課題はソフト。仕事できる環境なし
一方、課題に感じたのはソフトです。成熟していないというか、準備しきれていない。「for work」と言うほど、仕事ができる環境は用意されていないと感じました。
たとえばパソコンを買ったら、起動すれば普通にウェブブラウジングができて、アプリを使えますよね。けど、Quest Proを買ったらまず手の動きなどを自分で設定しないといけないんです。チュートリアルのようなものもなく、初めて買った人は意味がわからないだろうなと。
Quest 2に比べればアイトラッキングやフェイストラッキングなどのオプションは色々追加されてるんですが、すべてオプトアウトなんですね。私自身、現時点でマルチディスプレーの設定さえできていないんです。探せばどこかに情報があるのかもしれないんですけど、見当たらない……。
そして、これで仕事すると言っても、どうやってメーラーやテキストエディターをインストールすればいいのか、あるいは最初から入っているのかもわからない。結局ウィンドウを開いてウェブブラウザーで作業しているんですが、Quest用の標準ブラウザーの画面は狭いんですよ。
対応しているキーボードもまだ少ない。現在はアップルかロジテックのキーボード以外はダメっぽいんです。まあQuest 2がそうだから同じだろうなとは思っていたんですが。普段使っているマイクロソフトのワイヤレスキーボードも動きませんでした。Surfaceは動くというんですが、そのためにわざわざ買うのもなあという感じです。
手持ちのものでは、PCの画面をQuestに映せる「Virtual Desktop」というアプリは普通にQuest Proでも表示することができました。
ただ、現時点でQuest Proは4K表示やマルチディスプレー表示には対応していません。メタのプレゼンではPCを使ったマルチディスプレー使用例として「Immersed」というアプリが紹介されていましたが、インストールがうまくいかず、現時点で私の環境では表示に成功しませんでした。Quest Pro単体で様々なアプリケーションを同時に使えるような環境は登場していないように見えます。
バッテリーの持ちは、発表があった通り2時間ぐらいという感覚です。45分くらい講演をした後にはつけっぱなしだったのですが、60%くらいは残っていました。ただ、ゲームの「BONELAB」をやったときには一気に表面が熱くなりました。やっぱりゲームは処理が重いんだろうなと思います。充電しながらプレイしたので、バッテリーの保ちは正確にはわかりませんでしたが、2時間より短いかもしれません。
処理速度については、あまり体感差はなかったという感覚です。ハンドトラッキングがQuest 2よりも速いように感じたのですが、極端に変わったと言うほどではありません。
新型コントローラーの動きは機敏になった印象です。コントローラー側にも専用チップを搭載した分、やはり性能が向上しているのでしょう。ストラップをつけるところにペン先もつけられるようになってるんですが、簡単に取り外しができるようになっていて、よく考えられたデザインだなと感じました。ストラップ部分をなくしてしまいそうで、その点は怖いんですけどね。
この連載の記事
-
第62回
AI
動画生成AI、映像制作の“民主化”目指して研究進む -
第61回
AI
画像生成AI“児童ポルノ”学習問題、日本では表現規制の議論にも -
第60回
AI
3Dアニメーション技術の革新が止まらない -
第59回
AI
政府、生成AI推進に向けて議論を加速 -
第58回
AI
画像生成AIで同じキャラクターが簡単に作れるようになってきた -
第57回
AI
日本発のリアルタイム画像生成AIサービスが熱い 大手にとっては“イノベーションのジレンマ”に -
第56回
AI
画像生成AIの著作権問題、文化庁議論で争点はっきり -
第55回
AI
動画生成AIの常識を破壊した OpenAI「Sora」の衝撃 -
第54回
AI
画像生成AI、安いPCでも高速に 衝撃の「Stable Diffusion WebUI Forge」 -
第53回
AI
日本発の画像生成AIサービスがすごい 無料アップスケーラー「カクダイV1」 -
第52回
AI
美少女イラスト、AI技術で立体化 ポケットサイズの裸眼立体視ディスプレーが人気に - この連載の一覧へ