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科学技術振興機構の広報誌「JSTnews」 第73回

【JSTnews2月号掲載】NEWS&TOPICS 創発的研究支援事業/研究課題「染色体外環状DNAの包括的理解とその応用」 戦略的創造研究推進事業CREST/研究課題「遺伝子増幅装置と染色体ベクターの構築」

出芽酵母を用いて環状DNA発生の仕組みを明らかに

2026年02月17日 12時00分更新

文● 中條将典

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 私たちの遺伝情報は染色体DNA上に記録されていますが、がん細胞では染色体の一部が切り出されて環状化したDNAが蓄積しています。この環状DNAはがん化を促進する遺伝子を含み、がんの発症や進展、抗がん剤の効果が低下する薬剤耐性に関与します。しかし、環状DNAがどのようにして生成するのかは長年わかっていませんでした。

 国立遺伝学研究所の佐々木真理子准教授と東京大学定量生命科学研究所の小林武彦教授らの研究グループは、CAF-1というたんぱく質に着目し、ヒトを含む真核生物を代表するモデル生物である出芽酵母を用いて実験をしました。CAF-1は複製のためにほどかれたDNAが再び巻き取られてヌクレオソームを構築する際に働きますが、これが失われると、リボソームRNA遺伝子領域から多数の環状DNAが生成することを確認。この環状DNAは、複製が止まり二本鎖DNAが損傷して切断された際に、本来は正確に修復されるべき過程で誤ってできることがわかりました。

 CAF-1が環状DNAの生成を抑制する仕組みの解明は、将来的にがん細胞での異常発生の理解に寄与します。さらに、出芽酵母を用いた実験系は、基礎研究から応用研究への橋渡しとなり、創薬や医療の発展に貢献することが期待されます。

(左)DNA複製が停止して損傷が起きても、正確に修復される。(右)複製後にヌクレオソームが正しく再構築されないと、普段抑制されている転写が活発に起こるようになり、環状DNAが作られる。

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