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石川温のPCスマホニュース解説 第149回

是が非でも楽天にプラチナバンドを渡したい総務省

2022年10月31日 09時00分更新

文● 石川温

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矢澤社長「絶対勝てるのでは」

 楽天モバイルと3キャリアの議論は平行線をたどったままだ。しかし、総務省としてはそろそろ決着させようと目論んでいるようだ。

 当初、3キャリアから周波数帯を返還させ、楽天モバイルに新たに割り当てるのに楽天モバイルは「1年でできる」と主張していたのに対して、3キャリアは「7年から10年はかかる」と反論していた。

 この件に対しても、楽天モバイルが「この場所から工事したい」という計画を公表し、それに応じて3キャリアが対応するという、1年ごとにエリアを限定して工事を進めることになりそうだ。そうすることで楽天モバイルは早期にプラチナバンドのエリアを開始しつつ、10年かけて全国に展開することが可能となる。

 楽天モバイルがここまで強気に出ているのはなぜなのか。

 矢澤社長は「競願はこれから出すことになるが、絶対に勝てるのではないか」と胸を張る。楽天モバイルと3キャリアで「どちらが電波を有効活用できるか」という視点で、審査されるのだが、3キャリアがすでに計画を実行しているのに対して、楽天モバイルはその計画値を見た上で、それよりも上を行く計画を出すことが可能だ。つまり、かなり有利な「後出しジャンケン」ができるというわけだ。

 ただ、海外を俯瞰すると4キャリアあった国でも最近は合併が進むなどして3キャリアに減っているところも多い。日本も4キャリアから3キャリア体制に戻れば寡占市場となり、料金が値上げ方向に行く可能性もある。

 日本国内での競争環境を維持するという意味でも、総務省としては楽天モバイルに是が非でもプラチナバンドを渡したいのだろう。

 

筆者紹介――石川 温(いしかわ つつむ)

 スマホ/ケータイジャーナリスト。「日経TRENDY」の編集記者を経て、2003年にジャーナリストとして独立。ケータイ業界の動向を報じる記事を雑誌、ウェブなどに発表。『仕事の能率を上げる最強最速のスマホ&パソコン活用術』(朝日新聞)など、著書多数。

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