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あなたはPLATEAUで何を作る?賞金総額100万円の「PLATEAU AWARD 2022」開催

「PLATEAU AWARD 2022説明会」レポート

特集
Project PLATEAU by MLIT

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PLATEAUの扱いをマスターするために、まずは座標系を変換

 ここからは、2人の登壇者による技術解説の模様を抜粋して紹介する。

 株式会社ホロラボ ソフトウェアエンジニアの於保俊氏は、「まずPLATEAUを簡単に使ってみる」というテーマで、3D地図データの読み込みや座標の取り扱いに関して解説した。

 地理空間情報の流通プラットフォーム「G空間情報センター」からPLATEAUのデータセットをダウンロードすると、「OBJファイル(CityGMLから変換)」をはじめとした、さまざまなデータが取得できる。

PLATEAUのOBJファイルをそのままUnityに取り込むと、原点から離れた場所にオブジェクトが配置されてしまう

 ところがこのOBJファイルをUnityに取り込むと、原点から1万メートルなど離れた地点にオブジェクトが配置されてしまう。これは、PLATEAUで配布されているOBJデータが、「平面直角座標」に変換されたうえで3Dデータ化されているためで、中心となる座標を決めてオフセットを引く(座標を補正する)ことで、位置調整ができると於保俊氏は説明。

 その際に、国土地理院測量計算サイトから利用できる、「平面直角座標への換算」ツールを利用すれば、緯度と経度から平面直角座標を求めることができ、中心座標を決めるのに役立つほか、あらかじめ、Blenderなどの3DCGアプリケーションで座標を処理しておくといった方法も活用できると話した。

 「PLATEAUのCityGML座標系はJGD2011(緯度経度+標高)で、OBJ/FBXの平面直角座標とは仕様が異なっています。また、他のオープンデータなども緯度経度を採用したもの、平面直角座標を採用したものなど様々ありますが、うまく座標を変換することで、PLATEAUのデータと合わせて上手に扱えるようになると思います」(於保氏)

東京国際フォーラムのOBJファイルをUnity上に配置したサンプル

 また、於保俊氏は「高さ」の扱いについても解説。PLATEAUの高さのデータは、「東京湾平均海水面からの高さ」だが、GPSなどでは「楕円体高(ジオイド高+標高)」が用いられている。異なる定義の高さを合わせる場合は、座標系を意識しないと大きくずれることがあると説明した。

 「実際に正しく座標変換ができているかどうかを確認するためには、正しい位置に配置されたかを実際に試し、目で見て確認することをなるべくやった方がいいと思いますし、それが一番手っ取り早いかもしれません。わかりやすいランドマークを設定して、その地点を意識して進めるといいでしょう」(於保氏)

Web GISとゲームエンジンの違いや、向き不向き

 株式会社アナザーブレイン代表取締役でみんキャプ運営委員会 委員長の久田智之氏は、ウェブアプリケーションであるPLATEAU VIEWを参照しながら、「Web GIS」について解説した。

PLATEAU VIEWのウェブサイトにアクセスすると、「Terria」と「Cesium」というアイコンが確認できる

 ブラウザ上でPLATEAU VIEWにアクセスすると、「Terria」と「Cesium」というアイコンが確認できる。これらはいずれもオープンソースのWeb GISであり、PLATEAU VIEWは、CesiumがGISエンジン、TerriaがGISビューワーの役割を果たす形で構築されている。

Web GISについて

 「Web GISとは、地理的な位置情報データを、どのように視覚情報化するかという分野です。仕組み自体はかなり昔からあり、まず2Dからスタートして、3D化し、最近ではウェブ上で扱えるようになっています。3Dに対応するWeb GISは大きくGISビューワーとGISプラットフォームに分けられ、その中にGISエンジンが組み込まれています」(久田氏)

CesiumJSについて

TerriaJSについて

 さらに久田智之氏は、Web GISとUnityなどのゲームエンジンについて、基本的な体系の違いを解説。Unityなどゲームエンジンをベースとしたプラットフォームは、地面を平らに取り扱い、CesiumJSなどのWeb GISは、地球を丸いものとして取り扱っていることが、その最大の差異であると話した。

ゲームエンジンとWeb GISの違い

 「Unityなどは、どちらかというと『東京都千代田区』などをエリア単位で切り出して、物理演算をするのに向いていると言えます」(久田氏)

Sandcastleを使ったデモ

 また久田氏は、CesiumJSで無料公開されているツール「Sandcastle」を紹介。Sandcastleは画面左にJavaScriptのコード記述欄を、画面右に実行結果のビューワーを持つWeb GISだ。飛行機の3Dモデルをサンプルとして読み込み、JavaScriptを書き換え、楕円体高5000メートルを飛ぶ飛行機の高度を、楕円体高5メートルまで下げるというデモなどが披露された。

あなたも、ぜひPLATEAUの世界に!

 2020年にスタートし、3年目を迎えるProject PLATEAUについて、内山裕弥氏は「PLATEAUは3年目を迎えて、いよいよ本格的な社会実装のフェーズに入りたいと思っています。そのためには、GISや地図の分野に関わってこなかった人にも参加していただき、実装を下支えするナレッジが、いま以上に集まってくることが不可欠です。各イベントを通して、いろいろな価値が生まれることを目指していきます」と話す。

 国土交通省では、PLATEAUにまつわるライトニングトーク、ピッチやハッカソンなどを含む、多数のイベントを「PLATEAU NEXT」として開催していく予定だ。記事冒頭でも紹介した集大成となる「PLATEAU AWARD 2022」では、3D都市モデルを活用したサービス・アプリ・コンテンツ作品コンテストを募集し、総額100万円の賞金も進呈される。

 PLATEAU NEXTのウェブサイトでは説明会のアーカイブ動画も公開中だ。本稿を見て興味を持った人は、ぜひ応募要項を確認し、PLATEAU AWARDに挑戦してほしい。

■関連サイト

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