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福島震災復興に新たな産業創出を目指す 20のスタートアップビジネスアイデア

「Fukushima Tech Create 2024成果発表会」2日目

提供: 福島イノベーション・コースト構想推進機構

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 2024年1月31日と2月1日、福島県と福島イノベーション・コースト構想推進機構(福島イノベ機構)は、スタートアップピッチとブース交流イベント「Fukushima Tech Create 2024成果発表会」をいわき産業創造館にて開催した。福島イノベ機構では、福島浜通り地域での起業創出するため「Fukushima Tech Create(FTC)」として3つのスタートアップ支援プログラムを実施している。2日目の2月1日は、識者によるトークセッションと、「ビジネスアイデア事業化プログラム」に採択された20社(者)の取り組みが発表された。

トークセッション「地域へ投資を増やすには?」

 トークセッションでは、株式会社54代表取締役社長の山口豪志氏、株式会社tsam代表取締役の池森裕毅氏、株式会社ゆめサポート南相馬取締役所長の木村浩之氏、公益財団法人福島イノベーション・コースト構想推進機構事務局長の蘆田和也氏の4名が登壇し、地域のスタートアップ支援の取り組みと、いかに地域規模で投資を促進するかをテーマに議論した。

(左から)株式会社54 代表取締役社長 山口豪志氏、株式会社tsam代表取締役 池森裕毅氏、株式会社ゆめサポート南相馬 取締役所長 木村浩之氏、公益財団法人福島イノベーション・コースト構想推進機構 事務局長 蘆田和也氏

「ビジネスアイデア事業化プログラム」は、福島イノベ地域で展開する新規ビジネスのアイデアを持つ企業、個人を対象に、eラーニングによるセミナー、対面でのワークショップ、個別メンタリングを実施し、事業化に向けて伴走支援する1年間のプログラム。成果発表では2023年度に採択された20社(者)の発表が行なわれた。

医療診断装置応用を目指した臭化タリウム(TlBr)半導体γ線センサーの製造・販売/山石直也氏

 北海道大学工学院 学術研究員の山石 直也氏は、臭化タリウム(TlBr)半導体センサーの実用化に向けて研究開発に取り組んでいる。心臓病や脳卒中、がんを診断するためのCT等医療診断装置の普及が進む中で、キーデバイスである放射線センサーの半導体化により撮影画像の解像度が向上している。

 臭化タリウム(TlBr)は、主要なCT等診断装置メーカーの半導体放射線センサーに採用されているテルル化カドミウム(CdTe)や、テルル化カドミウム亜鉛(CZT)に比べて、放射性薬剤から出る放射線(γ線)に対する感度が高く、撮影画像のさらなる高解像度化が期待されている。現在安定製造技術の検証を進めており、2030年以降のCT、SPECT、PET用放射線センサーの製造販売を目指している。

北海道大学工学院 学術研究員 山石直也氏

動的攪拌による三次元浮遊培養装置の開発/株式会社UZUVIS

 株式会社UZUVISは、細胞培養向けに変形する動的攪拌羽根を開発。既存の細胞培養装置の攪拌羽根は羽根による細胞損傷やタンクの底に細胞が溜まるのが課題だった。同社は、切り紙工学を応用して、ワインボトルの緩衝紙材のような伸縮する変形攪拌羽根を開発。回転しないため、細胞を傷つけにくく、板材を切断するだけで、安価に製造できるのがメリット。この動的攪拌技術を用いて、再生医療や培養肉、バイオ燃料などの大量細胞培養を必要する事業分野向けに装置を開発していく計画だ。

株式会社UZUVIS

持続可能な未来を創るシン繊維~マイクロ波を用いた機能性天然繊維開発~/みなも株式会社

 みなも株式会社は、生態系や人体への悪影響を与えるマイクロプラスティック問題の解決に向けて、天然繊維の高機能化技術を開発。天然繊維の中空部分にマイクロ波を照射し、機能性物質を導入することで、天然繊維にさまざまな機能を持たせることができるという。天然素材と機能性粒子の組み合わせ次第で、抗菌、消臭、防臭、導電性、調湿、遮光などさまざまな効果が期待できるそうだ。

 洗濯への耐久性が高く、中空部分への導入のため、天然繊維の着心地や肌触りを損なわないのもポイントだ。まずは医療用衣料への活用を目指し、2029年までに福島県内に工場を建設し、製造販売を開始する計画だ。

みなも株式会社 CEO 髙橋隼永氏

放射能除染用レーザーブラストシステムを他分野へ展開/株式会社日本遮蔽技研

 株式会社日本遮蔽技研は、原発廃炉技術を土木建築分野に応用し、2025年問題の克服に取り組んでいる。同社の開発するレーザーブラストシステムは、対象物にレーザーを照射し、一瞬で削り取る技術。除去物を吸引集塵し、飛散させないのが特徴だ。ロボットと組み合わせることで作業員への負担を減らし、砂や鉄球を使わないので廃棄物も削減できる。現在の放射能除染分野から、橋梁等のインフラ維持やアスベスト除去といった土木建築分野に展開することで市場拡大を狙う。

株式会社日本遮蔽技研 平山貴浩氏

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