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林信行のマイクロトレンド 第14回

ネットに衝撃を与えた「インパクト・ゼロ」な生き方

2007年10月19日 20時24分更新

文● 林信行(ITジャーナリスト)

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あなたの二酸化炭素排出量を調べるエコ計算機


 人の生活習慣を見るのも面白いが、自分が環境に対して、どのようなインパクトを持っているかを知るのはさらに興味深い。

 最近、自分や自分の世帯が年間にどれくらいの量の二酸化炭素を排出しているかを計算する「CO2 Calculator」、いわゆる「エコ計算機」のウェブサイトが流行している。

 音楽家で活動家の坂本龍一さんも、現在、個々人の二酸化炭素排出量のデータを集計して楽しめる「Web 2.0」的なエコ計算サイトを立ち上げ、その結果に応じた植林活動を促す活動につなげようとしている。

ACT ON C02

「ACT ON C02」のウェブサイト

 9月に開催されたTHE NEW CONTEXT CONFERENCEに、ビデオメッセージの形で登場した坂本さんは、最近の「エコ計算機」の中にはFlashアニメーションを使った楽しげなものも多いと、「ACT ON C02」というウェブサイトを紹介していたが、その管理人は実は英国政府だ。

 家は築何年目か、どの程度の広さか、電球がいくつくらいあるか、といった質問に答えて行くと、年間、どの程度の二酸化炭素を排出しているかが概算で表示される。

 このサイトはイギリス居住者向けにデザインされているが、ほかにもより国際対応が進んだ「Carbon footprint」や、「Climatecare」といったウェブサイトもある。また、日本でも「CO2排出量計算機」というウェブ対応のウィジェットが登場している。

 インターネット上の計算機ばかりではなく、最近ではハードウェアでもエコ対応のものが散見される。過去には(株)イシダがCO2排出量を計測できる計算機「エコデン」を販売していた(現在は販売終了)。また日本ヒューレット・パッカード(株)は、テレビ番組用に作ったPDA「iPAQ」にCO2排出量計算ソフトをインストールしたCO2計算機「Earth Cal」を紹介している。



排出した二酸化炭素をオフセットする


 しかし、個人や世帯の二酸化炭素量を知って一体どうしろというのか。「今月は二酸化炭素の排出量が多いから、息を止めよう」というのも無理な相談だ。

 そこででてくるのが「オフセット」という考え方だ。

 例えば、自分の排出した二酸化炭素の量に応じて、他での二酸化炭素排出の量を減らしてみよう。食べ物だったら、遠くの産地から多くのガソリンを消費して輸送したものではなく、自分の住んでいるところに近い場所で生産されたものを買えばいい。

 また、環境に悪影響を与えている企業の製品ではなく、環境への影響に配慮して、必要なデータをちゃんと明示している企業の製品を買うようにする努力もできる。

 さらには植林活動などの完全ボランティア型のオフセット方法もある。さきほど紹介した「Carbon footprint」や「Climatecare」は、そうしたオフセットの販売ビジネスも行っている。

 エコ活動をする団体だからといって清貧である必要はなく、地球のためになること、環境のためになること、消費者が喜ぶことをやって自らも収益をあげるのは、それはそれで健全なビジネスタイルだ、と筆者は思う。CSR(Corporate Social Responsibility)という言葉が流行っているからといって、ただ形だけ環境に配慮するような企業と比べても健全だろう。


(次ページに続く)

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