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簡易に作れる会話型AIチャットボットに反響。特定LLMに依存しない開発環境が強みのmiibo

連載
このスタートアップに聞きたい

 ChatGPTの登場で急速に普及が進んでいる会話型AI。「miibo(ミーボ)」は、カスタムされたチャットボットなどをノーコードで開発できる会話型AI構築プラットフォームだ。GPT公開前の2020年にリリースされ、10年以上の開発で培われた多機能性、特定の大規模言語モデルに依存しない汎用性から、企業での導入が始まっている。12月初旬にはシードラウンドの資金調達を完了したばかりの株式会社miibo 代表取締役CEOの功刀 雅士氏に「miibo」の概要とこれからの事業展開について伺った。

特定LLMに依存せず、低コスト・スピーディーに構築できる
ノーコード会話型AI構築プラットフォーム「miibo」

 株式会社miiboは、ノーコードで会話型AIを構築できるプラットフォーム「miibo」を中心に、会話型AIの社会実装を推進するスタートアップだ。「miibo」は、GPT-4やGPT3.5などの大規模言語モデル(LLM)をカスタマイズして、簡単にチャットボットなどの会話型AIを作成できるサービス。同社は2023年4月に設立したばかりだが、ベースとなる「miibo」のリリースは2020年にさかのぼる。2022年11月のChatGPT公開で会話型AIが注目を浴びる前から開発されており、特定の大規模言語モデル(LLM)に依存しない汎用性の高さが強みだ。

 LLMでは、OpenAIが開発したGPTシリーズやGoogleのPaLM、MetaのLlamaなど好みのモデルが使える。このLLMに専門知識やルールを与え、独自の会話型AIを構築し、さまざまなアプリやサービスとAPI連携してチャットボットやデジタルヒューマンとして利用できる。2020年のリリースからユーザー数は1万を超えており、企業のカスタマーサポートや社内ヘルプデスクのボット化、キャラクターやアーティストのAI化などに利用されているという。

各種LLMモデル、アプリやサービス、インターフェースをつなぐ会話型AIのハブを意識している

 生成AIといえば現在はChatGPTが優位だが、各社が提供するLLMの精度向上や利用料金によって、将来的にはその変更や使い分けが出てくる可能性があると代表取締役CEOの功刀 雅士氏は見ている。一度作成した会話型AIエージェントであっても、miiboの場合、使用するLLMを変更することになっても作り直しは不要だ。また、会話のシナリオを作成し、特定の会話の重要度に応じて使用する低コストのLLMに切り替えるような、開発・運用コストを抑えた活用も想定しているという。

「miibo」のダッシュボード。いくつかの項目を入力するだけでカスタムされたAIエージェントを作成できる

AIのモデルを選択し、プロンプトにルールを入力。プロンプトは問い合わせ対応AIや会話シミュレーションAIなどテンプレートも用意されている

 miiboの利用方法としては、ウェブサイトからGoogleアカウントやApple IDでサインアップすれば無料で利用できる。ノーコードなので専門知識も求められない。チャットボットを作る場合、AIエージェントの名前や紹介文を入力して、使用するLLMモデルとプロンプトに口調のルールやプロフィールを設定すれば、すぐに会話が利用できるようになる。標準で学習していない専門知識などは、任意のウェブページのURLやCSVデータなどからインプット可能だ。作成したエージェントをSlackやLINEとAPI連携すれば、すぐにチャットボットが完成する。具体的なAI構築の方法と活用事例は、「【利用事例】miiboで作る会話型AI」(note)に公開されている。

 主な利用顧客としては、自社のカスタマーサポートやヘルプデスクなどに利用したいユーザーと、AIプロダクトを受託開発するデベロッパーの2つを想定。デベロッパーは、miiboを使用することで開発期間を大幅に短縮できる。デベロッパーを介して、さまざまなAIプロダクトのバックエンドとして世の中に広く浸透させるのが狙いだ。

 料金体系は、サブスクリプション型。2023年12月時点では、AI作成数と会話回数によって、無料のトライアル、ホビー(月額2800円)、スタンダード(月額9800円)、プレミアム(3万2000円)、エンタープライズ(9万8000円~)の5つのプランから選択できる。

パートナー制度とコミュニティ形成で
会話型AIの社会実装を加速させる

 開発も手掛けた功刀氏は、企業のソフトウェアエンジニアとして勤務するかたわら、10年以上前から個人で会話型AIの開発に取り組んできた。大学在学中からAppleの音声アシスタントSiriに感銘を受け、個人でそのAndroid版を開発しており、誰でも簡単に音声AIアプリが作れるような環境を作りたい、という思いが当時からからあったという。「その当時の記憶を思い返しながら、miiboには自分が欲しい機能をすべて詰め込みました」と功刀氏は話す。

 そのため、AIエージェントの個性付けだけでなく、対話する相手の好みや悩みといったユーザー属性を保持して会話をパーソナライズする機能、会話ログの分析機能など、実用的な機能がすでに盛り込まれている。

 2020年のリリース時は、まだAIの精度が低かったため、利用者数はそれほど増えなかったが、ChatGPTの盛り上がりを受けて2023年に法人化。9月には暫定CSOとして、生成AI活用を推進するTHE GUILD代表の深津貴之氏が就任し、成長支援を受けている。

 miiboを活用したプロダクトは順調に増えており、より会話型AIの活用を促進するため、公認パートナー制度を設置。11月1日にはシャープ株式会社と開発パートナーであるデジタルヒューマン株式会社と共同でエッジAI開発に参画するなど、企業や個人と連携しながら、新たなサービスの開発や普及活動を進めている。また、会話型AI開発者のユーザーコミュニティ「MIIBO COMMUNITY」、毎週日曜日にYouTubeでAI構築をライブ配信する「MIIBO PLAYGROUND」を開設するなど、ユーザー層の拡大にも取り組んでいるそうだ。

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