中小企業のユーザー事例を取材すると、この1年でAIの利活用がずいぶん加速していることが体感できる。「事例に登場するようなITリテラシのそれなりにある会社」という限定条件なのかもしれないが、IT部門のみならず、経営者や現場のビジネスパーソンが、身近な相談相手としてAIを普段使いするようになっている。
わかりやすい例が、AIで作成されているプレゼンがすごく増えたという点だ。これまで「ストーリーは面白いんだけど、プレゼンがイマイチで……」というケースは多かったが、AI作成のプレゼンで説得力が増した企業が多い。「手作り感がなくなった」という別の問題はあるとは言え、表現したいアイデアにツールが追いついた感じがする。
一方で最近危うさを感じるのは、AIで作成されたコードをあまり躊躇なくシステムやWebサイトに取り込んでしまう例だ。外部の業者にわざわざお願いしなくても、AIがシステムにまつわる課題を解決してくれるのは、ユーザーにとっては確かに僥倖。しかし、ChatGPTで作成したコードをほいほい組み込んで、不具合が起こった際に、果たして誰がサポートしてくれるのか? エンジニア目線では不安しかない。「中小企業のAIリテラシはまだまだ」「AIは現場のアイデアが活きる手段」という前提で、AIの利活用を野放しにしていると、あとで大きなしっぺ返しを食らうのは間違いない。
文:大谷イビサ
ASCII.jpのクラウド・IT担当で、TECH.ASCII.jpの編集長。「インターネットASCII」や「アスキーNT」「NETWORK magazine」などの編集を担当し、2011年から現職。「ITだってエンタテインメント」をキーワードに、楽しく、ユーザー目線に立った情報発信を心がけている。2017年からは「ASCII TeamLeaders」を立ち上げ、SaaSの活用と働き方の理想像を追い続けている。
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