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池田信夫の「サイバーリバタリアン」 第6回

マイクロソフトは、21世紀型企業に生まれ変われるか

2008年03月04日 11時30分更新

文● 池田信夫(経済学者)

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欧州委員会との終わりなき闘い


 第2と第3の出来事は、密接に関連している。マイクロソフトは2月21日、Windows VistaやOfficeなどについて、API(開発インターフェイス)や通信プロトコルについての文書を公開すると発表した。これは2004年に欧州委員会に命じられた「サーバOSの相互運用性確保のための情報開示」への対応とみられた。

 しかし、その決定を否定するように翌週、欧州委員会は、マイクロソフトに対して独禁法違反で約9億ユーロ(約1400億円)の罰金を科す決定を発表した。これは同委員会の是正命令を、マイクロソフトが決められた期限(昨年10月)までに実行しなかったことへの処分だ。罰金は過去最高額で、2006年のものと合計すると約17億ユーロ(約2700億円)にのぼる。

 この決定で、欧州委員会のネリー・クルース競争政策担当委員は、「マイクロソフトは、EUの競争政策における50年の歴史の中で、独占禁止に関する決定不履行で制裁金を科された初の企業である」と異例の強い調子でマイクロソフトを批判した。

 欧州での紛争がここまで泥沼化した原因は、マイクロソフトが当初、「独禁法の問題は米国司法省との和解で解決済みだ」との態度をとったことが、欧州委員会を怒らせたことにある。さらに米国の訴訟で司法省を支援したサン、オラクル、IBMなどの競合他社が、欧州委員会にマイクロソフトの「反競争的行為」について膨大な情報を提供した。つまり今や法廷闘争もグローバルなのだ。マイクロソフトは、それに気付くのが遅すぎた。

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