mocopi
発売日 2023年1月下旬
想定実売価格 4万9500円
ソニー
https://www.sony.jp/mocopi/
ソニーが11月29日、モバイルモーションキャプチャー「mocopi」を発表しました。6個の小さなデバイスを体につけるだけでモーションのフルトラッキング(フルトラ)ができるというものです。「VRChat」などでフルトラッキング環境を手軽に持ちたいというニーズに合わせた製品ですね。価格も4万9500円と手頃で話題になりました。
デモを見る限り、まだ遅延の問題は少しはありそうですが、それでも圧倒的な手軽さは既存製品のなかでも目立つ存在です。これまでの製品はPC向けを前提としていましたが、mocopiはスマホで体の各部位につけたトラッキングセンサーからのモーションデータを受信します。その情報をPCにさらに転送するというやり方をしていますが、これはスマホに搭載されているAIの計算機能を利用するところが大きいようですね。
フルトラといえばVIVEトラッカーだった
これまでフルトラと言えば「VIVEトラッカー」が代表的な存在でした。ただし1個あたり1万7500円で、体の部分に合わせて5個、8個と買っていくとすぐ10万円を超えてしまう価格でした。加えて、動作に必要なValveのトラッキングシステム「Lighthouse」の設定が面倒だったんですね。VRをつけたまま動き回れるだけの一定の広い空間を確保する必要があり、すべてのトラッカーを的確に同期させる必要があるなど、使用する上での技術的ハードルはなかなか高いものでした。
そもそもLighthouseのセンサーは大量に利用されることをあまり想定していませんでした。それでもVIVEトラッカーが大きく注目されるようになったのは、日本でのVTuberが大きな影響を与えています。
VTuberは日本から登場した新しいアイドルの形で、専門的なモーションキャプチャーが必要なほど厳密にモーションデータを必要としませんでした。そのためVIVEトラッカーが日本だけで異常に売れるという状態が起きました。当時のHTCがVIVEトラッカーのアメリカ欧州での在庫を日本に重点的に回したというくらい売れたと言われています。
モーションキャプチャーの専用機材を用意するためには数百万円かかるというのが相場だったので、2017年にVIVEトラッカーが登場したとき、全部の機材を合わせても20~30万円あればVTuberができてしまうというインパクトはとても大きかったんです。

この連載の記事
- 第17回 「AIトレパク」が問題に
- 第16回 ゲームそのもののあり方を変えてしまった「Steam Deck」
- 第15回 来場者100万人 世界最大級のメタバース即売会「バーチャルマーケット」
- 第13回 画像生成AIの激変は序の口に過ぎない
- 第12回 追いつめられたザッカーバーグ 年末商戦に生き残りかかる
- 第11回 メタ「Quest Pro」一般人にはおすすめできないが、可能性は感じる
- 第11回 メタバース的な未来を感じる「Wooorld」が面白い
- 第10回 ザッカーバーグの焦りを感じる「アバター問題」ふたたび
- 第9回 メタ「Quest Pro」仕事に使えるかは疑問だが、とりあえず予約した
- 第8回 今年最大のヒット作? VRゲーム「BONELAB」
- この連載の一覧へ