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AI在庫分析クラウド「FULL KAITEN」は死蔵在庫を利益に変える

無駄な値引き販売を抑制し、小売業の利益を最大化する

連載
このスタートアップに聞きたい

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FULL KAITENのコンセプト

 このプロダクトは、瀬川氏自身のベビー服EC事業の経験や毎日蓄積しているFULL KAITEN導入企業の実売データが鍵になっている。小売企業の多くが80%の在庫から十分な利益を上げることができておらず、また80%の在庫の中身を十分に分析できていない。

 FULL KAITENで提供されるのは、在庫のポテンシャルを存分に引き出し、できるだけ値引きをせずにタイミングよく在庫消化を進めていくための機能だ。中でも、「クオリティ分析」機能が特に利用されている。

 クオリティの分析の基本となっているのが、下に示す各商品の完売予測日(横軸)と売上貢献度(縦軸)による4象限からなる施策MAPだ。

 各象限にはそれぞれ「Best」「Better」「Good」「Bad」の名称がつけられており、完売予測日と売上貢献度に基づいて各商品がカテゴライズされる。売上貢献度が大きく、消化スピードが速い(期限内に完売する)Bestに属する図の左上にあたる商品は、8割の売上を生み出す20%の商品に当たる。これらに対しては、追加発注やよく売れている店舗への在庫の移動・集約によって、さらなる売上の拡大や早期の完売を目指す施策が推奨される。

 問題となるのは残りの80%の在庫のうち、利益の改善に重要となるのがBetterとBadの象限に属する商品だ。例えばアパレル業界では商品の季節性によって3ヶ月で売り切ることを求められる。そのため定価で販売できるのは8週間と言われているが、それを過ぎた商品を一律での値引きによって販売ペースを上げようとするのは、利益を大きく下げる要因となる。

 完売予定日が比較的近く、かつ売上貢献度の高い商品(Better内の左上)であれば、値引きをせずにVMD(ビジュアル・マーチャンダイジング:店頭などでの商品の見せ方)の変更や会員のみの優先販売などによって売上を削ることなく販売ペースの改善を目指す。また売上貢献度が非常に低い商品(Bad内の下半分)であれば、大幅な値引きで早期の在庫一掃を目指してよい。

 従来の在庫消化率のみに頼った在庫分析では、このような細やかな販促施策を策定することは不可能だったという。

 「どの会社も何万という商品があるので、1個1個を丁寧に分析するという手段がなかった。時間の都合もあるから全部見ることができない。だからみなさんBestの商品しか見ることができず、商品を売れる、売れないの2軸だけで見ていた。

 年商500億円くらいの企業を例に出すと、毎回タイムセールに2400アイテムもの商品を使っており、業務負荷がものすごく高かった。FULL KAITENを使ったら1000アイテムで良くなり、それでタイムセールをしたところ、2400アイテムを使っていた時と比べて、粗利額が12%くらいアップした」(瀬川氏)

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