第回 アスキー編集部が「Backlog」で仕事を楽しくしてみた

Backlogの「課題一覧」「ガントチャート」「ボード」を使って業務負荷を平準化しよう

「人手が足りない」は本当? チーム内でのタスク分担をうまくやる方法

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

提供: ヌーラボ

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メンバー全員に「納得感のある」業務タスクの割り当てとは?

 皆さまこんにちは。アスキー編集部で働く、編集者の大塚と申します。少し前からBacklogを使った仕事のプロジェクト・タスク管理に挑戦しております(連載:アスキー編集部が「Backlog」で仕事を楽しくしてみた)

 さて、とある業務プロジェクトのリーダーを務める筆者は、今回もプロジェクト管理がうまくいかず、悩んでおります。その悩みとは「納得感のある業務タスクの割り当ては、どうするのが正解?」というものです。

 チームでプロジェクトを進める中では、さまざまなタスクが発生します。あらかじめ決めた担当分野内のタスクであれば、それぞれのメンバーに割り当てれば済みます。しかし、それに当てはまらないようなタスクの場合は、リーダーが中心となって新たに担当を割り当てないといけません。

 また、すでに誰かが担当しているタスクの割り当て直しが必要になることもあります。たとえば「担当者に業務負荷が集中していて、タスク全体の進捗が遅れている」「担当者の急病などで、誰かが代わりに担当する必要がある」といったケースです。

 しかし、各メンバーはすでにほかにもタスクを抱えているわけで、そこにタスクが追加されるとなると、正直、あまりいい顔はされないことが多いでしょう。リーダーは、相手の顔色をうかがいながら、「このタスク、お願いできないですかね……?」と恐る恐る依頼することになります。

 その結果、リーダーが頼みやすい人、頼んでもあまり嫌な顔をしない人にばかりタスクをお願いすることになり、「業務負荷の集中」が発生してしまいます。

 誰か1人に業務が集中すれば、その人のタスク全体の進捗が遅れてしまうリスクがあります。また、頼まれて嫌な顔はしなかった当人も、心の中では「なんで自分だけが……」と不満を感じているかもしれません。そのうち、みんなが嫌な顔をするようになってしまったら、プロジェクトのムードも最悪になってしまいます。

 こうした理由から、プロジェクトのリーダーはタスクの割り当てを「特定の人に偏らせず」「全員に納得感のあるかたちで」慎重に進める必要があります。

 ……と、理屈としてはそうなのですが、それって結構難題ですよね。実際どうすればいいのでしょう。Backlogを使って、この課題を解決する方法を考えてみました。

まず必要なのは「メンバーが抱える業務量の可視化」

 業務負荷をなるべく平準化しながらタスクの割り当てを進めるために、まず必要なことは「各プロジェクトメンバーが抱えているタスク(業務量)の可視化」でしょう。タスクを割り当てる役目のリーダーはもちろん、メンバー全員からもお互いの業務量が見えれば、タスク割り当ての透明性=納得感につながります。

 これをBacklogで実現するために、各メンバーにはまず、自分が抱えるすべてのタスク(課題)を登録してもらいます。こうすれば、課題の一覧ページで担当者(メンバー)別に絞り込み表示を行うことで、現在の業務量をごく大まかに可視化できます。

課題の一覧ページ。各メンバーの業務量(担当するタスクの数)が大まかに分かる

 ただし、課題の一覧で見えるのは各メンバーが抱える「タスクの数」であり、それぞれのタスクの作業スケジュールが直感的には分かりません。

 たとえば、抱えているタスク数が少ないメンバーでも、作業予定が短期間に集中していて手が回らないかもしれません。その反対に、多数のタスクを抱えてはいるものの、締め切り日(期限日)までには時間の余裕があるメンバーもいるはずです。したがって、新たなタスクを割り当てる際には、メンバーのスケジュール的な余裕も加味する必要があります。

 ……うーん、だんだん複雑になってきたぞ。これだけでは、納得感のある業務タスクの割り当ては難しそうです。

ガントチャートで「タスクの実行スケジュール」を見る

 そこで、次に各メンバーにお願いするのが「課題登録時の『開始日』と『期限日』の入力」、つまり各タスクの実施予定スケジュールの登録です。

 スケジュールを入力したタスクは、ガントチャートに横棒グラフの形で「いつから/いつまで実行する予定か」が表示されます。これにより、各メンバーがある特定の週や日に、いくつのタスク実行予定を抱えているのかが、直感的に分かります。新たなタスクを追加したい期間に、スケジュールの余裕がある人を見つけやすくなるわけですね。

■関連記事:混乱しがちな複数タスクの同時進行も、Backlogならばこう管理できる

ガントチャートで各メンバーのタスク実行予定を可視化。スケジュールの空きから、新たなタスク割り当てが可能そうなメンバーを探す

 このように、ガントチャートで「特定期間にタスク実行予定があるか、空いているか」を可視化するためには、チーム内で課題の開始日/期限日の入力ルールを決める必要があります。

 まずは開始日です。一般的には「タスクが割り当てられた日」をそのまま開始日に入力するケースも多いと思います。しかし今回の場合、ガントチャートで「スケジュールの空き状況」を可視化したいので、実際の実行予定日が少し先だったりすると、それが分かりにくくなります。大まかな予定でよいので、開始日には「実際にタスク実行を開始する日」を入力してもらいましょう。もちろんこのとき、タスク完了までに何時間/何日かかりそうかも想定して、開始日は期限日に間に合うように設定します ※注

※注:Backlogの課題には「予定時間」という入力項目もあります。ここに大まかな総所要時間を書き込んでおくと、スケジューリングやタスク割り当ての参考になります。

 一方で「期限日」の設定は、通常あまり迷うことはないでしょう。ただし「期限日」だけを入力すると、ガントチャートの棒グラフが横に伸びない(期限日だけに印が付く)ので、これも今回の用途では役に立ちません。必ず「開始日」とセットで入力するよう、ルールを作りましょう。

課題登録の際は、必ず開始日と期限日を入力するルールにする

 1つのタスクを、複数人が順に担当するようなケースもあります。たとえば「今週はAさんが作業を進め、来週からBさんが担当を引き継ぐ」といったタスクです。この場合、Aさん、Bさんがそれぞれ担当するタスクを子課題として作成し、それぞれに「開始日」「期限日」のスケジュールを登録してもらいます。そのうえで、それらを1つの親課題にまとめると、ガントチャート上での見通しが良くなるでしょう。

■関連記事:Backlogの「プロジェクト」と「課題」、どう切り分けるのが正解なの?

判断基準とルールを明確にすることで「納得感」が高まる

 ここまで説明してきたルールにのっとって各メンバーが課題を登録すれば、「タスク(課題)の件数」「実施予定スケジュール」がBacklog上で可視化されます。リーダーは、課題の一覧とガントチャートを参照しながら、新たなタスクをどのメンバーに割り当てるべきかを検討します。

 もうひとつ、課題の「状態」も判断の要素に加えましょう。たとえば、すぐに実行が必要な新規タスクを割り当てる際、「処理中」の課題を多数抱えているメンバーは避けたほうがよいでしょう。なお、課題の状態を直感的に見るには、「ボード」(カンバンボード)の画面が活用できます。

 リーダーによるタスク割り当ての判断をよりシンプルにし、なおかつ公平性や透明性も担保するために、あらかじめ判断基準(ルール)を決めて、Backlogの「ドキュメント機能」で全員に周知しておくのもよいと思います。

 たとえば以下のようなルールを設定することが考えられます。これらはあくまで一例なので、皆さんの業務の実情に合わせて設定し、運用しながら調整してください。

■タスク割り当てのルール(例):
・リーダーがBacklogだけを見てタスク割り当ての判断ができるように、メンバーは必ずすべてのタスク(課題)を登録する。
・ガントチャート上で、その日/週の予定タスクが4つ以上重なっている場合は、新規のタスク割り当ては行わない。
・「進行中」の課題が4つ以上あるメンバーには、すぐに実行が必要なタスクの割り当ては行わない。
・週次のプロジェクト会議では、メンバー全員でBacklogを見ながら進捗を確認する時間を設け、必要に応じて担当者の移管などの調整を行う。

 ルール決めのポイントは、「『抱えるタスクが多すぎる』と思ったらリーダーに相談しよう」などと各メンバーの主観に基づいて判断させることなく、数値などで客観的に判断できるようにすることです。そうすることで、消極的な性格のメンバーがなかなか相談できずタスク処理が遅延する、といった事態も防げるはずです。

 また、タスクの割り当てはリーダーが行いますが、割り当てられたタスクを予定どおりに実行していくのは各メンバーの役割です。すべてをリーダー任せにするのではなく、「担当するタスクの実行責任は自分にある」と考えて、スケジュールどおりに実行できるよう調整しましょう。メンバー全員が、それぞれの担当領域でリーダーシップを発揮すれば、リーダーの負担も軽減されますし、より強固なチームワークが生まれると思います。

* * *

 Backlogに登録する内容が増え、定期的な進捗確認/報告も必要になるため、正直なところ、メンバーからは少し面倒に思われるかもしれません。リーダーは、これが業務負荷の平準化に必要な取り組みであることを、しっかりと各メンバーに伝え、理解してもらう必要があるでしょう。

 また実際にやってみると、初めのうちは作業予定(工数)の見積もりが甘く、スケジュールがずれてしまうことも多くあると思います。それでも、続けていくうちにそのずれは少なくなっていくはずですし、日々の業務量を「時間/工数」で考え、自らスケジュールを調整するという意識が、各メンバーに根付いていくことにつながります。

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