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次世代を支えるシャープのLED技術(後編)

LED AQUOS──世界の亀山で見た高画質を支える光

2010年04月08日 11時00分更新

文● 遠藤諭、ASCII.jp編集部

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本当に鮮やかなシャープのLED AQUOS。やはりリビングには高画質なテレビをどどーんと置きたいものです

テレビにはLED! で、どこが光るの?

 それは日曜日のアンニュイな午後。私は携帯電話をいじりながら、ハンバーグをほおばり、持参した文庫本に目を通すというマルチタスクなひと時を過ごしていた。

 場所は住宅街の一角を占めるごく平凡なファミリーレストラン。時刻は昼食というよりはおやつを食べるのに適したころあい。少し離れた席で、観劇か何かの帰りなのだろうか、3~4人のマダムがお茶を飲みながら談笑を続けている。

 「いまテレビを買うなら、やっぱりLEDでしょう──」

 意表をつく言葉に、思わず耳をそばだてる。

 テレビにLEDなんて言葉は、ちょっと前までスペックにこだわるマニア層にしか浸透していなかったものだが。最近ではCMや店頭で盛んにアピールされているだけあって、ずいぶんと市民権を得ているようだ。

 聞いていると、液晶テレビは、高さの3倍の距離から見るのがちょうどいいとか、画質がいいからBlu-ray内蔵型のテレビに興味があるけれど、見て消すだけならHDD内蔵のテレビが便利なので悩む、とか意外に(失礼)的を射た会話をしている。

 「ところでLEDって何が光るの?」
 「……赤く(レッド)光る場所なんてないのにねぇ……」


LEDで新たなステージに立ったAQUOS

 以上は笑い話のような実話だが、実際のテレビでLEDのバックライトがどこに置かれ、どのように光っているかを明確に応えられる人はそれほど多くはないのではないか。

 液晶の後ろ側から光をあてるのは分かっていても、光源が実際に置かれている位置や個数は? 点光源のLEDで均一な面の光をどう作るか? といったところは意外に知られていない。

 前回の記事では、次世代の照明器具として「LED電球」を取り上げた。シャープがLEDに早くから取り組み、さまざまなデバイスで実績を積み、そしてLED電球の分野に満を持して参入したことが伝われば嬉しい。

AQUOSの形をかたどったという亀山工場のエントランス部分。中央には窓ガラスと太陽電池が互い違いに配置されている。亀山工場では、屋根や壁面に設置した結晶薄膜太陽電池モジュールによって、5150kW(一般家庭、約1300軒分!)の電力を作れるという

 今回の後編で取り上げるのは、これからの液晶テレビの標準仕様になっていくと考えられる「LEDバックライト」である。色再現性が高く、200万対1とも言われる高いコントラスト比を実現し、しかも省電力。国内でも、昨年の冬商戦あたりから本格的な製品投入が進み、高画質テレビの代名詞となっている。

 そんな中、「LED AQUOS」のブランド名を掲げ、新世代のテレビ=LEDバックライト搭載というイメージを積極的に浸透させようとしているのがシャープだ。同社が昨年11月に発表した「LX1シリーズ」は、「美しいが、値も張る」というLEDバックライト搭載テレビのイメージを払拭。売れ筋の価格帯で展開し、「LEDバックライト搭載の液晶テレビ」市場に一石を投じた。

AQUOS LX1シリーズ

 LED AQUOSは新開発のUV2A生産技術で生産されたパネル(以下UV2Aパネル)に、直下型のLEDバックライトを組み合わせた製品。自社設計の画像処理エンジンも駆使しながら、多彩な制御が可能なLEDの特徴も取り込んだ「好画質センサー」も導入した。視聴環境やユーザーの好みに合った最適な画質が得られるという触れ込みだ。市場の反応も上々で、年末から年始にかけて、一時量販店の店頭から在庫が消えるほどの好評を博した。

AQUOS SE1/SC1シリーズ。

 さらに今年2月には、LED AQUOSの新ブランド「SE1/SC1シリーズ」を展開。さらなる省電力化を追求した。2001年に21世紀のテレビを標榜して登場したAQUOSは、今年10年の節目を迎えるが、LED AQUOSはいままでのAQUOSとはまったく別物と言っていいほどの進化を遂げた「第2ステージのAQUOS」と言える。

 次世代のAQUOSを支えるLEDバックライト技術とは、どんなものだろうか? 日本が誇る、シャープ亀山事業所を取材した。

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