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古都の観光課題をゲームやGISで解決。京都で初めて開催された3D都市モデル活用ハッカソン

「KYOTO PLATEAU HACK 2023」レポート

特集
Project PLATEAU by MLIT

提供: PLATEAU/国土交通省

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課題を解決し常に新しいものを生み出し続ける、それが1300年続いてきた京都の歴史

 本イベントのファシリテーターを務めたのは、京都に身を置く飯田和敏氏と大西将徳氏。イベントを振り返ってそれぞれからコメントをいただいた。

飯田氏:京都という街の魅力は、関わり方によりさまざまな表情を見せます。生活の場であり、数えきれない文化資源を有する観光地であり、あるいは学びの場であり、自然環境に恵まれた遊びの場でもある。碁盤の目と言われる市街の地図を眺めているだけでも楽しいですが、ここに動的な機能を持たせた時、可視化されるのは、人それぞれの京都観ということになります。そうした京都観を拡大していくことは、複雑で多様な世界をあらためて発見することになる。そうしたい興味と関心を持ち、ファシリテーターを務めさせてもらいました。今回は初めての試みであり、時節柄、オーバーツーリズムに焦点を当てたプロジェクトが目立っていましたが、それ以外にも多くの可能性を秘めていると思います。

立命館大学映像学部 教授 飯田 和敏氏

大西氏:今回のイベントは、“京都” らしい作品を生む場作りにこだわりました。京都を代表する7種類のお菓子によって参加者をチーミング。京都の魅力/課題を、京都で“暮らす”、"見る"、“遊ぶ”、“学ぶ” の4つの切り口で紹介し、単に京都の 3D 地図から生まれる作品ではなく、京都であることのもう一つの軸、深みを持った作品を求めました。京都への関りも、バックグラウンドもさまざまな初対面の参加者が2日間でひとつの作品を創り上げていく過程を間近にし、PLATEAUが京都の素顔や歴史、課題を映し出すとても良い基盤であること、また、この場がなければ出会えなかった参加者の素敵な交差点となっていることを強く感じました。

京都大学 学術研究展開センター リサーチ・アドミニストレーター 大西 将徳氏

 最後に、本ハッカソンで参加者にアドバイスを送った審査員からの講評を届けたい。

竹内氏:参加者のほとんどの方、ほとんどのチームでUnityを使っていただいて、初めての方も以前から使われている方もいらっしゃると思いますが、いかがだったでしょうか。Unityは、ゲームだったりエンタメだったり、実はみなさんの身近なところで使われているので、それを見つけたときに、今日のことを思い出していただけたらいいかなと思います。2日間、本当にお疲れさまでした。

ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン株式会社 Senior Solution Engineer 竹内 一生氏

森岡氏:ハッカソンは非常にしんどいイベントで、アイデアソンであれば頭の中で考えたアイデアを発表すればいいのですが、ハッカソンはその頭の中で考えたアイデアを形にしなければいけない。「どうやって作るのか」という壁にぶち当たる。ただ、僕は最初の「みんなで頭の中で考えたコンセプト」はあまり信じていない。作っていく中で出た学び、そこからコンセプトがどれだけ変わっていくかが実は非常に大事だと思っています。今後の人生の中でも体験からくる気づきみたいなものがみんなの中で増えていくといいなと思いました。

ベースドラム株式会社 テクニカルディレクター 森岡 東洋志氏

鈴木氏:2日間という短い期間の中で結構課題が多かったにもかかわらず、それを乗り越えていくところに感銘を受けました。「3D都市モデルが必ずしも詳細ではない」「属性情報も必ずしもいいものばかりではない」といった現実は確かにあったわけですが、それを乗り越える工夫がたくさん出てきたと思います。たとえ、今、自分が初めて見たデータが不十分であっても他のデータを見つけてくるという力があったからこそ、よいものができたのではないかなと思います。

株式会社シナスタジア 鈴木 智貴氏

中川氏:常に、場所と歴史に紐づけられているというところに京都の面白さがある。そういう意味では、PLATEAUは、特に京都の街ではこの抽象化されたデータっていうのはすごい意味を持つというのは、今回のみなさんの作品を見て思いました。場所が持っている特質みたいなものを使って、どうやって面白さを表現していくか。これは実は無限に方法がある。そのあたりの可能性を今回、みなさんも感じたのではないかと思います。京都のこれから、オーバーツーリズムという問題もあるけれど、その場所に関連付けられた京都の魅力や特質みたいなものがもっと表に出てくれば観光のあり方も様々に変わってくると思います。そういう意味で、非常に意味のあるハッカソンになったのではないかと思います。

京都工芸繊維大学名誉教授・神戸女子大学客員教授 中川 理氏

内山氏:今回、PLATEAUも初めてだし、それこそUnityとかWebGISとか初めてという人が結構多かったと思います。チームに一人は知っている人がいるけど他は誰も知らないみたいなところがスタート地点で、それがこの2日間でレベルを上げてきたというのが、純粋に感動しました。やればできると、みなさんも自分でわかったと思います。自分の仕事とか研究にこう使おうというのが少しでも生まれれば嬉しいです。ぜひ今回の経験を持ち帰って、さらに発展させてください。

国土交通省 総合政策局 情報政策課 IT戦略企画調整官 / 都市局 都市政策課 デジタル情報活用推進室 内山 裕弥氏

 イベントの締めは、主催の京都市から都市計画局長の竹内重貴氏がコメントを行った。

竹内氏:全力でがんばっていただいて、本当にお疲れさまでした。素晴らしい、優れたアイデアばかりで、今後の京都の市政にも生かしていこうと思います。最終的な成果物の講評もありましたが、私はプロセスも非常に大事だったと思います。それほど面識のなかった人たちが集まって、チームでこんなに新しいことができる。自分の可能性もかなり拡張できたのではないかと思います。新しいネットワークも広がっていくのではないかと思います。みなさん、主に観光について取り上げていただいたと思いますが、やはりそういった課題を解決し常に新しいものを生み出し続ける、それが1300年続いてきた京都の歴史ですし、これからもそうです。アイデア、テクノロジーを十分生かして、京都をフィールドにして楽しんでいただければと思います。また京都市に何かしてほしいとかありましたら、ぜひ、遠慮なく言ってください。

京都市 都市計画局長 竹内 重貴氏

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