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オープンイノベーションの手法と仲介サービス:業者一覧とサービスの使い分け

連載
オープンイノベーション入門:手引きと実践ガイド

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◆同日開催のカンファレンスにて、オープンイノベーション関連セッション開催!
JAPAN INNOVATION DAY 2024 【2024年3月1日・ベルサール汐留で開催】
セッション名「2024年、日本のオープンイノベーションの現在地を探る」(11:30-12:00)


 

オープンイノベーション活動で協業パートナーを探索する際には、手法と仲介サービスの活用が重要となってくる。仲介業者を取り巻く国内外の状況や使いこなしについて説明する。(連載一覧はこちら

オープンイノベーションの手法

 オープンイノベーション活動を実践するうえで「協業パートナーを探索、または協業パートナーと協業する際に活用できるさまざまな手段」をオープンイノベーションの手法と定義する。現在は同じ手法であっても複数の呼び方が混在している状況にある。例えば不特定多数に提案を呼び掛けるオープンイノベーションコンテストは、アイデアコンテスト・アイデアコンペティション・チャレンジとも呼ばれている。

 2013年にChesbroughはEU・米国の大企業を対象としたオープンイノベーションに関する包括的な調査結果を報告している。その中では知識の方向性と金銭の授受の2軸で手法を分類し、クリエイティブコモンズ/非営利組織への寄付まで幅広く含めた図が掲載されている。また多くの企業がインサイドアウト型よりもアウトサイドイン型の活動に注力していることが明らかにされている。

以下を元に著者作成
Chesbrough, Henry and Sabine Brunswicker [2013], Managing Open Innovation in Large Firms, Fraunhofer Verlag.

 その他の分類の例として、Brunswickerは企業が特定のプロジェクトに対して4つの手法のいずれを用いればよいかを判断するために役立つガイドラインを提供している。

以下を元に著者作成
Brunswicker, Sabine, Mehdi Bagherzadeh, Allison Lamb, Raghav Narsalay, and Yu Jing [2016], Managing Open Innovation Projects with Impact, Whitepaper Series, Research Center for Open Digital Innovation, Purdue University.

●オープンイノベーションパートナーシップ
 問題が複雑だが既知の技術領域で解決できそうなときに適している
●オープンイノベーションコンテスト
 企業にとって未知の技術領域の問題を解決するのに適している
●オープンイノベーションコミュニティ
 問題が複雑かつ技術領域の検討がついていないときに適している

 これら、従来の知的財産権に基づいた契約を含めた4つの手法は相互に関連しており、1つのプロジェクトを推進する際に複数の組み合わせが発生する場合がある。例えば解決策の方向性が不明確な時にオープンイノベーションコンテストを適用し、協業パートナー候補を募集する。結果として有望なパートナーが見つかった場合において、個別にオープンイノベーションパートナーシップを締結できる。

 上記のように手法にはさまざまなものがある。これらはオープンイノベーション活動を実施する企業が採用している企業戦略や事業戦略、研究開発戦略、また企業文化によって相性がよいものと悪いものがあるため、試行錯誤を通じて自社に最適な組み合わせを見つける必要がある。つまり競合他社がオープンイノベーションセンターを開設したからといって、単純に模倣すればよいわけではない。

オープンイノベーション仲介サービス

 オープンイノベーション仲介業者を「オープンイノベーションの手法やソフトウェアの提供・外部コミュニティへのアクセス権の付与・オープンイノベーションの教育/プロセス導入支援を通じて企業のオープンイノベーション活動を支援する組織」と定義する。英語ではOpen Innovation IntermediaryやOpen Innovation Acceleratorの用語が当てられている。本稿では、仲介業者が提供しているサービスを「仲介サービス」と呼ぶことにする。

 業種を問わず仲介的なサービスを提供する企業には内外から情報が集まりやすい。また多数の企業から業務を請け負うことになるため、大規模な試行回数を通して、探索に関する知見が蓄積されていく。そのため企業は仲介業者を適切に活用することで、オープンイノベーション活動を効率よく推進できる。さらにはその仕事ぶりを見ることで、自社の活動に役立つノウハウが学べる可能性がある。

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