一般人向けではないが面白い。今後の成熟に期待
結論として、これで仕事するというのは今日の段階では無理があるなという印象です。特にソフト面の不足が顕著に感じられました。ARやMRを中心に、新しい機能が入ってるんだけど、機能を使うための要素を揃える前にリリース日を迎えてしまったのかなという印象を受けました。
今はそういう不足を含めて楽しめるような覚悟がある人じゃないと買えないなという感じです。同じような20万前後の価格帯の仕事用のマシンとしてMacBook Airとどっちを買いますかと言われたら、そりゃMacBook Airだよなあと。
メタにとって難しいのは、これまでウェブサービスしかやってこなかった企業だということですよね。Office 365やGoogle Suiteのようなビジネスツールを作ってきたわけではないので、仕事に使おうとするとそこがネックになる。文書を作ろうとしてGoogleドキュメントを開いたら「これは標準ドライバーではありません」とアラートが出てしまい、グーグルとちゃんと話し合いがなされているわけでもないんだなと思えました。
今後はマイクロソフトが「Office 365」のQuest対応をすることが基調講演で明らかにされましたが、そのあたりが整ってこないとまだまだ本格的に仕事に使えるとは言えないようにも思えます。
一方、値段さえ目をつむれば、ハードとして非常に魅力的なんですよ。ソフトウェアの成熟によってはまだまだ伸びしろがあるなと思います。
特にARは可能性がありそうなんですよね。すでにQuest ProのAR機能を使い、キャラクターが野外でコンサートをしているようなデモを試している人もいました。こうした例を見ると非常にカラーパススルーの魅力を感じますし、こうしたテクノロジーを追いたい人にとってはとてもいいハードだと思います。今後も継続的に使われていろんな人がいろんなものを作り始めると思うので、そこの成熟は追っていきたいですね。現段階ではまだ普及とまではいかず、普及するのは早くとも来年発表とされる「Quest 3」以降になるかと思いますが、現状でメタのビジョンが最もよくわかるハードではないかなと思います。
この連載の記事
-
第85回
AI
誰でもVTuber時代へ フェイシャルAI技術、続々登場 -
第84回
AI
画像生成AI「Stable Diffusion 3.5」性能はものたりないが、自由度が高いのは魅力 -
第83回
AI
リアルすぎてキモい 動画AIの進化が止まらない -
第82回
AI
もはや実写と間違えるレベル 動画生成AI「Runway」の進化がすごい -
第81回
AI
AIイラスト、こうしてゲームに使っています -
第80回
AI
ゲーム開発はAI活用が当たり前になりつつあるが、面白さを作り出すのは人間の仕事 -
第79回
AI
AIが考える“アイドル”がリアルすぎた グーグル「Imagen 3」なぜ高品質? -
第78回
AI
話題の画像生成AI「FLUX.1」 人気サービス「Midjourney」との違いは -
第77回
AI
画像生成AI「FLUX.1」が相当ヤバい LoRAで画風の再現も簡単に -
第76回
AI
「Stable Diffusion」の失敗に学び、画像生成AIの勢力図を塗り変える「FLUX.1」 -
第75回
AI
商業漫画にAIが使われるようになってきた - この連載の一覧へ