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図で解剖!スイッチ&ルータ 第3回

スイッチとRIP、OSPFについて知ろう

ルーティングとレイヤ3スイッチの関係とは

2009年08月06日 09時00分更新

文● 伊藤玄蕃

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大規模向けのOSPFとは?

 OSPF(Open Shortest Path First)は、大規模なネットワーク向けのルーティングプロトコルとして考案された。OSPFの原理は、「リンク状態(Link State)方式」と「エリア分割ルーティング」との2つである。前者は「コスト」という値を元に経路を決定するアルゴリズム、後者は全体ネットワークを「エリア」と呼ばれる単位に分割し、経路情報を独立して管理することを指す。

 OSPFでは、管理者が1つのサブネットに複数あるOSPFの中から「代表ルータ」を設置する。代表ルータはエリア内の他のルータからリンクの状態(回線帯域等から設定される「コスト値」と隣接するルータのアドレス)を収集し、エリア内の「リンク状態データベース(LSDB)」を作成する。このデータベースは、ネットワークトポロジとルータ間のコストが記入された、いわば「ロードマップ」のような存在である(図7)。

図7 最短パスツリーを把握するOSPF

 代表ルータは作成されたリンク状態データベースをエリア内のルータに配布し、各ルータは自分自身を始点とする最短パスツリーをメモリ内に作成する。ネットワークに障害が生じた場合には、それを検知したルータが代表ルータだけに通報する。そして、代表ルータは即座にリンク状態データベースを更新し、新たなデータベースをエリア内のルータに配布する。

 エリアの概念も説明しよう(図8)。OSPFでは全体ネットワークをいくつかのエリアに分割することができるが、必ずそのうちの1つを「バックボーンエリア」に設定し、他のエリアはバックボーンエリアに接続させなければならない。このとき、バックボーンエリアと他のエリアの境界(接点)に位置するルータを「境界ルータ(ABR)」と呼ぶ。境界ルータは代表ルータからリンク状態データベースを受け取り、自分の所属するエリアの経路情報をバックボーンエリアに流す。また、バックボーン経由で入手した他のエリアの経路情報も、自分の所属するエリアに転送する。

図8 OSPFのバックボーンとエリア

 OSPFの最大の利点は、ホップ数(経由するルータ数)ではなく、ルータ間の回線速度まで考慮したコストと呼ばれる指標により経路を選択することである。これにより、大規模な組織のネットワークであればOSPFだけで運用が可能となった。また、ネットワーク構成が変更された時にネットワーク全体に情報が伝わる時間がRIPよりも短く、ネットワーク障害の検出にかかる時間もRIPの約3分から40秒程度まで短縮された※6。また、可変長サブネットマスクにも対応したのも大きい。

※6:40秒程度まで短縮された RIPでは、180秒以上ルーティング情報を送ってこない隣接ルータは通信不能と判断する。OSPFでは生存通知パケットを待つ時間を、20秒~40秒程度で設定できる

 欠点は、リンク状態方式ではルータの資源(CPUとメモリ)を多く必要とすることである。そのため、廉価なルータでは、OSPFがサポートされないことが多い。

(次ページ、「ルータとレイヤ3スイッチ」に続く)


 

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