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科学技術振興機構の広報誌「JSTnews」 第6回

【JSTnews5月号掲載】NEWS&TOPICS 研究成果/創発的研究支援事業(FOREST) 研究課題 「オーファンGPCRのリガンド発見と新たながん治療の創生」 研究課題 「植物ロボットの研究」

自ら発光する「生物発光ソフトロボット」の開発でロボティクス技術の向上に期待

2025年05月28日 07時00分更新

文● JST広報課 中嶋彩乃

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 柔らかい材料で構成するソフトロボットは、柔軟性と環境適応性から、自然での調査や災害救助を目的とした用途が見込まれています。その中でも「発光」は、情報伝達や環境認識に重要な機能です。しかし、従来の電気発光や化学発光はバッテリーなどの外部電源が必要で、エネルギー効率や安全性、環境負荷の面で問題があり、無害で環境に優しい生物発光の工学分野での利用は限られていました。

 電気通信大学大学院情報理工学研究科の新竹純准教授、杏林大学医学部の大石篤郎講師らの研究チームは、蛍や深海生物の発光の仕組みをソフトロボットへ導入することに成功しました。研究チームは、大阪大学が開発した生物発光たんぱくナノランタンを改良し、培養液中で哺乳類培養細胞に分泌させ、目で見えるほど強く光る生物発光液の大量生産に成功。この液体を素材にし、ソフトロボットに適用可能な発光電極を開発しました。この電極を静電力で動作するアクチュエーターとセンサーに適用し、これらのデバイスの安定的な動作を確認しました。さらに、開発した駆動装置を発展させ、防水処理を施したクラゲ型ロボットも作製。クラゲのように発光しながら暗闇を遊泳することを実証しました。

 今回の成果により、安全で環境に優しく、高エネルギー効率な生物発光を活用したソフトロボットの実現可能性が示されました。今後は、発光の持続性や強度の最適化により、視認性が高く実用的なロボットの実現が期待されます。なお、この研究成果はJSTの創発的研究支援事業が主催した「第一回融合の場」での出会いを通じて発展したものです。

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