京都からハードウェア、ディープテックのエコシステムを加速 Monozukuri Hardware Cup 2024開催
審査結果発表:製品や技術力、将来性、情熱などを評価
7社のピッチに続いて、上位3社の表彰が行われた。受賞者は以下の通り。
第1位:株式会社Medlarks
第2位:Seaside Robotics
第3位:リッパー株式会社
リッパーはピッチで示された高い技術力が評価された。Seaside Roboticsは事業にかける情熱が高く評価されるとともに、海岸の清掃だけでなく農業や都市など適用範囲の拡大が期待されていた。
優勝したMedlarksは製品だけでなく、事業面でも高い将来性が感じられたことが受賞理由として挙げられていた。逆にMedlarks側からは京都の試作ネットなどとの連携を期待している旨の発言があった。
ディープテックやハードウェアをカギに日本と北米をつなぐ
表彰式の後には、Monozukuri VenturesのプリンシパルであるSabrina Sasaki氏がクロージングスピーチを行ない、Deep Tech Forumの取り組みについて総括した。
「産業技術セクターにおけるグローバルVCのトップ40社に入っている日本のVCはMonozukuri Venturesだけになった。この状況を改善するためにはもっと日本の製造業を支援し、エコシステムを強化していかなくてはならない。Deep Tech Forumは日本、米国、カナダの3カ国のディープテックやハードウェアに関心ある人たちをつなぐことこそが重要だと考えている。
日本と北米の間でディープテックをカギにした戦略的連携により、以下の3つの課題を解決していきたい。
1)地政学的リスクに備えて代替国に向けた技術や設備の開発
2)ICチップや電子部品の不足にみられるサプライチェーンの混乱
3)クリーンエネルギーへの移行およびカーボンフットプリントの削減
今回のイベントには化学素材、半導体、電子部品などの業界における主要プレイヤーが参加した。これは製造業の専門家を多く抱える京都という場所のおかげだし、このようなイベントはなかなかない。それらの企業は海外でのパートナーを求めている。
Deep Tech Forumはニューヨーク、ピッツバーグ、トロントと北米に3つの主要なハブを持っているが、いずれも五大湖周辺に位置している。この地域は製造業が盛んで、大学や企業の人材も豊富で、スタートアップが顧客や連携相手を見つけるチャンスも多い。だから地元のハードウェア・スタートアップと関係のある人たちを今回のイベントに招いた。今回の2日間のイベントだけで終わるのではなく、明日も来週もその先も対話を続けていってほしい」(Sasaki氏)
最近のスタートアップによるピッチイベントでは、完全にゼロから起業したスタートアップだけでなく、歴史ある企業の2代目、3代目による新規事業開発からのスタートアップが増えてきた、という話をよく聞く。京都という土地はまさに歴史ある企業が集まっているところであり、それだけにスタートアップが生まれやすい環境が整っているとも考えられる。
一方で経済的には大阪の影響が強いため、グローバルな注目を集めてパートナー探しにつなげることが大阪と比べれば難しい側面もあるとされる。Monozukuri Hardware Cupが今後も継続開催され、京都発のスタートアップがさらに注目される機会となり続けることを期待する。