マルチベンダー対応の重機遠隔操作装置「ModelV」など開発、建設DXのARAVが4億円の資金調達
ARAVは3月8日、シリーズAラウンドにおいて総額4億円の資金調達を実施したことを発表した。本調達は、東京大学協創プラットフォーム開発を引受先とする第三者割当増資と日本政策金融公庫、商工組合中央金庫からの融資によるもの。
同社は、ソフトウエア制御、ロボット工学などの技術とそれらを実装するインテグレーション力を活かして、建設機械をはじめとした各種機械・装置の遠隔操作・自動運転ソリューションを開発している。また、建設現場のDXを促進し、研究・開発・実証実験を通じて収集・解析されたビッグデータを活用することで、現場が抱える様々な問題を解決していくことを目指している。
同社が開発したマルチベンダー対応の遠隔操作装置「ModelV」は、建機のメーカーに縛られず、後付けで取り付けができるもので、市販されている建機の84%に対応が可能だという。すでに、40社以上と共同実証実験を行なっており、提供台数増加に向けた生産体制強化を段階的に進めている。
また、人が搭乗する機械の運転席を要素分解し、各項目が通信可能なAPIを付加するMachine Gateway Hubを開発。ModelVのようなマルチベンダー対応の遠隔装置を普及させるとともに、他社アプリと接続可能なオープン・プラットフォームとなることで、建設・土木業界のみならず、遠隔・自動化ニーズのあるさまざまな分野の機械・機器への展開を進めていく。
さらに、建機等の大型機械の実証実験のリスク低減を目的に、建設機械および現場環境を再現するシミュレーター開発技術を活用する国内初の建機オープンソースという開発エミュレーター「OCS : Open Construction Simulator」を公開。独自のプラットフォームを中核に、各社の開発環境も支援するオープン・クローズ戦略をとりながら、社会・業界の課題解決に貢献していくという。
今回の資金調達により、本格的な量産製品の開発・サービスの立ち上げに加えて、自社プラットフォーム技術を横展開し、建設・土木業界と同じく、人材不足等の課題を抱える海運、林業、除雪、農業、港湾等の他業界のDX促進へと広げていく予定だとしている。すでに、海運業界ではOCSの知見を生かした船舶シミュレーターのリリースが予定されている。