メルマガはこちらから

PAGE
TOP

渋谷、横浜など5都市が「スタートアップ育成5か年計画」の展望を語る

YOXO FESTIVAL2023「スタートアップ・エコシステム拠点都市トークイベント」

1 2 3

グローバル拠点都市の担当者によるトークセッション

 ここからはトークセッション。司会進行は石井氏が務めた。まずは「5か年計画の発表を受け、国とどのような連携を進めていきたいか?」が問われた。

各自治体担当者は足腰の負担なく長時間の立ち仕事ができるアシストスーツ「アルケリス」を装着して登壇。横浜のスタートアップ企業の製品だ。

中屋氏(以下、敬称略):渋谷区は内閣府に国家戦略特区として規制緩和を提案しています。たとえばスタートアップビザで来日した外国人が入国して半年間、個人口座を開設できない問題があります。スタートアップビザにより1年間在留される方なので、入国してすぐに開設できるようにしてほしい。このような高度人材の呼び込みにつながる提案です。間口を広げることで、起業家や投資家が海外から来やすい環境を作っていきたいと考えています。

鷲見氏(以下、敬称略):名古屋は文科省に中高生の育成に関する取り組みの要望を続けていました。今回の5か年計画で、しっかりと取り組みを進めていただけることに感謝しています。我々も新たなステップとして、段階に応じて成長できるプログラムを考えているので、具体的な教育の効果も含めて文科省と一緒に議論を進めてまいります。資金面ではSBIR制度を積極的に活用していきたいと考えています。最後に、複業やオープンイノベーションの面では国が作った制度に対して、我々がしっかり実績を出して、よい事例を出していきたいと思っています。

武田氏(以下、敬称略):世界に伍するグローバル拠点都市ということで、海外の文脈はやっていくべきだと思っています。我々も500 Startupsとの取り組みや海外での実証実験のサポートなどをしていますので、ぜひ国にもご協力いただけたらと思います。また、関西万博が5か年計画の真ん中にあるので、国を挙げた実証の場とするために、ご支援いただければと思っています。

紫垣氏(以下、敬称略):まずはグローバルが重要だと思っています。若者には早い段階で海外へ出て、どんな分野で勝負したいのかを考えてもらいたいですね。また、5か年計画においては、資金援助や若手起業家の育成に注力していただけるとスタートアップが伸びていくと思います。オープンイノベーションについては、親の世代がスタートアップを知り、尊敬する文脈を作ることで、子どもの夢のひとつにスタートアップが入ってくると思います。

南野氏(以下、敬称略):横浜市の悩みは、そもそもグローバルを目指すスタートアップが少ないことです。最初からグローバルに戦うんだというマインドを養成したり、言語の壁を下げたりすることは自治体だけでは難しいと思うので、日本全体で取り組む流れを作っていただければありがたいです。人材育成に関しては横浜市の教育委員会も理解が深く、小中学生の起業家教育に力を入れていただいていますので、ぜひ国とも連携できればと思います。

――今後、注力したいポイントは?

中屋:渋谷区はweb3.0に特化したいと思っています。盛り上がってきている反面、厳しい税制が原因で海外に優秀な人材が流出している問題もあります。徐々に環境を整えつつ、web3.0の街としての認知を獲得し、流出した起業家を呼び戻したいと考えています。

鷲見:名古屋は人材育成に力を入れていきたいと思っています。少しずつ成果が出始めているので、上級コースを作ったり、名古屋大学と連携したりすることで、充実したプログラムを作っていきたいですね。また、社会実証ではディープテック関連の成果が出ているので、社会実装に繋げるための取り組みも進めたいと思っています。

武田:我々は「Life-Tech KOBE」というブランディングを掲げています。ライフサイエンスや生活周りのスタートアップを強みにしていきたいです。また、日本全体で盛り上がるために、首都圏だけでなく、ぜひ地方スタートアップにも投資してほしいと思います。神戸としても投資したいと思われるスタートアップをどんどん作っていきたいです。

紫垣:福岡市は裾野が広がってきた分、高さを出していこうと思っています。たとえば知名度の向上やスタートアップの成長、グローバル化などです。そのためには、いろいろなことにチャレンジする人を等しく応援するという、福岡市の取り組みの根幹にある部分を継続することが重要だと考えています。

南野:来年度の柱である子育てしやすいまちづくりに貢献するスタートアップや、横浜市の強みであるモビリティー分野に特化して支援をしていきます。また、ダイバーシティーへの取り組みとして、今回の登壇者も男性が大半なので、女性起業家の支援に継続して取り組みます。

――ぜひオーディエンスのみなさんには興味を抱いたら実際に足を運んだり、触れたりしてほしいと思います。もちろん国を挙げた支援もしていきますので、スタートアップ・エコシステムを盛り上げていきましょう。

■関連サイト

「ASCII STARTUPウィークリーレビュー」配信のご案内

ASCII STARTUPでは、「ASCII STARTUPウィークリーレビュー」と題したメールマガジンにて、国内最先端のスタートアップ情報、イベントレポート、関連するエコシステム識者などの取材成果を毎週月曜に配信しています。興味がある方は、以下の登録フォームボタンをクリックいただき、メールアドレスの設定をお願いいたします。

1 2 3

合わせて読みたい編集者オススメ記事