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攻めも守りも知財から スタートアップ経営者こそ高めたい「知財マインド」のポイント

「特許がビジネスの武器になる スタートアップ、中小企業向け知財セミナー by IP BASE in 豊田市」レポート

特集
STARTUP×知財戦略

提供: IP BASE/特許庁

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 ビジネスにおける知財の重要性と、スタートアップ経営者が「知財マインド」を高めるためのポイントとは。2023年8月31日、特許庁スタートアップ支援班はビジネスセミナー「特許がビジネスの武器になる スタートアップ、中小企業向け知財セミナー by IP BASE in 豊田市」を、愛知県豊田市のものづくり企業や団体の総合支援施設「ものづくり創造拠点 SENTAN」で開催した。

 セミナーでは、さくら国際特許法律事務所 パートナー弁理士 森岡智昭氏による知財の基礎知識に関する講演と、愛知県内で活躍するスタートアップ支援者やコミュニティの担当者らによるパネルディスカッションが実施された。イベントのはじめに、会場である「ものづくり創造拠点 SENTAN」を運営する豊田市 産業部 次世代産業課 担当長の北川裕介氏が登壇し、同施設の概要を紹介した。

豊田市 産業部 次世代産業課 担当長 北川 裕介氏

 ものづくり創造拠点SENTANは、豊田市内の中小企業向けの総合支援施設として2018年に開設。「オープンイノベーション創出」、「ものづくり人材育成」、「新たな事業展開」の3つを柱に支援を行っている。消防署の建物をリノベーションした施設で、1階は各種工作機械を備えたものづくりスペース、2階は交流スペース、3階はセミナーや勉強会を行なえるイベントスペースとなっている。

 主な支援事業として、市内の中小企業と大企業の開放特許をつなぐ「開放特許マッチング」、市内企業のDXを推進するための「DXモデル事例創出事業」、講座やワークショップを通じて新規事業創出を支援する「新規事業創出プログラム(SPARK)」などを展開しており、今後はスタートアップ向け施策の拡充を検討していく予定だ。

 続いての講演「特許庁のスタートアップ支援施策」には、特許庁 総務部 企画調査課 課長補佐(スタートアップ支援班長)芝沼隆太氏が登壇した。

特許庁 総務部 企画調査課 課長補佐(スタートアップ支援班長) 芝沼 隆太氏

 芝沼氏はスタートアップの経営資源として、知財の重要性を指摘。スタートアップは事業のもととなるアイデアがあり、これをベースに成長していこうというものが多い。「大切な経営資源である革新的な技術やアイデアを、知財でうまく守っていくことが重要になる。そのために特許庁としてスタートアップの支援を行っている」と説明した。

 特許庁が提供する具体的な取り組みとして、「知財アクセラレーションプログラム(IPAS:IP Acceleration program for Startups)」、知財コミュニティポータルサイト「IP BASE」、「ベンチャーキャピタルへの知財専門家派遣プログラム(VC-IPAS)」の3つの施策がある。

「知財アクセラレーションプログラム(IPAS)」は、創業期のスタートアップに対してビジネスの専門家と知財の専門家からなる「知財メンタリングチーム」を派遣し、知財戦略の構築を支援するプログラムだ。「知財メンタリングチーム」はスタートアップ支援経験のある弁理士や弁護士だけでなく、ベンチャーキャピタルの経験者やスタートアップ支援のコンサルタントからなるビジネスの専門家を含み、ビジネスと知財の両面から支援。2018年度から開始し、2021年度までの4年間で60社を支援。支援開始以降に出願された特許件数は477件、支援後に資金調達した企業数は35社を数え、イグジットした企業が2社出ているという。

 知財コミュニティポータルサイト「IP BASE」は特許庁が運営する知財ポータルサイト。スタートアップ企業や弁理士、弁護士など知財専門家のインタビュー記事やコラム、事例集などのコンテンツを掲載するほか、会員向けセミナーやイベントの情報も発信している。

「ベンチャーキャピタルへの知財専門家派遣プログラム(VC-IPAS)」は、2023年度から本格的に始まったプログラム。公募により採択されたVCに特許庁から知財専門家を派遣し、VCのキャピタリストと協働してスタートアップを支援しようとする取り組みだ。スタートアップの多くがVCからハンズオン支援を受けていることから、VCが事業計画を踏まえて知財戦略策定支援も実施できれば、効率的にスタートアップを支援できる。

 スタートアップにとってだけでなく、VCにとっても知財専門家とのコネクションや知識、ノウハウの蓄積できるというメリットがあり、スタートアップエコシステム全体への貢献を見込んでいると芝沼氏は説明した。

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