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新清士の「メタバース・プレゼンス」 第11回

メタ「Quest Pro」一般人にはおすすめできないが、可能性は感じる

2022年11月03日 16時00分更新

文● 新清士 編集● ASCII

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課題はソフト。仕事できる環境なし

 一方、課題に感じたのはソフトです。成熟していないというか、準備しきれていない。「for work」と言うほど、仕事ができる環境は用意されていないと感じました。

 たとえばパソコンを買ったら、起動すれば普通にウェブブラウジングができて、アプリを使えますよね。けど、Quest Proを買ったらまず手の動きなどを自分で設定しないといけないんです。チュートリアルのようなものもなく、初めて買った人は意味がわからないだろうなと。

 Quest 2に比べればアイトラッキングやフェイストラッキングなどのオプションは色々追加されてるんですが、すべてオプトアウトなんですね。私自身、現時点でマルチディスプレーの設定さえできていないんです。探せばどこかに情報があるのかもしれないんですけど、見当たらない……。

最初の起動時には、アイトラッキングの機能などはオフになっている

 そして、これで仕事すると言っても、どうやってメーラーやテキストエディターをインストールすればいいのか、あるいは最初から入っているのかもわからない。結局ウィンドウを開いてウェブブラウザーで作業しているんですが、Quest用の標準ブラウザーの画面は狭いんですよ。

Metaの標準ブラウザで、Googleドキュメントを表示している状態。非常に狭い。また、MR画像を出しているのだが、スクリーンショットを撮影しても現状はMR部分は真っ黒になってしまう。

 対応しているキーボードもまだ少ない。現在はアップルかロジテックのキーボード以外はダメっぽいんです。まあQuest 2がそうだから同じだろうなとは思っていたんですが。普段使っているマイクロソフトのワイヤレスキーボードも動きませんでした。Surfaceは動くというんですが、そのためにわざわざ買うのもなあという感じです。

 手持ちのものでは、PCの画面をQuestに映せる「Virtual Desktop」というアプリは普通にQuest Proでも表示することができました。

Virtual Desktopで表示した本稿を修正している画面。文字はくっきりとしており、読みやすくなっている

 ただ、現時点でQuest Proは4K表示やマルチディスプレー表示には対応していません。メタのプレゼンではPCを使ったマルチディスプレー使用例として「Immersed」というアプリが紹介されていましたが、インストールがうまくいかず、現時点で私の環境では表示に成功しませんでした。Quest Pro単体で様々なアプリケーションを同時に使えるような環境は登場していないように見えます。

 バッテリーの持ちは、発表があった通り2時間ぐらいという感覚です。45分くらい講演をした後にはつけっぱなしだったのですが、60%くらいは残っていました。ただ、ゲームの「BONELAB」をやったときには一気に表面が熱くなりました。やっぱりゲームは処理が重いんだろうなと思います。充電しながらプレイしたので、バッテリーの保ちは正確にはわかりませんでしたが、2時間より短いかもしれません。

 処理速度については、あまり体感差はなかったという感覚です。ハンドトラッキングがQuest 2よりも速いように感じたのですが、極端に変わったと言うほどではありません。

 新型コントローラーの動きは機敏になった印象です。コントローラー側にも専用チップを搭載した分、やはり性能が向上しているのでしょう。ストラップをつけるところにペン先もつけられるようになってるんですが、簡単に取り外しができるようになっていて、よく考えられたデザインだなと感じました。ストラップ部分をなくしてしまいそうで、その点は怖いんですけどね。

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