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5年間で累計6500件のビジネスアイデア 保険の枠を越えた“進化”目指す、MS&ADグループが取り組むイノベーションプログラム

JAPAN INNOVATION DAY 2024――社会課題解決に向けた事業アイデアを生み出す実践アプローチ ~MS&ADグループのイノベーション取組「チャレンジプログラム」~セッションレポート

連載
JAPAN INNOVATION DAY 2024

提供: MS&ADインシュアランスグループホールディングス株式会社

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多様なデータ分析と装置販売の仲介で「野生動物との共生」目指す

三井住友海上火災保険 北海道支店 金融法人課 課長代理 兼 人事部 課長代理(採用チーム) 早川怜那氏

 三井住友海上火災保険 北海道支店の早川怜那氏は、「野生動物との共生」をテーマにしたビジネスアイデアを提案した。近年、野生動物による人的被害、農林業被害、自動車事故や鉄道被害などが増加し続けており、特に被害や事故の多い北海道では、その対策が大きな課題となっている。

 早川氏は2つのアイデアを提案した。まず予防策としては、動物出没情報や事故発生地域、エサ資源、天候、地形といった多様なデータを集約分析して、動物出現予測マップを作成する。このデータを運送業者、道路管理者、自治体などに提供して、獣害予防対策や啓発、安全な運航ルートの検討などに役立ててもらう。もうひとつ、被害防止、軽減策として、動物撃退装置の販売を同社が仲介して、自動車のドライバーやレンタカー会社、鉄道会社、農家などに提供するというものだ。

 なお早川氏は、野生動物との共生の問題は「世界的な課題」となっており、特に道路建設が急速に進むアジア各国市場に対しても、アジアに強みを持つ同社のネットワークを使って広く展開できる取り組みにしたいと語った。

“ブラックボックス化”している貨物損害の原因をIoTデータで解明

三井住友海上火災保険 グローバル損害サポート部 物流第二グループ 課長代理 張立夫氏

 三井住友海上火災保険の張立夫氏は、貨物の損害保険を手がける普段の業務経験を生かして、物流業界向けソリューション「SmartLogiGuard(スマートロジガード)」を提案した。

 長距離を移動する貨物は、航空機、船舶、鉄道、トラックなど、複数の輸送手段を使って目的地まで運ばれる。しかし、輸送中の貨物の状態は「ブラックボックス化」しており、貨物の損害(破損など)が発覚するのは「輸送の完了後であることがほとんど」だと張氏は指摘する。「貨物損害の多くは『いつ、どこで、どのように』発生したかわからない」(張氏)。そのため原因究明や適切な事故防止策の実施が困難になっているという。

 そこで、貨物に輸送環境記録計(IoTデバイス)を取り付け、輸送中の異常を検知/記録する「貨物トラッキングサービス」と、新たに開発する事故予測モデルでIoTセンサーデータを分析する「計測データの分析サービス」の2つを提供する。データ分析に基づく事故防止策を提案するほか、貨物に異常が発生した場合は迅速な通知や保険金支払いが行なえると説明した。

EV車向けリチウムイオンバッテリーの国内リサイクルを実現したい

三井住友海上火災保険 東京東支店 法人営業第一課 担当 井上太翔氏

 三井住友海上火災保険の井上太翔氏は、EV車に搭載されるリチウムイオンバッテリー(LIB)のリサイクル事業を提案した。10年後をめどに急拡大が予想されるLIB市場だが、「レアメタルの供給不足」「廃棄に伴う膨大なCO2排出」といった課題もある。LIBのリサイクルによってその課題は軽減されるが、EV普及の遅れている日本ではリサイクルを事業化できるほどの使用済みLIBの回収が難しいという。

 ここで、同社が“商社”としての役割を果たし、LIBの回収、レアメタル精錬事業者への使用済みLIBの提供、自動車メーカーなどへのレアメタルの販売といった取引を仲介する、これが提案するアイデアだ。損害保険ビジネスを通じて全国の自動車整備事業者、中古車販売店などとのパイプを持っており、これを生かすことでLIBリサイクルによる国内安定供給モデルが実現すると説明した。

 今回は7つのビジネスアイデアが紹介されたが、いずれもMS&ADグループが持つリソースやノウハウ、販売チャネルを活用しながらも、これまでの「保険ビジネス」の枠を大きく越え、それぞれにユニークな提案になっている点が興味深いところだ。

 稲葉氏は、今年度もこのプログラムを継続して「リスクソリューションの開発に積極的に取り組んでいきたい」と述べたうえで、パートナーとして共に新規ビジネスを立ち上げたいという企業はぜひお声がけいただきたいと来場者に呼びかけ、セッションを締めくくった。

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