このページの本文へ

前へ 1 2 次へ

プロジェクトは成功するためにある! 本当の実力を養う最強プロマネ講座 第4回

第4回 見通しの甘さを排除する正しい「コスト・マネジメント」のあり方

2007年09月28日 16時45分更新

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

土谷政則さん

株式会社富士通ラーニングメディア
研修事業部シニアインストラクタ
プロジェクトマネージャ
土谷政則さん

プロジェクトを成功に導くには、プロジェクト推進に関する正しい知識と、そして的確な判断と行動が必要不可欠。それを行なうのがプロジェクトマネージャーで、プロジェクト成功の鍵を握る重要な職種だ。しかし、このプロジェクトマネジメントが的確に実施されていないため、プロジェクトが成功に至らないケースも多い。そこで、ありがちなプロジェクトの失敗例に迫りながら、国際資格「PMP(Project Management Professional)」のバイブルとも呼ばれる「PMBOKガイド」をプロジェクト成功のためにどのように役立てるかを、全10回に渡り解説する。

コストに対する見通しが甘い

 大きな規模のプロジェクトほどコストは大きくなります。そして規模が大きくなればなるほど、予算の全体像を把握するのが難しくなり、プロジェクトが進むにつれてコストが拡大、気がついたら予算オーバーという失敗が起きやすくなるのです。しかし、プロジェクトの途中での仕様変更の発生やスケジュール変更は致し方ない部分はありますが、予算オーバーだけは避けなければなりません。

 予算オーバーの原因として多いのは、予算を組むときにコストを算出する項目の洗い出しが不十分で、計上すべき項目が漏れていたり、リスクを想定した予備費を確保していなかったりすることです。

 ユーザー(発注側)にとって、一度稟議を通して決定した後の予算の追加は、再度1つずつ稟議を通していかなくてはならないので非常に手間がかかりますし、また認められないこともあります。そういった際に、受注側がオーバーしたコストを負担せざるを得ない状況も発生し、WIN-WINの関係が成り立たなくなってしまいます。それではプロジェクトは完了しても「失敗」と言わざるを得ないでしょう。

スタート時のコスト見積もりは1回のみ

 コストについては、コストを管理するためのコスト・マネジメントが必要です。コスト・マネジメントとはコストの見積もり、予算化、コントロールからなる管理プロセスです。特に見積もりについては、最初から正確な見積もりはできないことを認識する必要があります。プロジェクトスタート時の見積もりはPMBOKガイドでも「-50%から+100%の超概算」とあり、それが「概算見積もり」→「予算見積もり」→「確定見積もり」(図1参照)と経過を経て金額がフィックスされていくことが書かれています。見積もるタイミングで手法が異なり、作業項目が明らかになっていくことによって見積もりの精度が徐々に上がっていきます。

見積もり精度

図1:PMBOKガイドで解説される見積もり精度による分類(画像クリックで拡大)。プロジェクトが進展するにつれて、見積もり精度は高くなっていく

 プロジェクトというものはその進行に従って、何をすべきか、そしてどれくらいの時間がかかり、必要なリソースは何かなども判明していきます。そこからそれぞれのコストが明らかになるのです。注意すべきことは、見積もり算出のための項目を漏らさずリストアップするということ。項目が漏れると、“予算オーバー”の失敗となる可能性があります。では、項目を漏らさないためにはどうすべきなのか。そこで、WBSの回でも解説した(第2回連載参照)「組織のプロセス資産」を生かすことが必要となります。つまり、コストに関しても重要なことは、曖昧さをなくすこと、過去の教訓を生かすことが重要なのです。このようにコスト・マネジメントは特にプロジェクトの利益が上がるのか、また赤字になるのかにダイレクトに影響しますので確実にやりましょう。

次ページへつづく

■関連スキルアップコース(富士通ラーニングメディア)
・プロジェクト計画
・実践力スキルアップシリーズ プロジェクトマネジメント計画編

    

前へ 1 2 次へ

カテゴリートップへ

この連載の記事

アスキー・ビジネスセレクション

ASCII.jp ビジネスヘッドライン

ピックアップ