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都市にらくがきできるアプリ・ゾンビから逃げる防災ゲームが入賞。福岡開催PLATEAUハッカソン

「PLATEAU Hack Challenge 2022 in Engineer Cafe (福岡)」レポート

特集
Project PLATEAU by MLIT

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グランプリは「おえかきシティAR」、UnityのAR機能+Geospatial API

 2日目の17時にはハッカソン時間が終了となり、各チーム持ち時間5分で成果発表が行われた。審査委員は長岡悠子氏(福岡市経済観光文化局)、高橋忍氏(ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン株式会社)、内山裕弥氏(国土交通省)。

 なお、審査基準は開発コンテスト「PLATEAU AWARD 2022」(11月30日末締切)をなぞらえた、次の5点となる。

・3D都市モデルの活用
・アイデア
・デザイン
・技術力
・地域貢献

 審査の結果、OCARチームの「おえかきシティAR」がグランプリを受賞した。

 スマートフォンのカメラを現実世界の建物に向けると、画面をタップしてペイントできるというもの。UnityのAR Foundationを使ったスマートフォン向けARお絵かきアプリだ。現在地の測位にはGoogle Geospatial APIを利用する。ARと現実世界との位置合わせをしたあとにPLATEAUの3D都市モデル(東京都港区)および福岡市のデータを使って不可視状態の建物情報を配置し、Unityのアセット「Paint in 3D」を使ってペイントするという仕組みになっている。

<おえかきシティAR> チーム「OCAR」
https://protopedia.net/prototype/3364

 審査では、技術的な部分だけではなくユーザーインターフェースの作り込みも含めた、アプリとしての仕上がりが大きく評価された。内山氏は「Unityのアセットをうまく活用していた点、またUI/UXをしっかり作り込んでいるところなど、PLATEAUで実装的なアプリ開発を目指すという今年度の方向性に合致」している点を選出のポイントにあげている。一方で、「Geospatial APIなど位置測位技術を使えばもっとミクロな体験に落とし込むこともできるのではないか」ともコメントしている。

 高橋氏も「どういう人がどういうふうに使うかというところをもう少し踏み込んで、もっと突き詰めてもよいのではないか。都市ということを考えたとき本当にペイントでよかったのか、もう一度考えてもいい。使う人と使われる建物を持っている人にとって何がうれしいのか、一歩先を考えて欲しい」と、次のステップを期待した。長岡氏からも「修学旅行や学校の授業での街歩きなどに活用できると楽しいのではないか」というアプリの使い道というところでのコメントがあった。

 チームリーダーの長峰慶三氏は、4人が集まって、メンバーそれぞれがこだわって作り込んだところが評価につながったとして、受賞の喜びを語った。

 続いて、Unity賞に選ばれたのは九産大+αチームによる「ドローンを使ってゾンビから避難!」だ。

<ドローンを使ってゾンビから避難!> チーム「九産大+α」
https://protopedia.net/prototype/3363

 「避難勧告を出しても安全確保の行動を取らない人がいる」「避難行動を行わずに被災する人が多い」という災害時における課題解決に取り組んだ作品だ。避難の必要性を広く伝えるためには「実際の災害を想定した避難ルートを知ることが重要だ」とし、飯塚市を舞台に土石流の発生をゾンビに見立て、ゾンビから逃げる形で避難経路を理解できるようなゲームを考えたという。避難経路はあらかじめ配置されたドローンがアンカーを落としていくことで誘導するというもの。

 逆に、アンカーの間隔が長すぎると避難する人がアンカーを見失ってしまうので、都市モデルの中で適正の値を割り出し、現実の都市における避難誘導の計画に役立てることもできるのではないかとする。

 Unity上でCityGMLのデータから地形(Dem)、建物(Bldg)、道路(Tran)を生成し、生成した道路をNavMeshAgentで移動・追尾を行うという仕組みだ。地形データの生成に関してはパース部分も自作しており、同システム内で、ダウンロードしたCityGMLから建物、道路、テクスチャを数クリックの手順でUnityに読み込み、生成することができる。土石流のほうはiRIC Softwareでシミュレーションした発生状況を使って土石流の分布や堆積高さをビジュアル化している。いずれも、使用する地域に合わせた防災を考えることができる設計になっている。

 内山氏は「CityGMLからネイティブに(Unity上で3D都市モデルを)配置するという非常に難しいことをしている」とその技術力に驚きを隠さない。また、過去のPLATEAUハッカソン参加者が同チームのメンバーにおり、その際の成果をうまく活用して新しいサービスへと展開していることに言及し、ハッカソンならではのよい流れになっているのではないかとする。

 なお、この作品をUnity賞に選出した高橋氏は「Dem、Bldg、Tranというような、PLATEAUの持っているモデルがそれぞれきちんと活用されているところが特に良い。そこにUnityの機能をうまく活用している点を評価した」とその理由を語った。「これから、もっといろいろなデータが出てきたらまたできることが増えるというような可能性を感じさせてくれる作品。ただ、アプリとしての体験、そのストーリーは整理すべき。たとえば、避難誘導に特化してユーザーのシナリオを突き詰め、機能を絞ってもよいのではないか」とした。

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