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防災からドローン&ロボ、グリーンテックまで 福島発先端テックスタートアップ

「Fukushima Tech Create 2024成果発表会」1日目

提供: 福島イノベーション・コースト構想推進機構

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「アクセラレーションプログラム」は、イノベ地域で、福島イノベ構想の重点6分野での事業化を志向するアーリーステージ等にある企業を支援するプログラムで、7の採択者がピッチに登壇した。

e6sシステムの社会実装/株式会社e6s

 株式会社e6sは、インフラに依存しないトイレ洗浄水循環システム(e6sシステム)の普及に取り組んでいる。災害時は水洗トイレが使えなくなり、多くのトイレ難民が発生する。トイレを我慢するために飲食を控えるようになることで栄養不足で病気になることもある。

 同社が開発した自律型水洗トイレシステムは、平常時は上下水とつながっているが、災害などの非常時にはe6sシステムに切り替わり、流した水を浄水処理し、水洗用水として再利用する仕組み。日大工学部の学園祭や浪江町の十日市祭に設置して実証実験を実施した結果、400回終了後も水質にもほぼ問題がないことが確認できたとのこと。設計上は1000回以上使用可能で、2024年中には条件付きでの試販売を開始し、2025年には量産販売を目指している。

株式会社e6s 代表取締役 高波正充氏

電気刺激デバイスにおける甘味増減による健康的で美味しい食革命事業/株式会社UBeing

 株式会社UBeingは、経皮電気刺激による甘みの増強で健康的でおいしい食事革命に取り組むスタートアップ。糖尿病の患者数は糖質制限が必要だが、味がおいしくないために継続が難しい。近年、電気刺激で味が変わる研究が進んでおり、カトラリー型は開発されているが、舌から離れると味調整の効果が消えてしまう。同社が開発する経皮型デバイスは、あごの周辺から電気で刺激することで継続的に味覚変化を与えられるのが特徴だ。病院や介護機関での利用を想定しており、減塩食を美味しく感じることで低栄養の改善やフードロスの解決にもつながる。

 本事業では、砂糖水と減糖アイスで社内実証を実施。砂糖水では0.6-0.7mAでは1.2倍、1.4mAで1.5倍の甘み増強、アイスでは2~3%のコクの増強が確認できたのこと。また、松永牛乳の協力のもと減糖アイスでの検証、病院での検証とヒアリングを実施し、これらの実証を通じて大阪万博への出展が決定しているそうだ。

株式会社UBeing 代表取締役 福島大喜氏

水素燃料電池ドローン飛行実現のための型式認証ガイドライン制定及び取得/株式会社ロボデックス

 株式会社ロボデックスは、水素燃料電池ドローン「aigis one」(アイギス・ワン)を開発するスタートアップ。同社は水素ドローンのレベル4での社会実装を目指しており、本事業では、必要な型式認証の取得するための準備に取り組んだ。一般的なドローンの飛行時間は15分程度と短いが、aigis oneは、水素燃料を用いることで80~120分の連続飛行が可能になる。本事業では、ドローンの社会実装に向けて、カテゴリーⅡの型式認証の取得に向けた事前調整の書類作成に取り組んだ。2024年中には第2種型式認証を取得する見込みで、国内で唯一の水素ドローンとして物流、インフラ点検、農業関係への活用が期待される。今後は、2026年は第1種の取得を目指し、2027年には量産体制の構築に取り組んでいく計画だ。

株式会社ロボデックス 経営企画チーフ 伴捷人氏

小規模独立電源としての新型風力発電の開発およびテストプロダクトの実証/株式会社パンタレイ

 株式会社パンタレイは、長岡技術科学大学発の技術シーズを用いて、小規模独立電源として使えるポータブル風車を開発するスタートアップ。コア技術の縦渦型風車は、円柱とリングで構成し、ゆっくりと力強く回転し、安全性が高く、静音に発電できるのが特徴だ。従来型のブレードに比べて20分の1の回転数で、同党の発電量が得られるという。暴風や突風環境にも強く、設置環境を選ばずに使える。同社が開発したポータブル発電装置は、キャンプなどのアウトドアや非常用電源としての利用を想定しており、工具なしで組み立て可能で、風速30メートルの環境でも安全に発電できるという。価格は10万円を予定し、2024年中にクラウドファンディングでリリースする予定だ。

株式会社パンタレイ 代表取締役 佐藤靖徳氏

革新的アスターコイルを搭載した高性能発電機および風力発電システム実用化開発/株式会社アスター

 株式会社アスターは、ASTコイルとASTモーターの開発、製造、販売を行う企業だ。同社は、独自の積層技術によるASTコイルを搭載するASTモーターを開発し、小型化かつ高出力、高効率を実現。この技術をベースにエネルギー分野の事業開拓を目指し、風力発電システムの開発に取り組んでいる。

 本事業で開発した小型風力発電機は、従来比で体積70%、重量50%でほぼ同等の出力を確認できたとのこと。現在はアスター本社に発電装置を設置し、実証実験を進めている。将来的には、加えて風力発電メーカーに発電機と制御器を提供する、2つのビジネス展開を検討しているそうだ。

株式会社アスター 取締役執行役員 CTO 後藤良氏

次世代型風力発電機「マグナス風車」の大型化開発プロジェクト/株式会社チャレナジー

 株式会社チャレナジーは、プロペラを使わないマグナス風力発電機を開発するスタートアップ。これまで10kWの級垂直軸型マグナス式風力発電機を開発し、2018年に石垣島、2021年にフィリピンバタネス島に設置して実証試験を行っている。2023年から100kW級垂直軸型マグナス式風力発電機の開発に着手し、本事業では小型実証機のジオメトリを決定するための風洞試験を行った。

 成果として、(1)ジオメトリの特定、(2)円筒回転数だけで制御可能、(3)低回転で発電可能であることが検証された。2024年中には南相馬市に小型実証機を設置し、2026年以降に量産を開始し、事業化を目指す。

株式会社チャレナジー 代表取締役CEO 清水敦史氏

運動症状を可視化するAIナビゲーションによる神経内科領域の遠隔診療の社会実装/株式会社ALAN

 株式会社ALANは、神経内科領域の遠隔診療の社会実装をテーマに、AI動画解析を用いた運動症状評価システムを開発。神経内科領域のうち、パーキンソン病は高齢者の患者が増加しており、地域における専門医不足が課題になっている。パーキンソン病は運動症状が複雑なため、非専門医には診断が難しいが、遠方の専門医にかかるには高齢患者にとって負担が大きい。同社の開発する運動症状評価システムは、モーショントラッキングで身体の動きを捉えて、手の震えなどの症状をスコア化して診断する仕組み。

 現在は大型の高性能コンピューターを用いて専門施設に導入していたが、本事業では、在宅でも手軽に使うための小型化に取り組んだ。ウェブカメラとモバイルPCを組み合わせた試作機を開発し、オンライン診療の実証実験をしたところ、パーキンソン病の運動症状の可視化に成功。ただし、処方薬の届け方や対面でなければわからない情報もあることから、完全な置き換えにはまだ課題がある。また、医師側のメリットが少ないことから、ビジネスモデルの作り込みが今後の課題としていた。

株式会社ALAN CEO 近藤崇弘氏

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