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IP BASE、「第4回IP BASE AWARD受賞者」を発表 3月3日15時より授賞式をLIVE配信

 特許庁が運営する知財コミュニティーポータルサイト「IP BASE」は2月27日、第4回IP BASE AWARD受賞者を発表した。

 第4回IP BASE AWARDでは応募総数55件の中から、以下のスタートアップ、知財専門家及び団体がグランプリ、奨励賞に選出した。3月3日15時より、各社を表彰する「第4回IP BASE AWARD」各部門の授賞式を行なう特別セッション「IPナレッジカンファレンス for Startup 2023」(「JAPAN INNOVATION DAY 2023」同時開催)をLIVEにて配信する。

第4回「IP BASE AWARD」グランプリ受賞者

【スタートアップ部門】
 Heartseed株式会社

【知財専門家部門】
 馰谷剛志氏

第4回「IP BASE AWARD」奨励賞受賞者

【スタートアップ部門】
 カバー株式会社
 株式会社ソラコム
 booost technologies株式会社

【知財専門家部門】
 内田誠氏(iCraft法律事務所)
 島田淳司氏(株式会社東京大学エッジキャピタルパートナーズ(UTEC))

【エコシステム部門】
 HVC KYOTO(独立行政法人日本貿易振興機構・京都府・京都市・京都リサーチパーク株式会社)
 パテント・インテグレーション株式会社
 八木雅和氏(日本バイオデザイン学会/大阪大学)

受賞理由

【スタートアップ部門】
<グランプリ>
Heartseed株式会社

 再生医療研究のトップランナーである慶應義塾大学循環器内科福田教授の心筋再生医療に関する長年の研究成果を産業化することを目指して2015年に設立。「再生医療で心臓病治療の扉を開く」をミッションに掲げ、iPS細胞から心臓の細胞を作製して心臓組織に移植する独自技術を生み出すバイオ系スタートアップ。

受賞理由:
 バイオ系大学発スタートアップとして、知財の市場価値は事業と連動するものであるという考えの下に社会実装を目指し、ライセンス活動を広く行なったことが高く評価された。特に、遺伝子・細胞治療分野で国内初となる国際的な大手製薬企業ノボ ノルディスク社との大型ライセンス契約締結は、他のバイオスタートアップの模範となるような事例となっている。

<奨励賞>
カバー株式会社

 自社で開発したアプリ「hololive」を用いた、VTuberプロダクション「hololive production」を運営しており、所属VTuberによるライブストリーミング、メディアミックス、グッズ販売、楽曲配信、AR・VRライブの開催などを行なっている。

受賞理由:
 模倣品対策として精力的に権利保護に取り組んでいるとともに、模倣品に対し著作権や商標権を根拠にした通報も行なっており、特許に限らず知財権全般を有効に活用している事例として評価された。

株式会社ソラコム

 IoTを実現するために必要となるIoTデバイスや通信、アプリケーションなどを、ワンストップで提供するIoTプラットフォーム「SORACOM」を提供する。世界160を超える国・地域で利用でき、あらゆる産業に活用されている。

受賞理由:
 エンジニア出身の創業者兼取締役を委員長とした発明考案委員会を創設してビジネス部門・開発部門・知財部門が連携し、経営に資する知財権の取得を進めている。知財戦略・知財ポートフォリオ・社内体制等が、多くのICT系スタートアップの模範になりうると評価された。

booost technologies株式会社

 NET-ZERO/ESGを牽引する企業のTechnologyパートナーとして、サステナビリティー経営の加速を支援。CO2排出量の可視化・管理・オフセット・報告や、CO2フリー電力の調達・供給、ESG開示項目の網羅的な収集・可視化・管理等を行なうプラットフォームを各種提供。

受賞理由:
 秘匿化及び権利化によって他社からの参入障壁を築き、新規顧客の獲得や資金調達に繋げているとともに、積極的な海外戦略も強化している。知財ポートフォリオ構築のみではなく、具体的にその活用を通じた事業貢献ができている点が評価された。

【知財専門家部門】
<グランプリ>
馰谷剛志氏 弁理士 神戸大学客員教授

 バイオ・化学・医薬・複合ITの専門家として、侵害訴訟、無効異議事件、知財デューデリジェンスなどの幅広い知財活用権を有し、日本を含む世界各国での権利化、戦略立案を行なう。近年は客員教授を務める神戸大等、数多くの大学にて知財及びアントレナーシップの啓発活動も積極的に行ない、多数の知財周辺コミュニティーで積極的に活動や情報発信を展開する。

受賞理由:
 多数の支援実績に加えて、高い専門性によってバイオ分野におけるスタートアップの企業価値の向上に貢献した。特に、数十億円規模のディールに成功した事例や、大型のバイオテクノロジーの基本技術に関わる案件等で成功裏に導いた。さらに海外を相手にした案件でのサポート実績、また大学との積極的な橋渡し等、公益性の高い活動も高く評価された。

<奨励賞>
内田誠氏 iCraft 法律事務所 弁護士 弁理士

 弁護士・弁理士両方の資格を持ち、契約についての知識・経験も豊富であることから、出願戦略と契約戦略の双方の視点で多数のスタートアップを支援している。量子コンピュータ、宇宙、Web3、AIなど先端領域、データ・プラットフォーム構築、個人情報保護法等にも精通。

受賞理由:
 理系出身のバックグラウンドを活かし、契約面での弁護士の立場と、出願・権利化実務などの弁理士の立場の両輪で、スタートアップ支援を行なっていることが評価された。理系弁護士としてのこのような活動は、日本の技術系スタートアップの成長にとっても強く望まれる。

島田淳司氏 株式会社東京大学エッジキャピタルパートナーズ(UTEC) プリンシパル 弁理士

 2018年UTECに参画。弁理士の知見を活かし、知財を評価できる希少なキャピタリストとして投資活動に従事して、投資先の経営戦略、事業開発、知財戦略をリード。

受賞理由:
 知財の知見を駆使したコンサルティングを実施しており、知財分析に基づいた事業開発、事業提携の締結に貢献し、知財と投資の両専門家として新たな地平を築こうとしている点が評価された。

【エコシステム部門】
<奨励賞>
HVC KYOTO(独立行政法人日本貿易振興機構・京都府・京都市・京都リサーチパーク株式会社)

 日本貿易振興機構・京都府・京都市・京都リサーチパークが、京都大学等の協力を得て2016年より実施する、日本最大級のヘルスケア分野特化型の完全英語ピッチイベントを中心としたプログラム。研究者・スタートアップがグローバル市場に挑む第一歩となっている。

受賞理由:
 ピッチイベントが大学等の知財移転へ貢献している点や、プログラム全体において知財法務の専門家が公式にメンターとなっている点が評価された。

パテント・インテグレーション株式会社

 安価なSaaS型の特許検索、特許分析サービス「パテント・インテグレーション」を提供。日米欧主要国特許を検索できるとともに、グラフ作成、自然言語処理に基づく可視化・俯瞰機能を備えており、技術系スタートアップ等で活用されている。

受賞理由:
 知財調査ツールを安価に提供し、スタートアップにとっても知財情報を利用しやすくした点が評価された。

八木雅和氏 日本バイオデザイン学会 大阪大学

 医療機器イノベーション人材育成プログラムを主導して開発し、立ち上げた。起業事例(うち1社は買収)を早期から生み出すとともに、日本において企業、地方自治体、大学などの組織と連携して、産学医分野の2000名以上へのプログラム提供に貢献した。

受賞理由:
 CEO人材が不足する中、早期からの出口戦略検討の観点から知財を中核の一つとして捉えたニーズ発開発アプローチに関する人材育成プログラムを開発し、メドテック分野のイノベーション推進人材を育成してきた点が評価された。

第4回「IP BASE AWARD」選考委員

委員長:
 鮫島正洋氏(弁護士法人内田・鮫島法律事務所 代表パートナー弁護士・弁理士)

委員:
 加藤 由紀子氏(SBIインベストメント株式会社 執行役員 CVC事業部長)
 藤木実氏(株式会社IP Bridge 代表取締役)
 丹羽匡孝氏(シグマ国際特許事務所 パートナー弁理士)
 高宮慎一氏(グロービス・キャピタル・パートナーズ株式会社 代表パートナー)

鮫島正洋氏 弁護士法人内田・鮫島法律事務所 代表パートナー弁護士・弁理士
 東京工業大学金属工学科卒業。藤倉電線株式会社(現・株式会社ジクラ)にてエンジニア(電線材料の開発)、92年弁理士登録後、日本アイ・ビー・エム㈱にて知的財産業務を経て99年弁護士登録。2004年内田・鮫島法律事務所を設立、現在に至る。弁護士業に留まることなく、知財戦略、知財マネジメント、知財政策など多方面にかかる貢献に対して2012年知財功労賞受賞。オープンイノベーションに関連する複数の政府委員歴任、政策動向にも詳しい。
著書:「技術法務のススメ」(日本加除出版2014)〔共著〕、「知財戦略のススメ コモディティ化する時代に競争優位を築く」(日経BP2016)〔共著〕など。 「下町ロケット」に登場する神谷弁護士のモデル。

加藤由紀子氏 SBIインベストメント株式会社 執行役員 CVC事業部長
 SBIインベストメント株式会社にて18年にわたるベンチャーキャピタリスト経験を有する。 アイエヌジー証券会社投資銀行本部にてコーポレートファイナンス業務に従事後、2002年、SBIグループのバイオ・ヘルスケア専門VCバイオビジョンキャピタルの立ち上げに参画。2005年にSBIインベストメント株式会社に転籍後、投資部門にて国内外のベンチャー投資育成、経営支援等に携わる。2016年4月より、事業会社と共同で運営するコーポレート・ベンチャーキャピタルファンドの運用、オープンイノベーション支援に従事。 2015年日本版MIDAS LIST第1位。令和2年度 文部科学省 科学技術学術審議会専門。

藤木実氏 株式会社IP Bridge代表取締役
 
日本で実質最初、かつ唯一の知財ファンドの運営会社である株式会社IP Bridgeにおいて、代表取締役CEOとして、特許ライセンス事業、知財コンサルティング事業、スタートアップへの出資や知財活動を支援するイノベーション事業を指揮。IP Bridge入社前は、NECにて大規模な特許ライセンス契約や特許譲渡契約締結を通じて知財収益化を実現。また同社欧州知財拠点を創設し、現地にて、標準化・R&Dチームのための特許創出プラットフォームを構築、同社のグローバル知財ポートフォリオ強化に貢献。現在は、産業構造審議会知的財産分科会委員や、国立研究開発法人課題評価委員としても活動。2018年度から4年連続でIAM誌によるStrategy 300 Global Leadersに選出。

丹羽匡孝氏 シグマ国際特許事務所 パートナー弁理士
 知財業務と中小企業支援の豊富な経験を活かし、主にスタートアップや中小企業に対して、事業面に踏み込んで知財支援業務を提供。経営コンサルティングの手法と知財コンサルティング手法を融合させ、知財の保護と活用を図って経営改善につなげる知財経営コンサルティングを得意としており、知財リスク対策、知財活用、知財戦略・研究開発戦略の立案の支援などの実績が多数。利益を生み出す源泉を知財と捉えて支援を行なうので、サービス業を含む幅広い業種に対応している。

高宮慎一氏 グロービス・キャピタル・パートナーズ株式会社 代表パートナー
 グロービス・キャピタル・パートナーズ(GCP)ではデジタルおよびヘルスケア領域の投資を担当。投資先に対して社外役員として参画し、ハンズオンでの戦略策定、経営の仕組化、組織造り、国内外の事業開発を支援。Forbes Japan’s Midas List 日本で最も影響力のあるベンチャー投資家ランキング 2018年1位、2015年7位、2020年10位。戦略コンサルティングファーム アーサー・D・リトルを経てGCPに参画。東京大学経済学部卒(卒論特選論文受賞)、ハーバード大学経営大学院MBA(二年次優秀賞)。

実績/支援先:実績には、IPOにアイスタイル、オークファン、カヤック、ピクスタ、メルカリ、ランサーズ、M&Aにしまうまプリントシステム(CCCグループ入り)、ナナピ(KDDIグループ入り)、クービック(heyグループ入り)などがある。現在支援先には、タイマーズ、ミラティブ、ファストドクター、グラシア、アル、MyDearest、アルプ、スマートバンクなどがある。Twitter:@s1kun

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