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アマゾンの「ルンバ」買収でスマートホーム市場での米当局の懸念増

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アマゾンのiRobot買収を阻止する動きも

 iRobotの買収が完了すれば、アマゾンのスマートホーム関連の取り組みが加速する公算は非常に大きい。

 しかし一方で、米国ではこの動きを懸念する声もあり、一筋縄ではいかない可能性も高まっている。

 2022年9月末の報道によると、米国民主党議員らは、アマゾンのiRobot買収がスマートホーム市場における競争を阻害する可能性があると指摘、また米連邦取引委員会に対しiRobot買収に対する調査を要請していることが明らかになった。

 この動きを率いているのは、民主党上院議員エリザベス・ウォーレン氏。さらに民主党下院議員4人を含めた計5人がアマゾンのiRobot買収に待ったをかけようとしている。この民主党議員グループは、米連邦取引委員会のリナ・カーン委員長宛ての書簡で、アマゾンのiRobot買収が市場競争を歪めると懸念を表明し、詳細な調査を要請した。

 民主党議員グループだけでなく、カーン委員長自身もアマゾンなどいわゆるテック大手の独占的な動きに厳しい目を向ける人物。アマゾンがヘルスケア企業One Medicalを買収する際も調査を敢行している。

 Politicoが2022年9月2日に情報筋の話として伝えたところでは、米連邦取引委員会はすでにアマゾンのiRobot買収が競争法違反になるのかどうかのレビュー(review)を公式に開始したという。次のステップとして、より詳細な調査(in-depth probe)が開始されるかどうかに注目が集まっている。

 レビューでは、iRobot買収により、コネクテッドデバイス市場とリテール市場におけるアマゾンの市場シェアがどのように変化するのか、また増え続けるアマゾンのスマートデバイスのラインナップにどのような変化が起こるのかなどが調査されるという。

 その中でも、特に米連邦取引委員会が注目しているのは、iRobotの掃除ロボットが収集するデータがアマゾンに不当な優位性を与えるのかどうかという点だ。上記でも触れたように、掃除ロボットは部屋や家の詳細な間取りデータを収集することが可能。このデータを使うことで、たとえばアマゾンはソファーを購入したい消費者に対し、間取りに合うソファーを提示することが可能となり、他のソファー販売会社に対し、大きな優位性を持つことになる。

 米国国内だけなく欧州でもテック大手の独占的な動きに対する規制強化の流れが強まりつつある状況。テック大手と各国当局のせめぎ合いは今後さらに激化することが予想される。

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