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LANの分割とIPによるLAN間通信
Ethernetの通信は、フレームと呼ばれる単位でデータを送受信する。フレームの先頭部分には宛先と送信元の両方のコンピュータのMACアドレスが格納され、これにより正しい相手にデータが配送される。
そこで、通信を行なうコンピュータは、まず相手のMACアドレスを知らなければならない。このためにブロードキャストフレームが使われる。「私の通信相手は、MACアドレスを返信してください」といった内容のブロードキャストフレームを流せば、LAN内の全コンピュータがそのフレームを受信し、自分がそれに該当すればMACアドレスを返信する。これによって正しい相手と通信を行なうことができる。
しかし、大量のブロードキャストフレームが流れると、コンピュータはそれに処理能力を奪われてしまう。これを「ブロードキャストストーム」と呼ぶ。経験的に、ブロードキャストフレームはLAN内のコンピュータの数の二乗に比例して増えることが知られている。そのため、LANに接続されるコンピュータが一定数を超えると、LANの分割が行なわれる(図1)。100台が接続された1つのLANを、50台ずつの2つのLANに分割してブロードキャストドメインを小さくする、といった具合だ。しかし、LANを複数のセグメント※1に分割するだけでは、別々のセグメントに振り分けられたコンピュータ間の通信ができなくなってしまう。
※1:セグメント LANの最小単位を指す用語で、スイッチの登場以降はブロードキャストドメインを指すようになった。IPネットワークではサブネットと同じ意味で使われるそこで、Ethernetの上位に位置するIPの出番となる。Ethernetではハードウェア的に割り当てられたMACアドレス(=物理アドレス)を使って通信相手を識別するが、IPではソフトウェア的に割り当てられたIPアドレス(=論理アドレス)で識別する。IPアドレスも世界中で統一されたルールに基づいて割り当てられ、原則として重複しないことになっている。また、IPの通信データは「パケット」と呼ばれる単位に区切られて送受信される。そして、規模の大きなネットワークでは「ルータ」と呼ばれる装置を使って、Ethernetのブロードキャストドメインを分割しながら、必要なパケットの「フォワーディング(転送)処理」を行なう。
(次ページ、「IPアドレスとルーティング」に続く)
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