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新たな国内大型上場ユニコーン誕生。スキマバイト「タイミー」社長に聞いた「変わらないこと」

株式会社タイミー 代表取締役 小川嶺氏インタビュー

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最年少上場を狙っていた2年前に比べて売上高は約10倍。上場は今がベストなタイミング

(画像:タイミー)

―― かつて最年少上場を目標にされていましたが、実際に上場したことで、気持ちや考えに変化はありましたか。

小川氏:以前は上場すればやり切った気持ちになるのかなと思っていましたが、現実として上場することになると、浮かれている暇はありませんでした。上場するということは、それだけマーケットが大きいということであり、必ず大手が参入して競争が激化する。最年少上場すると言っていたときに比べて、今の感情としてはまだまだだな、と。マーケットがないところからマーケットをつくり、今は山の3合目くらい。次は、圧倒的なナンバーワンを確立するのが3合目から7合目へのステップ。そこから世界へ展開していくのが目標です。

―― スタートアップの小型上場について批判的な意見もありますが、その点についてどのようにお考えでしょうか。

小川氏:個人的には「小型上場」という表現は失礼だと思っています。上場できるのはすごいことですし、上場後に価値を上げていけばいい。ですが、もし2年前に最年少で上場していたら、小型上場になっていたと思います。2年前の売上高は今の10分の1。最年少で話題になって一時的に高いバリュエーションがついても、大手が参入してすぐに値が下がっていたかもしれません。

 上場するには今がベストなタイミングでした。上場するということは、世間から注目されるということ。そのときに胸を張って、自分たちはトップランナーであり、競合に負けることはないと言えれば、投資家もついてきますし、好循環のスパイラルが回っていくと思います。

―― 投資家からのアクションや言葉で印象に残っていることは?

小川氏:サイバーエージェントの藤田晋さんが立ち上げた「藤田ファンド」に出資いただいており、すごくお世話になっています。コロナ禍で辛かった時期には、「経営者を長くやっていれば必ず辛い時期はある。それを乗り換えられるかどうかで一流の経営者かどうかが問われる」という言葉をいただきました。やはり一流の経営者から言われると響くものがあり、これは自分に与えられた試練なのだと前向きになれました。また、エンジェルの方々にも支えていただいています。飲食や物流の経営者の方々がいろいろな場所でタイミーは伸びている、と言ってくださるので、採用や調達がしやすくなりました。

―― スタートアップにとって認知度を上げることは課題のひとつですね。

小川氏:無名のスタートアップに比べて、知名度のあるスタートアップはメリットが多いように思います。認知度が高いと信頼度も上がる。信頼度が高いと優れた人材や投資家が集まってきます。広報にはそこまでお金をかけなくても、自分たちに志があり、解決したい社会課題があれば、多くのメディアが取り上げてくれるので、スタートアップにとって広報戦略は非常に大事だと考えています。「タイミー」のサービスをリリースした際には、約50社のメディアを集めて記者会見を開きました。タイミーはマス向けのサービスなので、世の中に認知してもらうためPRには力を入れています。

―― そのように力を入れる背景は?

小川氏:それは、新しい働き方を作っているから。人は認知されていないものを怖がりますから、認知されると安心して利用してもらえる。また、「タイミー」という名称を知ってもらうだけでなく、適切な認知を取ることを大事にしています。

 例えば、子どものときに憧れたケーキ屋さんの仕事をやってみたい、大人のキッザニアのように「好きな仕事を好きなときにワンクリックでできるのは素敵だ」と思ってもらえること。企業側には、履歴書による選考から、実際の働き方を見てから正式に雇うというスタイルがこれからの採用のスタンダードになる、といったメッセージを伝えています。スキマバイトに抵抗がある人や会社は多いので、そのギャップを埋めていくにはマスマーケティング、マスコミュニケーションの力は大きいです。

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