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Sun Cluster 3.0

2001年04月04日 15時31分更新

文● 渡邉 利和(toshi-w@tt.rim.or.jp)

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大規模環境では、信頼性やスケーラビリティの確保のために「クラスタリング」を利用するのが一般的だ。Sunもこのほど、クラスタリングソフトウェアの最新バージョン“Sun Cluster 3.0”をリリースした。このソフトウェアは、単なるクラスタリング用のオプションのような顔をしてはいるが、実はSolaris自体の将来の姿を変えてしまうほど野心的な構想に基づいて設計されたものである。

大規模環境では、クラスタリングを利用するのが一般的だが、一口にクラスタリングといっても用途によって性格の異なる構成がいくつかある。複数のコンピュータシステムを1群(=Cluster:クラスタ)にまとめ、仮想的に1台のコンピュータシステムであるかのように扱う、というのが共通する特徴だが、用途に応じて実現すべき機能が違ってくるのだ。最近では、大きく3種類に分類することが多いようだ。

大規模なWebサイトなどでよく利用される構成に、1Uタイプのラックマウントサーバなどの省スペースサーバを多数集積する例がある。このような構成を、最近は“loosely coupled cluster”と呼ぶ例が増えているようだ。「粗結合クラスタ」とでも訳せばよいだろうか。Webサーバの場合、特に静的なHTMLページを返すだけのサーバは「状態を保持しない」という特徴がある。つまり、要求を受け付け、要求されたURLに対応するファイル(HTMLファイルや画像ファイルなど)を送り返す、という処理で完結する。ユーザーが前にどのページを見ていたかとか、そもそもユーザーが誰であるかなどの付帯的な情報は必要としない。従って、リクエストのたびに異なるサーバが応答を返しても、送り返すファイルの内容が同一であれば問題はないことになる。ラックなどに多数集積されたWebサーバ機は、すべて同じURLで参照できるように設定され、受け付けたリクエストに応答する、ということを繰り返している。

この構成の場合は、Webサーバの前段にリクエストを各サーバに振り分ける「ディスパッチャ」と呼ばれるハードウェアを置いたり、あるいはラウンドロビンDNSなどの手法を用いて1つのURLに対して複数のサーバが応答するようにしている。確かに、アクセスするユーザーから見れば1つのWebサーバに見えるが、実際には複数のサーバ機から構成されている、という観点からはクラスタである。しかし個々のサーバに注目してみると、相互に通信する必要はなく、もちろんクラスタリング用の特殊なソフトウェアが動作している必要もない。loosely coupled、すなわち「緩やかな結合」という言葉通り、独立したコンピュータが全体として負荷を分散している、という形態である。

次に、特殊なソフトウェアを実行する際に用いられる大規模な並列コンピューティングがある。これは、HPC(High Performance Computing)と言われる分野で利用されるもので、極端に単純化してしまうと、「一昔前のスーパーコンピュータと同様の用途のコンピュータシステムを、安いハードウェアをたくさん集めて実現しましょう」という感じの考え方だ。並列コンピュータなどと呼ばれることもあり、これはこれでまたさまざまな実現方法があるし、現在も盛んに研究が行なわれている最先端分野でもあるのだが、ここではあまり詳しくは触れない。とりあえず、これは科学技術計算などの用途が主で、処理自体も並列度の高い演算処理でないと効果がないため、汎用性は低い。少なくとも、一般的なビジネスコンピューティングの分野ではあまり使われていないものだ。

最後になったが、一般的な企業システムなどで利用されているのが、高信頼性を重視したクラスタリングシステムである。これは、“tightly coupled cluster”(密結合クラスタ)と言われることもある。単純に言ってしまえば「いざという場合に備えて予備を用意しておく」という発想だ。こちらも、さまざまな構成を採ることが可能だが、現実には2台のコンピュータを一組にし、1台を予備として常時待機させておくホットスタンバイ構成が一般的だという。データのみのバックアップなら個人でもやっている人はいるだろうが、これは言うなればシステム丸ごとのバックアップである。しかも、単に同じ構成のハードウェアを予備として用意しておくだけなら特別なソフトウェアは必要ないが、ホットスタンバイ構成では予備のハードウェアも稼働状態にあり、メインのシステムの障害時にはそこで実行中だった処理を即座に引き継いで継続実行することが求められる。このために、クラスタソフトウェアが必要となるのである。Sun Cluster 3.0も、当然この機能を備えている。

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