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美人時計からビジネスモデルが進化 複雑なタレント依頼を効率化する「クラウドキャスティング」

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一次請けを担うことでキャスティングを効率化

 現在展開されているクラウドキャスティングの仕組みだが、大きく分けて「指名オファー」と「募集オファー」の2つの機能がある。成立するキャスティングの7割が「指名オファー」によるものだ。「指名オファー」では、発注者が予算や性別、特技、SNSフォロワー数などの条件を指定することで希望に合う人物を検索できる。

 一方、募集オファーでは発注者がギャラや依頼内容、肖像権の使用範囲などのイベント詳細をフォーマットに入力。クラウドキャスティングの事務局が内容を審査したうえで、条件に合う人物のマネージャーやフリータレントに、募集が送付される。はじめから募集要項が定められているためスムーズなマッチングが可能で、成功率はおよそ8割に上る。受注者から報酬や内容を交渉できる逆提案機能もある。

 クラウドキャスティングの特徴はいわゆる一次請けの役割を担うことで、受発注者双方の負担を軽減していることだ。発注者は相場の把握や源泉徴収、インボイス制度などの面倒な処理をシステム上で完結できる。受注者は審査を通過した適正なオファーのみが届くため、スムーズに契約を進められる。

 ビジネスモデルは起用人数に応じた料金設定で、発注者のアカウント登録やオファー掲載は無料だ。報酬が10万円以下の場合は1名起用あたり1万1000円(税込)、10万円以上の場合は、1名起用あたり報酬額の10%のシステム利用料が発生する。

 また、6月にはミスマッチの最大の原因は報酬の折り合いがつかないことであり、その課題を解消する新機能「キャスティング報酬シミュレーター」が実装された。依頼したい人と依頼内容を入力するだけで、相場観のシミュレーションが可能になる。マッチングがさらに効率化される見込みで、すでに特許も取得済みだという。実際に依頼をする際の参考になる機能だが、不透明な相場が事前にわかるだけで依頼のハードルを下げてくれる。

IPやVTuverなどの難しいキャスティングへの対応を目指す

BIJIN&Co.株式会社 代表取締役CEO 田中慎也氏

 近頃、タレントやインフルエンサーの写真を、手軽なサブスクで広告などに利用できるサービスが増えている。しかし、それらとクラウドキャスティングは本質的に異なる。なぜならクラウドキャスティングは人と人がつながるためのサービスであるためだ。対人の依頼においてはスケジュールや内容などのさまざまな条件を満たさなければならないという点で、写真を利用できるサブスクとは一線を画す。

 クラウドキャスティングは今後の展望としてタレント以外にも、多様なプロフェッショナルをキャスティングできるプラットフォームを目指す。田中氏は「よりハードルの高いキャスティングを実現することが存在価値になる。海外タレントやキャラクターIP、VTuber、AIで生成された架空の人物などと発注者の効率的なマッチングを実現していきたい」と語った。

 

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