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失われた30年から脱却するために――日本の起業家に熱い期待

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技術を受け入れ、活用を――Ben Horowitz氏

 伊佐山氏は次に、シリコンバレーのベンチャーキャピタル(VC)であるAndreessen Horowitzの共同創業者兼ゼネラルパートナーのBen Horowitz氏をステージに招き、新しいテクノロジーの影響、文化、日本における機会について対談した。

 VCは新しいテクノロジーを人より早く嗅ぎ分けて投資して育てるという役割を持つが、Horowitz氏は技術そのものではなく活用が重要だと述べる。

「メンターだったAndy Grove(Intelの元CEO)から、マイクロプロセッサが良いか悪いかというのは正しい問いではなく、それをどう使うかが問題だと言われた」とHorowiz氏。「技術は何かを改善するために生まれる。だからそれを受け入れ、活用していかなければならない」と語った。

Ben Horowitz氏

 VCとして、どの技術が重要なのかを見極めることは「比較的簡単」だが、難しいのは「正しい起業家、正しい企業を支援すること」とHorowitz氏。それを選別するスキルが重要だと述べた。同時に「タイミング」も重要という。良い例がAIだ。AIは1940年代にその研究を遡ることができるが、投資対象になっているのはまさに今だ。

 文化については、Andreessen Horowitzは文化を大切にしており、入社したベンチャーキャピタリストは必ず文化について1時間の研修を受けているそうだ。実は、そのような文化を重視するというHorowitz氏の考えの多くは「日本からきている」という。

 日本の武士道はアイディアの集まりではなく行動の集まりであり、企業と文化でも行動が重要だとHorowitz氏は持論を説明する。「どんな企業になりたいかではなく、実際にどんな行動をとるか」――これは、企業文化をテーマとしたHorowitz氏の著書「What You Do Is Who You Are」でも説いていることだ。

 一例として、Andreessen Horowitzでは「リスペクト」を示す行動として、時間を守ることを徹底させており、「いかなる理由であっても、遅刻すると1分10ドルの罰金」とのことだ。また、投資をしない判断をしたときに、できるだけ早くその決断を、理由とともに伝えることも行動として徹底させているのだという。

 日本の機会については、優れた教育機関があり、優秀な人材はいるとしながらも、事業環境が課題だと指摘した。経産省がアジア最高のスタートアップ環境をつくろうとしていることを評価しながら、考え方の面では起業家精神を養う必要性も指摘した。

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