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PLATEAUから生まれる“未来社会のデジタルインフラ”とはどんなものか?

現実空間と仮想空間の「なめらかな融合」で実現する未来、2つの具体例〔アクセンチュア編〕

特集
Project PLATEAU by MLIT

提供: アクセンチュア株式会社

 国土交通省が推進する、3D都市モデルの整備/活用/オープンデータ化の取組み「Project PLATEAU(プロジェクト・プラトー)」。昨年度に引き続き、今年度もPLATEAUを活用したサービス/アプリ/コンテンツ作品コンテスト「PLATEAU AWARD 2023」において、幅広い作品を募集している。賞金総額は200万円となっている。

「PLATEAU AWARD 2023」は現在応募を受け付けている(応募締切:2023年11月30日)

 今回はアクセンチュア編として、スペースデータ、NTTインフラネットの2社をゲストに招き、現実空間と仮想空間が融合していく未来社会の基盤づくりとPLATEAUをめぐる議論が行われた。聞き手は角川アスキー総合研究所の遠藤諭だ。

アクセンチュア ビジネス コンサルティング本部 テクノロジーストラテジー&アドバイザリーグループ テクノロジー戦略プラクティス シニア・マネジャーの増田暁仁氏

スペースデータ 代表の佐藤航陽氏、NTTインフラネット Smart Infra推進室 GISビジネス部門 GISビジネス戦略担当 担当課長の千葉繁氏

現実空間と仮想空間が「なめらかに融合する」未来とは?

――まずはアクセンチュアの増田さんから、今回スペースデータさん、NTTインフラネットさんにご出席いただいた理由について、簡単にご説明いただけますか。

アクセンチュア 増田氏:アクセンチュアでは毎年、テクノロジートレンドの最新動向や予測を紹介する「アクセンチュア テクノロジービジョン」というレポートを公開しています。昨年版(2022年版)のテーマは、われわれが現実空間と仮想空間を行き交うようになる未来を指して「メタバースで会いましょう」というものでした。今年の2023年版は、この考えが進化して「アトムとビットが出会う時」という言葉を掲げています。

 昨年版との違いは、将来的には現実空間と仮想空間がなめらかに融合して“ひとつの空間”を構成していく、という考え方です。レポートでは、そうした現実/仮想のなめらかな融合によって何が変わるのか、またその実現のために必要となるキーテクノロジーとは何か、といったことをご紹介しています。

 今回、スペースデータの佐藤さん、NTTインフラネットの千葉さんをお招きしたのは、PLATEAUのデータを活用しながら、われわれの考える「なめらかな融合」を実現する事例を手がけていらっしゃるからです。

「アクセンチュア テクノロジービジョン」2023年版は、現実世界とデジタル(仮想空間)の「なめらかな融合」がテーマ

――「なめらかな融合」というキーワードですが、その「なめらかな」という言葉をもう少し具体的に言うと、どういうことでしょうか?

増田氏:「なめらかな」というのは、仮想世界の解像度が現実世界のそれと遜色ないほど近づく、といったイメージですね。

 これまでの仮想世界、たとえばデジタルツインは、量/質ともに限られた入力データに基づいて、現実世界を局所的に再現するだけにとどまっていました。しかし、現実世界のすべてを解像度高く複製し、現実世界と仮想世界が完全に同期したデジタルツインを構築できれば、2つの世界を自由に行き来するような体験が可能になります。そうした世界、そうした体験を前提とした新たなビジネスも生まれるでしょう。

現実世界と仮想世界の「なめらかな融合」によって、まったく新しい体験とビジネスが生まれる

――デジタルツインもメタバースも、理想としては「現実世界の完全なコピー」ですからね。それを実現するためには、どんな技術が必要なのでしょうか。

増田氏:アクセンチュア テクノロジービジョンでは、それを支える4つのテクノロジートレンドを挙げています。ここでは詳しく紹介しませんが、「デジタルアイデンティティ」「私たちのデータ」「一般化するAI」「サイエンスとテクノロジー」の4つです。

「なめらかな融合」を支える4つのテクノロジートレンド

 このうち、AIのコンシューマライズである「一般化するAI」や、データのオープン化をめぐる「私たちのデータ」というテクノロジートレンドが、今回お二人にご紹介いただく今年度のユースケースに関係すると考えています。

――それぞれどんなユースケースなのでしょう。まずは増田さんのほうから、簡単にご紹介いただけますか。

増田氏:まずスペースデータさんでは、AIを活用して高精度なデジタルツインの自動生成に取り組まれています。

 デジタルツイン、メタバースの構築におけるボトルネックは、3Dデータの作成や更新に大きなコストがかかることです。特に、コンシューマー向けのゲーム開発や映像制作に利用できるクオリティを目標とすると、建物の形状だけでなくリアルなテクスチャも必要になります。PLATEAUのデータもそこまではカバーしておらず、この点をどうするのかは、この2、3年議論してきたところです。

 この課題を抜本的に解消しうるのが、スペースデータさんによるAI自動生成技術です。従来とは比較にならないほどの速度と精度で3Dモデリングができる、そこが大きな違いです。

 一方、NTTインフラネットさんの取り組みは、都市の地下に埋設されている通信、電気、上下水道、ガス、熱供給などのインフラ設備のデータを一元化し、3Dモデル化して可視化しようというものです。

 実はこれまで、地下埋設物の情報はインフラ事業者ごとに管理しており、一元化されていませんでした。「何が埋まっているのか、地面を掘ってみないとわからない」のが実情なんです。そうなると、各事業者が同じ場所を何度も掘り返すような非効率な工事が発生します。

 そこで、インフラ事業者がお互いのデータを共有して一元化を図り、地下の状態を3Dで表現する取り組みに着手しています。これにより各社間での工事の調整が容易になったり、工事の精度が高まって無駄なコストが削減できたりといったメリットが期待できます。

スペースデータ:ゲーム開発、映像制作に使える高精度な都市のデジタルツインをAIで自動生成する

――それではまずスペースデータの佐藤さんから、取り組みを詳しく教えてください。

スペースデータ 佐藤氏:われわれが今年度、PLATEAUで取り組んでいるのは大きく2つです。

 まずは、PLATEAUが提供するLOD2(LOD:Level of Detail、3D都市モデルの詳細度)の建築物モデルやそのテクスチャ、LOD1の道路モデルなどを素材として、そこに高精度なテクスチャを付与したり“小物類”(道路上のマーキング、植栽、信号機など)を追加したりするAIの開発です。衛星写真や航空写真など、Web上で利用できる素材を深層学習させるかたちで開発を行っています。

 もうひとつは、高精度なテクスチャを付与した高品質なデジタルツインデータに対する、ビジネス的なニーズ、ポテンシャルの検証です。東京23区の特定エリアを対象として高品質デジタルツインデータを作成し、それをゲームエンジン向けのデータフォーマット、プロジェクトファイルのかたちで提供します。

――もともとそういった、AIを使ったデジタルツインの自動生成に取り組まれていたのですか?

佐藤氏:2020年ごろから数人の仲間を集め、衛星写真や航空写真のデータとAI、CGの技術を組み合わせて“世界全体を自動生成する”プロジェクトをやってきました。衛星写真や航空写真のデータは膨大にあるのですが、実はあまり使われていないんですよね。これが3次元空間の自動生成に使えるんじゃないか、というアイディアから始まっています。

スペースデータでは衛星データから地上の3Dモデルを自動生成し、3D CGとしてビジュアライズするAI技術を開発している

――そういう発想は、ゲーム業界や映像業界から生まれてもよさそうな気がします。業界では取り組まれていなかったのでしょうか。

佐藤氏:プロジェクトを始めた2020年当時、ゲーム業界やCG業界の人に片っ端から話をしてみたのですが「絶対に不可能だ」と言われ続けました。「いまの技術レベルではありえない」というわけですが、コンピューターができることは指数関数的に進化しますから、わたしはそのうち実現するだろうと見ていました。実際に、この数年間でAIの技術が急速に進化したこともあって、それが実現したわけです。

 わたしは3次元の仮想空間が、将来的には現在のインターネット空間のような存在になるだろうと考えて開発を続けています。そうした3Dの仮想空間が「メタバース」や「デジタルツイン」といった名前を得たことをきっかけに、一気に注目度が高まったと感じています。

――本物の都市を仮想空間にコピーしたものといえば、たとえば「Google Earth」などもあります。それでは不十分なのでしょうか。

佐藤氏:わたしも最初は「Google Earthがあればいいんじゃないか」と考えました。しかしゲーム開発や映像制作、あるいはメタバースの開発など、企業のビジネスで使うことを考えると、いくつかの課題がありました。

 まずは提供されるテクスチャが粗いので、一人称視点のゲームやメタバースなどでの「近距離からの視点に対応できない」。また、グーグル以外の事業者がその3Dモデルやデータを使って自在に開発できるような「APIがそろっていない」。そして、街なかにある「看板」が写り込んでいるため、作品の公開後に著作権や肖像権の問題が発生する大きなリスクがある。こうした理由から、ビジネスで使いやすいものとは言えませんでした。

 ちなみに「看板」の課題ですが、スペースデータでは著作権や肖像権に引っかかりそうな看板はいったん除去し、それに似せた3DモデルをAIが再生成するかたちで回避しています。ゲームやエンターテインメントで使う場合、都市の完全な、正確なコピーである必要はないですから。

――そうした課題を解消した、アプリ開発や映像制作に使いやすい3D都市モデルを提供しているわけですね。もうひとつの「ビジネスニーズ、ポテンシャルの検証」は、どういう取り組みですか。

佐藤氏:まずは、わたしたちがAIや「Unreal Engine」を使って生成した都市空間(3D都市モデル)を、オンラインゲームの「Fortnite」にアップロードして遊べるようにしました。リアルに再現された新宿の街を、スパイダーマンのようなキャラクターが跳び回ったり、カーレースをしたりと、そんなことができます。


 

――自分の知っている街がゲームの中に出てくると、すごく面白いですね。現在のビジネス的な反響はいかがですか。

佐藤氏:この3年間でお問い合わせが爆発的に増え、これまでに1500、1600件ほどいただいていますね。ゲーム開発、映像制作、また都市開発や防災、最近は自動運転など、C向け/B向け(コンシューマー/ビジネス)の両方で多様なユースケースのニーズが見えてきています。

高精度なテクスチャが付与された3D都市モデルは、幅広い産業での活用が期待できる

――なるほど、ビジネスニーズもかなり大きそうですね。それでは、ここから先の将来像はどう考えていますか。

佐藤氏:まずは、こうした3D空間をゲーム開発者や個人の映像クリエイターが自由に扱える、オンラインのプラットフォームが生まれてくると思います。最近ではFortniteのようなオンラインゲームのプラットフォームがSNSに近づいていますから、to C(コンシューマー向け)の世界では、そうしたものが共通プラットフォームに発展していくのかなと。

 そうしたプラットフォームを通じてわたしたちが生成した3Dモデルを提供することで、開発者やクリエイターがゲームや映像作品を作り、公開していく。そんな未来が、おそらくこの3年ほどで実現していくのではないでしょうか。

 その先は、3次元空間の民主化に進むと考えています。ゲーム開発者や映像クリエイターが面倒な作業をせずに、ボタンひとつで空間を生成できる。あとはそれを使って面白いものを考えるだけ、という世界が実現するでしょう。

 もともとスペースデータのプロジェクトが目指しているのは、地球の外にも飛び出して、月や火星といった宇宙空間までをデジタルツインにすることです。物理的には簡単に行けないそうした場所を仮想空間で再現し、探索などを行う。そういった世界も、おそらく10年以内には出てくると考えています。

――ほーっ、壮大なプロジェクトですね! そんな未来が楽しみです。

NTTインフラネット:社会インフラの維持や都市開発をめぐるさまざまな課題を解決していく

――続いてNTTインフラネットの千葉さんに、現在の取り組みをうかがえればと思います。

NTTインフラネット 千葉氏:NTTインフラネットは、NTTグループの地下埋設設備を維持管理する会社です。先ほど増田さんにご紹介いただきましたが、今年度のPLATEAUでは、インフラ事業者間で埋設物に関するデータを共有する取り組みを行っています。まずは、こうした取り組みが必要になった背景からお話しさせてください。

日本の地下には大量の地下埋設物が網の目のように張り巡らされている

 こうしたインフラ設備の建設時期は、1960年から1980年代前半がピークとなっています。今からおよそ20年後には、建設後50年を超える設備が全体の85%を占めることになり、老朽化への対応が深刻な問題となっています。

 インフラを維持するためには設備の更新が必要ですが、地下に埋まっているため更新は簡単ではなく、非常にお金がかかります。加えて、インフラの維持を担う人材も高齢化し、大量退職世代にさしかかっています。これはNTTだけでなく、ほかのインフラ事業者でもまったく同じ状況です。

社会インフラ設備全般の老朽化と、それを支える保守人員の急減が大きな課題となっている

――社会インフラの老朽化に加えて、それを支える人もいなくなってしまう。大きな社会問題ですね。

千葉氏:そこで、インフラ事業者どうしが連携してインフラの更新と維持に取り組もうという動きが出てきています。具体的には作業員のマンパワーをシェアする、技術をシェアするといった動きですが、その本丸として「埋設物に関する情報のシェア」が非常に重要だと考えています。

 埋設物の情報とは、すでに現在あるインフラ設備のデータ、これから計画している工事のデータ、点検時のデータといったものです。点検時のデータは、地下を掘り起こして点検を行った際の写真で、そこに他社の設備も写っていれば点検業務が簡略化できる可能性があります。

 もちろん事業者間の競争領域もあるため、すべてのデータが共有できるわけではありません。それでも、まずは協調領域(非競争領域)から共有を進めて、競争領域でも問題のないデータは共有していくことで、社会インフラの維持をめぐる課題を解決できるのではないかと考えています。

――なるほど。それでは、各社が持っているデータはすぐに共有できる状態なのでしょうか。

千葉氏:いいえ、残念ながら古い設備のデータですので、共有するためには精度や整合性に課題があります。

 数十年前に作られた古い設備の場合、建設当時はまだGPSで高精度な位置情報(緯度経度)を記録する仕組みがありませんでした。埋設物の位置情報は背景地図に相対座標で書き込まれていたり、地図に依存した緯度経度で記録されていたりするのが一般的です。さらに、その背景地図も自治体から提供されたもの、自社独自に作成したものとバラバラで、結果として各社のデータ間で位置情報の整合性がとれない問題が生じています。

――うーん、整合性がとれていないデータを各社から集めても、そのままでは使い物にならないですよね。

千葉氏:そのとおりです。そしてこの問題は、都市開発にも影響を及ぼしています。

 新しいビルを建設するときには、計画地やその周辺に埋まっているインフラ設備の情報が必要になります。しかし、各インフラ事業者が持つデータのフォーマットがGIS、CAD、手描き図面などバラバラで、位置情報の整合性もとれていません。そのため建築設計をする企業では毎回、それを収集し、統合してから設計に入ることになります。ここにも大きな手間とコストがかかっています。

――そうした問題を解決するために、今回の取り組みを進められているわけですね。

千葉氏:はい。具体的には、各インフラ事業者の持つデータを収集し、位置合わせを行ったうえで3D都市モデルへの変換を行います。これにより、地下埋設物のデータが一元化されるうえ、複雑な地下埋設物の構造を簡単にビジュアライズできるようになります。

 今年度はこうして開発した3D都市モデルを建設設計時の埋設物照会に活用したり、BIMモデルと統合して基本設計を行ったりすることで、実際の効果やメリットを検証していきます。そして来年度以降は、少しずつ各事業者の業務の中に取り入れていく、そのように進める計画です。

今年度のPLATEAUにおける取り組み

――ということは、各事業者のデータを統合する際の共通フォーマットとしてPLATEAUを活用するわけですか。

千葉氏:そうなのですが、わたしたちがPLATEAUに期待しているのは、“フォーマット”よりも“プロトコル”としての役割です。各事業者が地下埋設物についての情報交換を行う際に、共通項目として何を、どの程度の粒度で交換するのかを、LODの概念で決める仕組みにしたいと考えています。

 先ほども触れましたが、インフラ事業者間の競争領域ではすべての情報を共有できるわけではありません。そうした場合でも「ここまでの情報ならば共有できる」というレギュレーションを決めて契約しておくことで、事業者間の情報交換がしやすくなります。

――すいません、知らなかったのですが、CityGMLでは地下埋設物についてもLODが定義されているんですか?

千葉氏:はい、昨年度のプロジェクトで決まりましたので、それを実装していこうと考えています。たとえばLOD1はマンホールの“点”と管路の“線”で表現する、LOD2では配管を立体物として表現する、といった具合ですね。

――なるほど。この取り組みは、将来的にはどういったものにつながっていくのでしょうか。

千葉氏:ひとつ検討しているのが、経済産業省で進められている「デジタルライフライン全国総合整備計画」への統合です。

 このプロジェクトは、労働人口の減少に伴う「人流クライシス」「物流クライシス」、そして「災害激甚化」という課題に対応するものですが、その一環として、2024年度から「インフラ管理のDX」実装の取り組みがスタートします。インフラ管理のための情報交換、情報利活用の仕組みを作ろうというものですが、その中にPLATEAUを共通プロトコルとして入れていきたいという議論を、現在進めているところです。

デジタルインフラが“当たり前”にあるからこそ、新たなビジネスが生まれる

――最後に、お二人が考える未来像について簡単に教えてください。

佐藤氏:冒頭で増田さんがおっしゃった「なめらかな融合」につながりますが、わたしもメタバース(仮想空間)とユニバース(現実空間)の境界線がどんどん消えていくと考えています。そうなると、現実空間を仮想空間に再現するだけでなく、仮想空間で考えたことが現実空間に影響を与えるような、逆方向のフィードバックも起こることになります。  たとえば、すでに製造業で使われている3Dプリンターなどが良い例ですね。仮想空間でモデリングした試作品を、物理空間へ取り出して検討し、仮想空間上で設計を修正する――。こうして仮想と物理の世界をすごい速度で行き来しながら、ひとつの製品を作り上げていく。こうした変化が、これまでの製造業の“当たり前”を書き換えつつあると思いますし、ほかの世界にも広がっていくのではないでしょうか。

――なるほど面白いですね。千葉さんはどうでしょう。

千葉氏:インフラ設備の情報についてですが、現状はまだ「設備がどこにあるか」という情報にとどまっています。今後はこれを「中を流れる情報がどう有機的につながっているか」まで把握できるようにする必要があると考えています。たとえば「水道がどこからどこへ流れているか」「ガスがどう分岐してどこに届いているか」「通信のネットワークがどう張り巡らされているか」といった情報です。

 これが実現すれば、「ここで災害が起きたらどこまで影響が及ぶのか」「エネルギーがどの建物に運ばれて、どのくらい消費されているか」といったことも簡単に把握できるようになります。そうなれば、インフラ設備の情報の使い道はさらに広がりますよね。

――これも面白い話ですね。あらためてアクセンチュア増田さん、今回のお二人のお話はいかがでしたか。

増田氏:ありがとうございます。今回、佐藤さんと千葉さんにお声がけさせていただいたのは、お二人とも“未来の当たり前”を作ろうとしていると感じたからなんですね。

 佐藤さんが作られている都市のデジタルツインデータ、あるいは千葉さんがお話された地下埋設物の3次元データやプロトコル作りもそうですが、現実空間と仮想空間がなめらかに融合していく未来のためのインフラ、「デジタルインフラ」が生まれてきています。こうしたデジタルインフラが“当たり前の存在”になることで、世の中のすべての人が新しい体験をしたり、新たなビジネスを展開したりできるようになります。

 現実空間と仮想空間が融合して生まれた新しい空間でどうビジネスをしていくのか、そのためにどう体制を作るのか、どうパートナーと連携していくのか――。いろいろなニーズがあると思います。アクセンチュアとしてもコンサルティング、テクノロジーを含めてご支援したいと考えていますので、ぜひお気軽にお声がけいただければと思います。

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