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メタバース今昔~特許の内容からメタバースブームの成功要因を考える~

セカンドライフからMetaまで

連載
知財で読み解くITビジネス by IPTech

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今のメタバースが成功するために必要なもの

 「メタバース」の先駆者とも言える「セカンドライフ」ですが、リリース後、徐々にその勢いは減っていきました。

 原因として、「要求スペックが高い」「導入が難しい」「コミュニティが閉鎖的(同時に存在できるユーザの上限が50人)」を含め、さまざまな問題があり、一般に浸透していくには少々難しい環境にあったようです。

 現在では、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)などVR空間を体験するデバイスも搭乗しており(スマホでもデバイスを繋げればVRが見られますし、AR技術等の発展は目覚ましいです)、誰でも気軽に「メタバース」を体験できる環境にあります。

 そのため、取り上げたMeta社の出願のように、手軽に「メタバース」空間にアクセス可能なシステムに関する特許の出願が増えてきているのではないでしょうか。

 また、Meta社の出願の内容からは、「ユーザへのフィードバック」として、「ユーザがよりその世界に没入できる(ずっとその空間に居られる)」ような方向性も出てきていることが伺えます(もちろん、触覚的なフィードバック技術も依然としてあると思います)。

 「メタバース」を、ネットワーク上に作られた新たな世界として確立していくには、「ゲームのような感覚で一定時間体験したらやめる」、ではなく、「その世界に居る」感覚でずっと体験を維持する、没入感を高めていくための技術が必要なのだと思います。

今後の「メタバース」について

 今回取り上げた「メタバース」ですが、まだまだ一般に広く浸透しているとは言い切れません。

 しかし、技術の進歩、ユーザのライフスタイルの変化も含め、どんどん「メタバース」は我々の現実世界と融合してきていると思います。このままいけば、かつての「スマートフォン」のように、気づいたら誰もが持っている、といった環境になっていくのではないでしょうか。

 スマートフォンは、1990年代に発売された当初、あまり一般ユーザには受け入れられませんでした(フィーチャーホンの方が使いやすい、PCでいい、等)。

 しかし、「iPhone」の登場以降でブレイクスルーが起こり、これまでの「携帯端末」から一気に置き換わりました(実際は、浸透するまでには少々ありましたが)。

 残念ながら、「メタバース」において、まだまだそのようなデバイスは出てきていないように思います(まだ多少機材が大がかり、場所を選ぶ等の問題がありますね)。

 技術は日々進歩しています。そのようなデバイスが発売された暁には、1人1人が自分用の「メタバース」デバイスを持ち、日々アクセスする未来が来るかもしれません。

 そんな「メタバース」が当たり前になった世界では、どのようなユーザ体験が得られるのでしょうか。楽しみに待ちたいと思います。


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著者紹介:IPTech特許業務法人

2018年設立。IT系/スタートアップに特化した新しい特許事務所。(執筆:駒井理人)

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