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新たな国内大型上場ユニコーン誕生。スキマバイト「タイミー」社長に聞いた「変わらないこと」

株式会社タイミー 代表取締役 小川嶺氏インタビュー

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システム化にこだわらず、泥臭い方法でもまずやってみる

―― 全国に拠点を出すことにした理由は?

小川氏:スタートアップはなるべくテクノロジーでやったほうがいいという思想が強く、悩ましいところですね。ただ、自分たちがどの業界に向き合うのかが重要です。例えば、「SmartHR」は、導入先がIT系スタートアップなど、ITリテラシーの高い企業が中心なのでオンボーディングコストが低く抑えられます。しかし、タイミーの導入企業は、飲食・物流・小売が中心。対面でのサポートを要望されるので、現場に伺って使い方などを丁寧に説明することを重視しています。

(画像:タイミー)

―― 88%という高い稼働率は、当日すぐに給料がもらえる点も大きいかと思います。サービス開始当時、即日入金の仕組みを作るのは大変だったのでは。

小川氏:「タイミー」を作ろうと思ったのは、自身が日雇い労働やアルバイト、パートで生計を立てていたとき、すぐにお金がもらえない日もあり、非常に辛かった経験があったからです。このサイトで仕事を探せば、必ずすぐにお金をもらえるサービスが欲しいという思いから、コアバリューとしてこだわったのが「即金」でした。

 リリース当初の「タイミー」には、24時間送金の仕組みがなかったので、自分たちで毎朝銀行のATMに行って振り込んでいました。こうした地道な積み重ねがあったから、セブン銀行に出資していただき、送金のシステム構築へとつながったと思います。スタートアップがスピード感を出すためには、コアバリューを実現するために、どんなに泥臭くてもまずはやってみることが大事なのではないでしょうか。

―― 小川さんは、立教大学在学中に起業されています。学生起業して良かったことはありますか。

小川氏:学生が(スタートアップを)やるには最適なサービスを作ったと自負しています。過去に学生起業で成功している会社を見るとHRかゲームであり、それらに共通するのは学生が使うサービスだということです。つまり、ユーザーの目線に立ちやすい。例えば、製造業向けのSaaSなどは学生にはイメージしづらいですし、仲間も集めづらい。学生である自分たちが共感できるテーマで事業を着手できたことは、学生起業家としてのメリットを活かせたと思っています。

―― 創業から7年を経て、変わったこと、変わらないことは?

小川氏:変わっていないのはユーザーファーストであること。タイミーを使ってくれる方々がどんなサービスを求めているのかを大事にしています。自分たちのエゴでものづくりをしないことは創業時からのポリシーとしてあります。もうひとつはスピード感。従業員は約1000人と会社の規模が大きくなり、以前のように私が直接話して意思決定することが難しくなってきています。徐々に権限委譲するなど、スピード感を担保し続けるための仕組みづくりは常に意識しています。

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