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渋谷、横浜など5都市が「スタートアップ育成5か年計画」の展望を語る

YOXO FESTIVAL2023「スタートアップ・エコシステム拠点都市トークイベント」

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バイオ分野のイノベーションと若手起業家の育成に注力
大阪・京都・ひょうご神戸コンソーシアム

神戸市医療・新産業本部新産業課 武田卓 課長

 京阪神の特徴はバイオ領域と若手起業家のサポートだ。バイオ領域はグローバルバイオコミュニティの形成を目指す「BiocK(バイイオック)」が先導する。京都大学、大阪大学、神戸大学などの国立大学やiPS細胞研究所や国立循環器センターなど、医療産業都市の強みが発揮されている。また、1998年から日本最大級のバイオメディアカルクラスターを形成するプロジェクト「神戸医療産業都市」が、20年以上にわたりアップデートされ続けている。ポートアイランドという人工島に1500床超えの病院を集積。理化学研究所をはじめとする研究機関やスーパーコンピューター「富岳」など国の機関も招き、スタートアップ70社を含む360社以上の企業が医療分野でイノベーションを起こし、テクノロジーとサイエンスによるまちづくりを進めている。

 若手起業家の育成として、起業家を目指す若者やエンジニアなどのコミュニティを、神戸市のエコシステムに埋め込む施策を実施している。500 StartupsやUNOPSとの連携やアーバンイノベーション神戸などの取り組みにより、起業家の母数が増加。さらに関西全域の大学でピッチコンテストを開催し、切磋琢磨する機会を提供することで起業家のレベルを向上させている。また、渋谷区と連携し、双方の都市の特性を生かしたスタートアップの実証実験も実施している。

10年以上のスタートアップ支援とエンジニアフレンドリーシティ
福岡コンソーシアム

福岡市経済観光文化局創業・立地推進部創業支援課 紫垣和宏 課長

 福岡市の主な取り組みは、10年以上にわたるスタートアップ都市宣言下の取り組みとエンジニアフレンドリーシティの推進だ。2012年にスタートアップ都市宣言をして以来、市の基本政策としてスタートアップ支援に取り込み続けている。2014年には、国家戦略特区に指定され、規制緩和やスタートアップのグローバル展開に取り組む。2017年にはスタートアップ支援のリソースを1か所に集約すべく、天神の中心に旧大名小学校をリノベーションした創業支援施設「福岡グロースネクスト(FGN)」を設立。現在190社が入居し、銀行や地元の大手企業がスポンサーを務める。資金調達の実績も70社250億円と右肩上がりだ。こうした成果が認められ2022年に、グローバル拠点都市に選定された。

 福岡市の主な取り組みの2つ目はエンジニアフレンドリーシティとしての成長だ。スタートアップの声を聞く中で、エンジニアが欠かせないという意見が多数寄せられた。FGNと同じ天神エリアに「エンジニアカフェ」を官民一体で設立。エンジニアファーストで、エンジニアがより先鋭的なチャレンジをしたりスキルを向上させたりできる環境が提供されている。さらに、今後ディープテック分野へ注力する方針で、補助制度を拡充している。

行政主導のスタートアップ支援とグローバル化の取り組み
イノベーション都市・横浜

横浜市経済局新産業創造課 南野ショナー 担当係長

 横浜市のみなとみらいエリアは、京セラや三菱重工、3Mなど、グローバル企業の本社や研究開発拠点集中している。みなとみらいの隣には開港の地である関内エリアがあり、横浜市のスタートアップ支援拠点「YOXO BOX(よくぞボックス)」を中心に、スタートアップカルチャーの集積を図る。横浜市の特徴的な取り組みは行政主導のスタートアップ支援とグローバル化だ。

 行政主導のスタートアップ支援として、横浜市は成長ステージに応じたスタートアップ支援プログラムを提供している。新たに起業を目指す人向けのイノベーションスクールやアクセラレータプログラム、既に企業している人を対象としたベンチャーピッチやマネジメントプログラムなどである。常に相談窓口を開放し、人材を繋ぐコミュニティ運営にも注力している。2022年3月には産学公民連携でイノベーション創出を推進する「ヨコハマ未来機構」を設立。会員はスタートアップや大企業、大学など教育機関など90以上の組織から参加している。横浜市も特別会員として参加し、多様な交流のもとにオープンイノベーションを促進している。今回のYOXOフェスティバルの運営もヨコハマ未来機構だ。

 2つめの特徴はグローバル化だ。2022年にはドイツのモビリティー関連のコミュニティーやヨーロッパの大使館が実施しているピッチイベントなどと連携し、海外のスタートアップ関係者と横浜の起業家が交流するマッチングイベントを開催した。2023年1月20日には「横浜市中期計画2022~2025」が発表され、重点施策の一つとしてスタートアップの創出やイノベーションの推進が掲げられ、市全体でスタートアップの発展に取り組む方針が打ち出された。

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