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知財がカギ スタートアップと大企業の共創事業のポイント

「初めての共創ビジネスに効く、スタートアップ・新規事業担当者向け知財セミナー by IP BASE in大阪」レポート

特集
STARTUP×知財戦略

提供: IP BASE/特許庁

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知財戦略が重要性を増すからこそ、スタートアップが知っておきたい知財のポイント

 竹本如洋氏は講演「これだけは知っておきたい知財のポイント」で、(1)知的財産とは、(2)スタートアップが特許権を取得する意義、(3)スタートアップの知財戦略、(4)特許庁オープンイノベーションポータルサイトの紹介――という4つのトピックについて講義した。

弁理士法人瑛彩知的財産事務所 竹本 如洋氏

(1)知的財産とは

 特許庁が管理する知的財産権には、「知的創作物についての権利等」として特許権、実用新案権、意匠権、「商業上の標識についての権利等」として商標権がある。

 これをもとに、知財とビジネスの関係を米国のバイクメーカーのハーレーダビッドソンの例を紹介。同社は、1911年に商標を登録、1919年に意匠を登録、1928年に特許を登録している。さらに、バイクを撮影した写真は著作権で保護され、さまざまな知的財産権で保護することでビジネスを大きくしてきた。

(2)スタートアップが特許権を取得する意義

 共創のあり方の変化に伴い、年々M&Aが増えている。無形資産である知財は買収の対象となるため、知財資産価値の形成はいっそう重要だ。2010年以前は物を販売して利益を上げるのが一般的だったが、2010年以降は複数の会社が組むことで共創によるサービスで利益を上げるという世界観へと変わってきている。

 米国では無形資産への投資額が有形資産への投資額を超えている。米国S&P500企業の無形資産の資産価値は年々上昇しており、無形資産の占める割合は2020年には全体の90%に達しているという。日本でも無形資産への投資が伸びており、今後は有形資産への投資を超えていくと予想されている。

 また、日本全体での特許出願件数でいえば減少しているものの、ビジネス関連(アプリやWebサービスを含む)発明の出願は年平均9%で成長している。加えて、特許査定率(特許申請し審査を受けたもののうち特許が認められる率)も上がっており、2007年には50%ほどだったのが、今や70%以上が査定となる状況だ。

 スタートアップが特許を取得するメリットは、(1)自社の製品やサービスを守り、ビジネスの自由度を確保できること、(2)マーケティングに利用し、顧客に先進性をアピールできること、(3)交渉のカードに使用し、事業活動を優位に進められること――の3つのメリットがある。例として近年の知財紛争を紹介し、知財を守れなかった場合には自由なビジネスができなくなり、巨額の損害賠償請求やビジネスの差し止めを受ける可能性があることを指摘した。

(3)スタートアップの知財戦略

 スタートアップの知財戦略は、置かれている状況や知財に関するレベルに応じて異なる。社内に知財組織を持たないシード、アーリー期のスタートアップは、社外の弁理士や特許事務所に依頼するケースが多い。初期のスタートアップの知財戦略としては、知財専門家のサポートを受けながら知財に関して生じるさまざまな困りごとをタイムリーに解決する仕組みを作ることが重要になる。特許の出願では、企業と弁理士との間で何度もやり取りしながら、ビジネスの進化に合わせてタイムリーに特許請求を書き換え、ベストな特許権の取得をめざしていくことが必要だ。

(4)特許庁オープンイノベーションポータルサイトの紹介

 オープンイノベーションにおけるよくある失敗事例として、スタートアップと大きな事業会社が組むときに双方が自社の利益のみを追求して主張し合うことで、事業がうまくいかない、単発の協業で終わってしまう、ということがある。

 理想のオープンイノベーションとは、どちらかの事業ではなく、「スタートアップと事業会社の連携を通じ、知財等から生み出される事業価値の総和を最大化すること」。この観点から、特許庁の「オープンイノベーションポータルサイト」では、さまざまな情報を発信している。「事業会社とスタートアップのオープンイノベーション促進のためのマナーブック」や「オープンイノベーション促進のためのモデル契約書」も公開されているので、ぜひ参考にしていただきたいと竹本氏は語った。

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