組み立てや補修に欠かせない接着剤。接着する素材や用途によって最適なものが変わるため、「これがあれば万全」というのがないのが悩みです。
最近は、素材を選ばず使える多用途接着剤の性能がかなり上がっていて、強度がそこまでいらない用途であればかなり使えるようになっています。しかし、割ってしまった樹脂の補修など、硬化後の強度が必要な用途には向いておらず、ちょっと力を加えるとスグに剥がれてしまうことも。
こういった、力が加わる部分の樹脂補修に使えるのが、「プラリペア」(実売価格1260円)です。
どうやって使うの?
プラリペアの特徴は、パウダーとリキッドの2つを混ぜると硬化し、アクリル樹脂になること。この時、接着対象の樹脂と化学結合、もしくは付着接着が起こるため、かなり強力にくっつきます。
また、樹脂化するため欠損部分を埋めることも可能。元の強度近くにまで補強できるため、接着剤ではなく「造形補修材」となっています。欠けた部品が見つからなくても、同じ形の正常な部分で型取りし、欠けた部分を複製することだって出来ちゃいます。
硬化時間は、約5分(25℃)。硬化後は削ることもできるので、ヤスリなどでサイズや形を整えれば完全に元通り……とまではいかなくても、機能的な復元は意外と簡単です。破断やひび割れの補修、ネジ穴やツメの復元などで活躍してくれること間違いなしです。
対象物になるのは、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂、スチロール樹脂、FRP(ポリエステル樹脂)、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂。一般的にプラスチックとまとめて呼ばれるものの多くが対象。これ以外にも、アルミ、木、石、陶器などにもくっつきます。
2つの方法で、割れたプラスチックの補修にチャレンジ
本当に偶然なんですが、ちょうどアーロンチェア(18年目)の背もたれ部分、ポスチャーフィットのプラスチック部品(ABS)が割れていたんですよ。普段、あまり背もたれを使わない座り方をしてるので放置していたのですが……。
ここで、気づきました。これ、プラリペアの実力を試すチャンスなんじゃないか、と。接着剤では無理だろうと諦めていたけど、ついに補修をする時が来たんじゃないか、と。
ということで、試してみましょう。
プラリペアの使い方は大きく2つ。ひとつは「ニードル法」と呼ばれているもので、パウダー容器に少量リキッドを垂らし、球状になった塊を補修部へ充填するものです。もうひとつは「ふりかけ法」で、これは先に補修部にパウダーを載せ、そこにリキッドを垂らしていく方法です。
プラリペアでの補修を試す前に、まずは下準備から。割れた口をそのままくっつけようとすると接着面積が狭く、強度が出ません。そこで、割れ口をヤスリやカッターなどで削り、V字になるよう加工します。
続いて、プラリペアのキットを開封し、リキッドと作業用の容器を取り出します。付属のスポイトで容器へとリキッドを移したら、キャップをしめ、ニードルを挿し込みましょう。
まずはニードル法を試してみます。
パウダーの入っているカップのフタを開け、ニードルから1滴リキッドを垂らします。するとパウダーに染み込み球形になるので、それをニードルの先で掬い取り、補修部へ移動します。
移動したら容器を押してリキッドを出し、球形のパウダーを溶かしながら補修部を埋めていきます。この時、時間をかけてしまうと球形のパウダーが固まってしまうので、なるべく手早く作業しましょう。また、リキッドをケチるとなかなか球形のパウダーが溶けてくれないので、少しシャバシャバになるかも、というくらい出す方がうまくいきました。
ニードルの先で伸ばしたり均したりして、ある程度形を整えればOKです。これを繰り返し、すべての補修部を埋めていきます。
続いて、ふりかけ法です。
こちらは、先に補修部をパウダーで埋めておくのが大きな違い。パウダーはものすごく細かく、そしてサラサラなので、ちょっとの振動で崩れ、わずかな風で吹き飛びます。ステンレスの耳かきなどで少量ずつ載せていき、小さなヘラで形を整えていくのがいいでしょう。自分は、手元にあった小さな薬さじを使いました。
なお、関係ない部分にパウダーが広がってしまった場合は、筆でなでると簡単に除去できます。完全にやり直したいときはひっくり返し、風で吹き飛ばすのもいいでしょう。
ふりかけ法のいいところは、時間を気にせずゆっくり作業できること。過不足ないよう、補修部にパウダーを載せていきます。
パウダーを載せ終わったら、その上からリキッドを垂らしていきます。端から順番に、自然とパウダーに吸い込まれて広がっていくくらいの量を垂らしていくのがコツです。
パウダーがうまく行き渡っていない場所があれば、ニードルの先で整えます。ニードル法よりも時間的な余裕があるため、あわてずに済みます。
補修部を埋め終わったら、5分以上そのままにして硬化を待ちます。30℃以上の室内で作業しましたが、ある程度硬化するまでは5分もかかりませんでした。ただし、削ったりできるほど硬くなるのはもっと後。最低でも10分、できれば30分くらい待つ方が無難です。
練習しないままぶつけ本番で補修を行った結果、ニードル法はコツがうまくつかめず、あたふたしているうちに固まりかけたりして、かなり凸凹に。ふりかけ法はイイ感じに見えましたが、パウダー不足で凹みが残ってしまいました。
このままでも強度はありますが、見た目が悪いし、何より引っかかって使い物になりません。硬化後にヤスリで平らに削り、凹みはプラリペアで再度埋めて、補修を完了しました。
(次ページ、ガラスクロスでさらに強度を高める方法)
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