LayerXの「全員で採用」と「羅針盤」による組織づくり
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見えない貢献はCEOやマネジメントチームが評価する
マスクド:LayerXにおける組織づくりで重視する点はなんでしょう。
数長:全社的な取り組みとして、LayerX羅針盤による行動指針を非常に重視しています。中でもTTTB(トラストフルチームフィードバック)という、いわゆる360度フィードバックに近いものがあります。これは一緒に働く社員からメッセージやアドバイスを集計して、本人にお渡しするものです。こうしたフィードバックをもらうのは抵抗がある人もいますが、フィードバックをもらった後に「自分が知らなかった長所を書いてくれた」「周囲が自分を大切に思ってくれるのがわかった」など、とても喜んでくれます。これは弊社の文化を代表する施策になりました。
併せて大きな意思決定をする場合は、行動指針に則って考えるようにしています。例えばMVPや社長賞と呼ばれる社員への表彰制度は多くの会社で行われていますが、社員によって解釈は異なります。そこで社長や役員だけでなく社員も参加しながら、LayerXにおける表彰制度について意見交換を行いました。こうした経営陣から社員に至るまで相互にコミュニケーションが取れることは、弊社の特徴だと思います。
マスクド:採用や育成において、LayerXが重視する点はなんでしょう?
数長:情報の透明性を強く意識しています。当社は毎月最終営業日に社員全員が集まる締め会を行っています。ここでは各事業部の状況報告だけでなく、CEOの福島の「@fukkyy」というハンドルネームから由来した「fukkyy’s TOPIC」という報告があります。ここでは「行動指針」や「羅針盤」を体現したメンバーを表彰します。
そして表彰した人の取り組みを共有することで、他の人にも真似してほしいと伝えています。例えば、誰も気づかないが重要な問題が放置されたままでは、後々大きな問題になるでしょう。だからこそ積極的にボールを拾ってくれる人は、目立たなくとも組織において確実に貢献しています。だからこそ皆の前で称賛すべきという考え方があります。
マスクド:ユニークな施策として役員と若手社員が本を通じてお互いの意見を交換する「本(ブック)メンター」制度があります。こうした制度はどのように始まったのでしょうか。
数長:実はこの施策は、学生インターンが発案しました。背景としてLayerXとして新卒採用を強化したいのものの、スタートアップは認知度に乏しいです。そこで学生や新入社員が本をきっかけに経営陣と会話する取り組みを外部に発信することで、注目してもらえるのではと提案してくれました。発案者のインターン生は、他にもカンファレンスの責任者を努めたりと積極的に行動を起こしています。もちろん先輩社員達がフォローしていますが、ここまで任せているのは珍しいのではないでしょうか。
まとめ:赤裸々な今を伝えることで入社前後のギャップを解消
マスクド:最後にLayerXで働く魅力についていただけますか。
数長:情報が常にオープンであることです。そして、羅針盤における行動指針が根付いています。私が人事として魅力に感じるのは、入社から1ヶ月後に行われる面談の時です。「入社前と後でギャップはありましたか?」と聞くと、必ず皆さんが「選考段階で聞いてた文化や行動指針やブログやPodcastで言われたギャップがない」と驚かれることです。
採用広報において私達は、ありのままを伝えることを意識しています。LayerXのPodcastも「赤裸々な今を伝える」がコンセプトです。この理念が伝わって外部に発信できているのは、とても特徴的で魅力があると思います。
取材を終えて
スタートアップにおいて入社したことを伝える「入社エントリー」は当たり前になっていますが、LayerXへの入社エントリーが出るとSNSなどで話題になります。これには事業の面白さや企業としての将来性のみならず、常にCEOやCTOによる情報発信が大きいと考えていました。しかし実際にはそれ以上に組織全体として採用を全員で行う「全員採用」が大事だとわかる取材となりました。
マスクド・アナライズ
空前のAIブームに熱狂するIT業界に、突如現れた謎のマスクマン。
現場目線による辛辣かつ鋭い語り口は「イキリデータサイエンティスト」と呼ばれ、独特すぎる地位を確立する。
"自称"AIベンチャーを退職(クビ)後、ネットとリアルにおいてAI・データサイエンスの啓蒙活動を行う。
将来の夢はIT業界の東京スポーツ。
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