので、値段的にもリーズナブルになっています。われわれからの『使い方の提案』として、チャージャーユニットもセットで提供します」
橘「本体に拡張バッテリーを接続して充電する場合にも、まず内蔵バッテリーから充電されて、その後に拡張バッテリーが充電される、という形になっています」
「またポートリプリケーターを使う時にも、拡張バッテリーは付けたまま利用できます。フルフラットな構造になっていますから、高さが変わるだけです」
宮入「リチウム系のバッテリーは、80%まではハイレートで高速に充電できて、そのあとはゆっくりと充電していきます。実は80%から100%までの充電時間は、80%までと同じ時間が必要になるのです」
「ですので、内蔵バッテリーを80%まで充電したら、拡張バッテリーの充電に移行します。双方のバッテリーが急速充電ではない状態に移行するのは、双方ともに80%を超えてからです。できるだけ短い時間で充電が終了するようにして、長い使用時間を提供しようと考えたわけです」
スペック表によれば、バッテリーの充電時間は内蔵側が約3時間、拡張バッテリーで約2.5時間とある。双方共に80%までの充電でいいならば、それぞれ約1.5時間と約1.25時間となり、両方を足しても、内蔵バッテリーを100%充電するのに必要な3時間を切る。しかも、元々バッテリー駆動時間が長いので、80%までの充電でも十分に実用的だ。さらにはバッテリーそのものの寿命を長くするにも有効だと考えると、いいことづくめと言える。
ちなみにソニーとしては、SBシリーズのようなメインストリームのPCに、リチウムポリマー充電池を利用するのは「おそらく初めて」(太田氏)のこと。内蔵バッテリーの交換は個人でもできるが、本体内部に完全にビルドインされているので、頻繁に交換することを想定した設計にはなっていない。この辺りも、「拡張バッテリーの併用ありき」なのだろう。
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