起業家支援、イノベーション創出 関係者が語る堺市事業の現在地点と未来

起業家育成、事業成長につながる各プログラムを実施

　2023年度に実施される各プログラムでは異なる対象やテーマが設けられており、ワークショップやセミナー、イベントなどを通じて、中小企業から若い起業家志望者、育児中のママたち、シニア世代までできるだけ幅広い層が参加できるプログラムが計画されている。西浦氏は「本年度の目標としてはできるだけ若い人たちを巻き込みたいと考えている。プログラムも現時点の内容に固執せず、走りながらブラッシュアップしていきたい」と語る。

イノベーション施策

堺市U30起業家輩出プログラム SIP（Sakai Incubation Program）
https://sites.google.com/view/sakai-lab

　30歳以下の若手起業家をサポートするプログラムとして2019年から開始され、現在第3期生を募集している。ビジネスモデル設計や仮説検証などのテーマで5回のプログラムを通じて、アイデア作りから半年かけてビジネスを形にしていき、2月のピッチコンテストでお披露目する。そこで受賞するとS-Cubeのシェアードオフィスが1年無料で利用できる権利や、会社設立支援を無料で受けられるなど、他にも受講者特典が用意されている。3年前から支援しているNEWRON株式会社の西井香織氏は講師役も務めており、「ピッチコンテストは支援者とのマッチングの場も兼ねているのでぜひ多くの人たちに参加していただきたい」と述べた。

NEWRON株式会社代表取締役社長 西井香織氏

地域社会未来創出プロジェクト
https://www.city.sakai.lg.jp/sangyo/shienyuushi/sogyo/innovation/mirai-proj.html

　社会的、経済的インパクトのある新規事業を創出、あるいは検討したい事業者を対象に、業務プロセスの可視化や仕組化、新規事業創出など、セミナーやワークショップによりビジネスプロジェクトの創出を支援する。2月には策定したプランの発表に対し、参加企業から逆提案いただき協働を喚起するマッチング会も開催する。担当するりそな総合研究所の藤原明氏は「プログラムの内容は我々が20年間かけて体系立ててきた方法に基づいて提供しており、いろいろな方からの提案も受け入れながら、地域にも多くイノベーションを起こしていただくような仕掛けをしていきたい」と述べ、地域との連携を強調した。

りそな総合研究所リーナルビジネス部長 藤原明氏

さかいアクセラレーションプログラム「INNOVATORS BOOTCAMP in SAKAI」
https://www.city.sakai.lg.jp/sangyo/shienyuushi/sogyo/startup.html

　新事業を実現し、成長させる意欲のあるスタートアップや第二創業の経営者を対象に少数参加で行われる「INNOVATORS BOOTCAMP in SAKAI」は、構想段階から事業計画の策定、仮説検証等それぞれにハンズオンパートナーによる支援が行われ、メンターから一気通貫での事業成長のためのノウハウやネットワークを得ることができる。今年度は6社が参加し、全体で4つあるフェーズのうちすでに1回目が行なわれている。担当する監査法人トーマツの小堀真樹氏は「皆さんがお持ちのビジネスアイデアをセミナーやワークショップを通じてブラッシュアップするとともに、当社以外のメンターも参加し、参加企業同士の連携を深めることで相乗効果を生み出していきたい」と取組にかける意欲を語った。

有限会社監査法人トーマツ監査・保証事業本部A&A事業開発地域未来創造室 小堀真樹氏