以前、AIで楽曲を生成し、それをDAW(パソコンで音楽ソフト)で打ち込みなおしてオリジナル楽曲を作ることを考えた。
以前の記事で、AIを使った楽曲制作の途中までを記した。
その後、楽曲の制作が進んだので、今回記事に記したい。
▲今回仕上がった楽曲(マスタリングは仮のもの)
制作フローを考えなおした
以前の記事では以下のようなフローを考え、制作を進めた。
以前考えたフロー
1. 文章生成AIに歌詞を書いてもらう
2. 歌詞を自分の言いたいことにリライトする
3. その歌詞をSuno AIに入れて、AIで曲にしてもらう
4. たくさん生成した曲の中から一番いいと思うものを選ぶ
5. コード解析アプリで楽曲のコード進行を確認
6. DAW(パソコンで音楽をつくるソフト)でAIが作った曲を作り直す
7. 歌ったときの語感に合わせて歌詞を(だいぶ)リライトする
8. 歌を収録して載せる
9. ミックス・マスタリングをする
ChatGPTで歌詞を作らせた後、Suno AIで楽曲を生成し、それをDAWで打ち込みなおし、調整していくというフローだ。
▲以前AIで生成した楽曲
▲以前DAWで打ち直した途中の楽曲
以前の記事では、上記フローの6まで進んだことになる。
今回、この曲を仕上げるにあたって、フローの見直しをした。
見直したフロー
1. 文章生成AIに歌詞を書いてもらう
2. 歌詞を自分の言いたいことにリライトする
3. その歌詞をSuno AIに入れて、AIで曲にしてもらう
4. たくさん生成した曲の中から一番いいと思うものを選ぶ
5. コード解析アプリで楽曲のコード進行を確認
6. DAW(パソコンで音楽をつくるソフト)でAIが作った曲を作り直す
7. トラック(伴奏)に合わせて自分らしいメロディを作り直す
8. メロディに合わせて歌詞を書き直す
9. トラックを改造して曲の雰囲気にオリジナリティを足す
10. 歌詞の調整をする
11. 歌を収録して載せる
12. ミックスをする
13. マスタリングをする
メロディとトラックについて、筆者にとってしっくりくるものに作り直す必要があった。
AIの生成したメロディでは面白みがないように感じたし、AIの生成したトラックそのままではありきたりで、オリジナリティがないように感じた。
AIの生成したものの一部が自分の作品としてしっくりこないという体験を通して、「作品の自分らしさ」を見つめることとなった。
AIの作った「叩き台」があると、「ここは自分らしくない」という意識がはっきりと湧いてくる。ゼロから作品を作っていた時には無意識だった「自分の作品らしさ」を意識することができた。
自分のメロディに「自分らしさ」のようなものがあると思っていなかったので、今回の制作でそれに気付くことができたのはかなりの発見だった。
AIが生成した、ウケそうなわかりやすいメロディやトラックと、自分で制作した自分らしいメロを組み合わせることでちょうど良いバランスを目指せた制作になったのではないかと思う。
▲一部メロディを自分で作り直したもの
その後、そのメロディに合わせて、歌詞をほぼイチから制作した。
AIの作ったサビのキャッチーなフレーズは残しつつ、それ以外の部分は自分の思いを反映した、地に足のついた歌詞を制作した。
「共感できる存在を探す旅」と「航海」を重ね合わせた歌詞である。
歌詞に合わせてトラックを作りなおす
歌詞を書いた後、もともとのトラックが歌詞と合っていないという事態が発生した。
歌詞に対してトラックが元気かつ馬鹿っぽすぎて、浮いているのだ。
かつ、AIの生成したトラックはありきたりすぎて楽曲としての存在意義が薄いように感じた。
EDM調のトラックとして制作していたが、歌詞の「航海」というテーマを表現するために、船の上で演奏するようなケルトやアイルランドの音楽のエッセンスを入れたら良いのではないかと考えた。
具体的には、アコーディオンやヴァイオリンのようなアコースティックな楽曲を使用するという方針である。
しかし、EDMの盛り上がる曲調は残したい。そこで、アコースティックな音からEDM調の音にシームレスに変化するパートを作った。
その後、歌詞を微調整し、仮歌を入れレコーディングに備えた。
▲トラックを大改造して仮歌を入れたもの
レコーディングとミックス、マスタリングは自分でやるのでなく、プロの方にお願いしている。
レコーディングの前に歌詞シートを製作した。
家で歌ってみて、どのようなニュアンスで歌うのかを手書きで書き込んでいく。
iPadって便利だな……。
レコーディングのときにわからなくならないように、コーラスをどのように入れるのかも記している。
これは、レコーディングの際に歌ってみながら調整する。
スタジオでレコーディングしていく。
マイクのセッティングや収録はエンジニアさんがやってくださる。
3時間ほどですべての収録箇所を録ることができた。
ミックスを通じてマスタリング作業へ
その後、別日にミックス作業をした。
各音にエフェクトをかけて音の位置を調整して聴きやすい音にしていく。
この作業で音楽としてまったく変わるのだから面白い。
筆者の指示をもとにエンジニアさんがミックス作業をしてくださる。
▲ミックス作業をして仮マスタリングをしたもの
この後、マスタリングで音圧を上げる作業をして完成である。
マスタリングはミックスのエンジニアさんとは別の方にお願いしている。
EPとしてリリースしようと考えているのでEPの曲が全て完成したら通してマスタリング作業に入る。

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