キャスターだから語れる“熱いユナイトの裏側”に迫る

公式キャスター視点で見るPUACL2026 水上侑×ここあったが語るユナイトの熱気、そして“注目チームと選手”

文●モーダル小嶋 編集●ASCII

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「新しいのにベテラン揃い」DetonatioN FocusMe
「集団戦が上手い」ENTER FORCE.36

——現段階(※インタビュー収録は11月30日)で、印象に残ったチームはありますか。

水上 Day1を無敗で優勝した、DetonationN FocusMeですね。チームとしては本当に新しいんですよ。今回のリーグから部門が発足された、一番若いチームで。

 ところが、チームメンバーはほとんどがプロチーム経験者で、全員ベテランであると。チームは新生でも中身はベテランという、面白いギャップを持っているチームで、それが結果にも現れていると思っています。

——ここあったさんの“競技者の目線”から見て、DetonatioN FocusMeのポイントはどこにあるでしょうか。

ここあった 選手でいえば、Yakou選手が以前よりアグレッシブになっていると思いました。どちらかというとセーフティーに、リスクを減らすようなプレイをするイメージの選手だったんです。しかし今回のリーグでは、たとえばブラッキーでどんどん前に出て自分から仕掛けていく……というようなプレイスタイルの変化を感じます。

水上 Yakou選手が公式のインタビューで語っていたように、アグレッシブな、自分の得意ではなかった部分を今回チームの特長として伸ばしていくという姿勢が見られますよね。

ここあった 個人的には、ENTER FORCE.36も注目チームです。

水上 ああ、わかる〜!

ここあったさんが注目しているチームは、ENTER FORCE.36。集団戦が上手いところに惹かれるとのこと

ここあった やはり、集団戦が上手なチームは“映え”ます。集団戦の組み立て方も、序盤から既に確立されている。集団戦に強い構成はどうしても序盤が落ちてしまうのですが、そのあたりの組み立て方が上手い。アグロピンポン*が見事というか、最終的な集団戦におけるリソースの管理の上手さもENTER FORCE.36にはすごく感じますね。

* 集団戦などで、一人が攻撃を引き受け、倒される前に別のプレイヤーが攻撃を引き継ぐようにローテーションを繰り返すような、敵の注意を分散させる戦術

 特に中央ルートのISKW選手と、下ルートのKota選手の2人が、筆頭としてどんどん集団戦をキャリーしているなという印象でした。

Overlord選手がREJECTの進化のカギを握る!?

——選手にフォーカスした話が出ましたが、お二人が注目している選手となると、いかがでしょうか。

水上 やっぱり、REJECTのOverlord選手ですよね。元々海外地域のトップチームに所属していて、世界大会でも2度の優勝経験がある選手。ポケモンユナイトのシーンでもトップの実績を持っていると思います。

 そんな選手が新たな環境、新たなチーム、新たな国でプレイしたときにどうなるのか。日本に海外選手を受け入れる事が、そもそも初めての試みですから。もちろん、日本でのプレイが楽しみ……という面も含めて、注目を集めている選手だと思います。

REJECTのOverlord選手

——実績も知名度もトップレベルのOverlord選手の経験や個性が、REJECTの中でどのような化学反応を起こすのか、注目しているファンの方も多い印象です。

水上 現状、REJECTのメンバーとしては、遠距離で戦うアタック型のポケモンを中心に選んでいる。これまで彼が所属していたLuminosity Gamingではバランス型やスピード型が中心でしたから、すでに違ったプレイスタイルになってきているところが見られます。

 とはいえ、言語によるコミュニケーションの面など、他チームとは少し違った課題も確かに抱えているはずです。 「REJECTというトップチームにOverlord選手が加わったから最強だ」という安易な話ではないだろうと思っていますが、もしそういったREJECTならではの課題をクリアする事ができれば、REJECTはどこも追いつけない強さを持つチームになるのではないかと……。そこのカギを握っているのは、やはりOverlord選手だと考えています。

ここあった 自分は先ほども名前を挙げましたが、ENTER FORCE.36のISKW選手ですね。ENTER FORCE.36自体、もともと有名ではなかったのですが、徐々にコミュニティ大会などで勝ち始めて頭角を現したチームなんです。

 その中でもISKW選手は見ていて華があるというか、ZETA DIVISIONのVitoppo選手と同じような、「自分がキャリーするぞ」という動きがとても上手です。そういう動きがあるチームは、必然的に集団戦が起きやすい。しかもENTER FORCE.36はその集団戦が上手ですから、試合に華があるなと感じる。そのあたりがENTER FORCE.36に注目する理由ですし、ISKW選手にがんばってほしい理由でもありますね。

ENTER FORCE.36のISKW選手

水上 ほかの選手で注目株を挙げるなら、FENNELのb1選手。今年の3月にIGZISTに所属した事でプロデビューした選手で、同じFENNELのpy1選手やMame選手と比べると新しい選手です。もともとIGZISTのときはサポート型のポケモンを選んでいましたが、現状FENNELではディフェンス型中心にプレイしていますね。

 Day2でいえば、ROUND 1のREJECT戦での試合がめちゃくちゃ上手でした。実況ではあまり触れられませんでしたが、細かい位置取りやチャンスメイクが上手くて。それがポジションの奪い返しや、不利な状況を覆すきっかけに繋がっていたと思います。

FENNELのb1選手

ここあった b1選手は、動き方が上手いですね。ヤドランやカビゴン、カメックスなどで、要所要所で基盤を支えています。ヤドランやカビゴンだったら、相手にいち早く仕掛けにいって集団戦の形を作るみたいな動きが顕著に出せている。カメックスだったら終盤に強くなる一方で序盤が弱いのですが、その序盤をずっと耐えるような動きがしっかりできていると思います。

水上 FENNELの新メンバーだとak1選手がこれまでのコミュニティ大会で実績が多くて注目されていて、既にリーグ内でも活躍していますよね。そしてb1選手も世界の優勝経験があるチームに名を連ねるにふさわしい活躍をしているので、この2人には特に注目していきたいと思っています。

 b1選手と同じ理由で、IGZISTの最強ちゃ選手もDay2での活躍はすごかったです。やはりチャンスを作りにいけるディフェンス型を使う選手は、注目してしまいますね。

IGZISTの最強ちゃ選手

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