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2007年10月26日更新

第8回 危機管理はまだまだ甘い? 「リスク・マネジメント」の第一歩

土谷政則さん

株式会社富士通ラーニングメディア
研修事業部シニアインストラクタ
プロジェクトマネージャ
土谷政則さん

プロジェクトを成功に導くには、プロジェクト推進に関する正しい知識と、そして的確な判断と行動が必要不可欠。それを行なうのがプロジェクトマネージャーで、プロジェクト成功の鍵を握る重要な職種だ。しかし、このプロジェクトマネジメントが的確に実施されていないため、プロジェクトが成功に至らないケースも多い。そこで、ありがちなプロジェクトの失敗例に迫りながら、国際資格「PMP(Project Management Professional)」のバイブルとも呼ばれる「PMBOKガイド」をプロジェクト成功のためにどのように役立てるかを、全10回に渡り解説する。

リスクに対する認識が甘さが及ぼす影響

 新しい事業を立ち上げたり、プロジェクトを進めたりするのにリスクは付き物です。しかし、ある事柄がリスクであるとわかっているにも関わらず、先送りにしてしまう事があります。それは「直接被害が及ばない」「まだ大丈夫だ」と考えてしまうからでしょう。でもそうすると、リスクの拡大、対策の選択肢の減少、手戻り作業の発生、新たなリスクの表面化などさまざまな悪い事態を招くことになります。プロジェクトの成功は、このリスクにどう対応していくかにかかっています。これができないと、プロジェクトを進めるどころか、問題解決だけに終始してしまう可能性が高いでしょう。

ほかのプロマネ、メンバー、ステークホルダーから多角的な視点を得る

 リスク・マネジメントという考えを強調するようになったのは、ここ数年のことです。それまではトラブルが起こるたびに解決していくという問題解決の考え方が一般的でした。つまり、「モグラたたき」のような解決方法だったのです。しかし、これではプロジェクトを進めることよりも問題解決に時間とコスト、労力を取られることになりプロジェクトは疲弊してしまいます。そこで起こりうる問題を予測し、事前に対策しておいた方が賢明であるという考えに基づいたのが「リスク・マネジメント」であったのです。

 このリスク・マネジメントで、まず大切なことはプロジェクトにどんなリスクがあるのかを洗い出す作業をすることです。コストは予算内に収まるのか、スケジュールどおり進むのか、人手は足りているのか、どんなリソースが必要なのか、さまざまな方面からの洗い出しをするのです。その際、他のプロジェクトに関わったプロジェクトマネージャーに「どのようなリスクが考えられるか」過去の経験を聞くことをお勧めします。つまり、ここでもこれまで何度も解説してきた「過去のプロセス資産を生かす」ことが大切となるのです。また、プロジェクトのメンバーだけでなく、ステークホルダーも含めてこのリスクの洗い出しをするとよいでしょう。見る眼が違ってくると問題の視点が変わり、新たなリスクが発見できるはずです。

定性的リスク分析と定量的リスク分析

 さらにリスク・マネジメントにおいて大切なことがもう1つあります。前述のリスクの洗い出しだけでなく、リスクをしっかり認識するための「リスク分析」ができることです。

 具体的なリスク分析の方法には、定性的リスク分析と、定量的リスク分析があります。まず定性的リスク分析については、PMBOKガイドによると「リスクの発生確率と影響度を評価し、組み合わせ、この後の分析や対処のためにリスクの優先順位付けを行なう」と書かれています。つまり、リスクには大小があるので、相対的にランキングをつけて優先すべきリスクとそうでないリスクを分けるのです。また、定量的リスク分析は「識別したリスクがプロジェクト目標の全体に対して与える影響を数値的に分析する」とあり、定性的分析で優先度が識別されたリスクに対して、それぞれがどれくらい重要なのかを今度は認識しやすいように数値で表し分析します。つまり各リスクの対応にどの程度のリソース(金額・時間・人材など)が必要となるのかを判断し、この分析をもとに優先順位をつけて対策を立てていくのです。

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■関連スキルアップコース(富士通ラーニングメディア)
・システム開発事例で学ぶシリーズ ~リスクマネジメント~
・超上級PMから学ぶ!目からウロコのプロジェクト疑似体験 ~リスク編~

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