最新パーツ性能チェック 第482回
MSI「Claw 8 EX AI+ CG3EM」をレビュー
CPU性能はRyzen 7 5700Xに比肩!Arc G3 Extreme搭載ポータブルゲーミングPCの性能は驚異的だった
2026年09月01日 10時00分更新
Pコア、Eコア、LP-Eコアの使われ方はゲームによって大きく異なる
ここまでゲームのフレームレートを見てきたが、画質を下げればカジュアルゲーミングには十分なパフォーマンスが得られることがわかっていただいたかと思う。
では、Arc G3 Extremeはゲーム中にどの程度「頑張って」いるのだろうか? 特にゲーム中に3種類のコア(Pコア、Eコア、LP-Eコア)はどのような使われ方をしているのだろうか? といった疑問について検証していきたい。
ここではNTEとForza Horizon 6をそれぞれ10分プレイし、その際「HWiNFO Pro」を用いて各種情報を取得した。なぜこの2タイトルなのかというと、NTEは軽めでForza Horizon 6は重め(とくにCPUが)という両極端なゲームだと肌感覚でつかんでおり、どちらもオープンワールドという点が主だった理由だ。
まずはArc G3 ExtremeのCPUコアクロックの推移だ。シンプルにベースクロックと各コアの倍率の平均値から算出されるクロックを比較する。まずはNTEからチェックしよう。
Arc G3 ExtremeのPコアの最大ブーストクロックは4.7GHzだが、今回の実測値は4.5GHzだったので、スペックと観測結果はほぼ一致している。ただし、ゲーム実行中の大半の時間において、Pコアは1.5GHz付近で安定し、時折2GHz台を突破するという感じだった。
また、LP-EコアがEコアと同等、あるいはEコアよりも高いクロックを示している区間があった点も興味深い。ただし、このグラフで示しているベースクロック×倍率で算出するクロック(仮に「名目クロック」と呼ぶ)は、実際の仕事率を考慮していない。
つまり、名目クロックからは、「仕事をほとんどしていないという状況」を見極められないのだ。そこで、Pコア、Eコア、LP-Eコアの使用率から求められる実効クロックを比較してみよう。
使用率グラフから明らかな通りLP-Eコアはあまり使われず、ほとんど動いていないシーンもある。逆に2コアしかないPコアの使用率は圧倒的に高く、60~80%の間を推移している。EコアはざっとPコアの半分程度の負荷にとどまっている。
では、Forza Horizon 6のデータもチェックしよう。
Forza Horizon 6の名目クロックはNTEよりも“揃っている”印象だ。つまり、NTEよりも負荷が高いことを示唆している。もっと正確に判断するため、実効クロックと使用率の推移も見ておきたい。
Forza Horizon 6はNTEよりも圧倒的にCPU負荷が高い。とくに、NTEでは0%になることの多いLP-EコアですらForza Horizon 6では動員していることがわかる。なによりPコアの使用率が常に80%を大きく超えている点が印象的だ。
こういうデータを見ると、Arc G3 ExtremeのPコアはあと2基増えてもよかったのではと思うが、そうするとバッテリー駆動時間や冷却の問題が発生するので、Pコアは2基にせざるを得なかったという感じだろうか。
CPU負荷がGPU温度に影響する
CPU負荷が判明したところで、温度も見てみよう。この手のデバイスで最も懸念される事象は、性能を求めるあまり爆熱になりファンの動作音がうるさくなるという負のスパイラルに陥ることだ。
Claw 8 EX AI+は携帯性を重視した小型ボディーなので、さぞ温度も高くなるだろうと考えていたが、実際には大半の時間において80度未満に抑え込んでいることがわかった。一瞬だけCPU温度が高くなることはあっても、長時間持続せず短時間でまた80度未満に戻っていた。
GPU温度も興味深い。NTEではCPU温度とGPU温度はほぼ同じだが、Forza Horizon 6ではGPUのほうがCPUよりもわずかに低い。これはForza Horizon 6ではCPUがより多くのパワーを要求する関係で、GPUのパワーが削られ、その結果としてGPU温度が下がった、ということになる。
CPUの消費電力はほぼ25W固定
CPUとGPUの温度が異なるということは、消費電力にも差異が出ることを示唆している。幸いArc G3 Extremeには消費電力を示す3種類の指標がある。CPU Package PowerとGT Cores Power(ここではGPU Powerと表記)、そしてTotal System Powerの3つだ。
CPU Package PowerはCPU全体の消費電力で、GPU PowerはGPUタイルの消費電力に対応する。そして、Total System Powerはプラットフォーム電力であり、メモリーやストレージ、ディスプレーなども含む消費電力を各電力レールの状況から推測した値である。
Total System Powerはハードの設計次第では正しくない値を返すこともあるようだが、後に示すバッテリー駆動時間から、Claw 8 EX AI+ではシステム全体の消費電力を示す妥当な指標であると判断している。
どちらのゲームにおいてもCPU Package Powerは25W(PL1の値)に収束していることがわかる。一瞬30W近くまで上がることはあっても、次の瞬間には大きく下がる。
GPUの消費電力はNTE>Forza Horizon 6である点にも注目してほしい。Forza Horizon 6のCPU負荷が高いため、GPUの電力が削られていることがここでも示されている。Forza Horizon 6におけるGPU温度が低い理由は、電力を削られているからだ、という推測の裏付けにもなっている。
そして、Claw 8 EX AI+の消費電力はおおよそ42W。CPU性能がRyzen 7 5700X相当の性能を備えるPCが、ディスプレーも含めてわずか42W前後の消費電力で収まり、なおかつポータブル型であるという点は驚きに値する。
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