今年は1年を通して最大の話題は、アップルが発表した携帯電話機「iPhone」だろう。iPhoneは、キャリアーとメーカーの立場を逆転させるなど、それまでのケータイ業界の常識をことごとく打ち破った。米国に続いて欧州主要国での発売も始まり、あいかわらず話題を提供し続けている。
iPhoneがもたらした、もう1つの変化
ところで、このiPhoneは、ケータイ業界以外の世界にもいろいろな影響をおよぼし始めている。例えばウェブ業界だ。
iPhoneが、ウェブブラウザーとして「Safari」を採用したことで、今やSafariはウェブクリエイターの中で無視できない存在となった(その後、iPod touchもiPhoneに続いたためなおさらだ)。
Safariが重要なのは、採用機器の数や人気だけの問題ではない。
実際にこれらの機器のユーザーが、どれだけブラウザーを活用しているかも重要だが、最近、米ネット・アプリケーションズ社が発表した統計(関連サイト)によれば、iPhone/iPod touchユーザーのウェブブラウザー利用率は極めて高いようだ。
同社では月間1億6000万PVのページを使い、ウェブアクセスに使われたOSのシェアを割り出している。11月時点でのiPhoneの出荷台数は140万台(iPod touchは未公表)だが、両製品のブラウザーのシェアは0.09%となった。
非常に小さい数字のように見えるが、実は出荷台数が2000万台以上のWindows Mobileのブラウザーシェアは0.06%で、iPhoneはこれを上回っている。
ちなみに世界で何億台と売れている、ノキアのSymbian(S60)ブラウザーのシェアは0.01%だ。
日本でも多くの携帯電話がパソコン用のウェブページを閲覧できるフルブラウザーを搭載しているが、それにも関わらず、ほとんど活用している人がいない。これはフルブラウザーの使いにくさにも一因があると思う。だが、iPhone/iPod touchのウェブブラウザーは、人気のタッチ操作で、この使いやすさの問題を解決してしまった。
民主党人気はMac人気と連動する!?
蛇足ながらネット・アプリケーションズの別の統計によれば、全米でMacが人気の州は、大統領選で民主党優位の州とほぼ重なっているそうだ。
(次ページに続く)

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